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15-1話 躍進

 椅子に深く座ったままテーブルに肘を付き、ルカは考え込んでいた。

 首都を離れてから既に1年近くが経過している。

 この街に流れ着いた時はたった二人からのスタートだったが、今は十分な数の仲間も揃い。

 新しい商売も軌道に乗り始め資金も溜まってきた。

 ルカは次の段階に以降する事を決めた。

 

 ルカ達が土地勘の無いこの街でどうやって資金調達をしてきたかと言えば、今までやってきた事とあまり変わらない。

 

 西街で起こった乱闘やいざこざを素早く解決していっただけだ。

 解決方法に暴力を伴うと言う闇の部分もあるが、そのスピードは異常なほどに速かった。

 

 戦後間もない発展途上の帝国で暴力は日々発生している。

 話し合いと言う平和的な考えに市民の意識が追いついておらず。

 気に入らない者は力づくで従わせると言う方法は本来では許されない事ではあったが、戦時中に道徳や教育などは殆ど教えられていない彼等が悪いとも言えない。

 そんな時代を少年期に過ごしてきた今の若者たちは、相手と衝突した時、話し合いと言う選択よりも愚直に暴力と言うシンプルな方を選ぶ者が多かった。


 結果、気に入らない事があれば直ぐに喧嘩へと発展してしまう。

 それを防止する役割が帝国側で言えば憲兵の職務だ。

 けれど国民の数に比べて憲兵の数が全く足りていなかった。

 連絡を受けてから現場に駆けつけるまでの時間が長く、その間に被害が拡大してしまう。


 それを補う役目がファミリーでもあった。

 ファミリーのメンバーがシマ内を周り、目を光らせ乱闘騒ぎを起こさせない様にする。

 血の気の多い男達も、暴力が仕事のファミリー相手では一歩引いてしまい、素直になる事が多い。

 なので憲兵とファミリーが裏では繋がっていたと言う事は普通にある事だ。


 店を守る代わりにどこのファミリーも、みかじめ料を取るのが一般的だ。

 庇護にされているファミリーの名前を出せば、報復を怖がり事件にならない事がある。

 

 それでも事件に発展した時、ファミリーの兵隊が駆けつけるが憲兵よりかは幾分マシだがロスタイムがある。

 その為、店の被害は多少なりともある

 

 一方ルカのやり方は違う。


 ルカの仲間は既に百人を超えており、全員を西街全体に均等に配置し問題が起きた時は近くにいる者に素早く応援を呼べるシステムを作り上げていた。

 仲間が声をかければ数分で10名位は集まる事ができるだろう。

 店側は問題を解決して貰った時に初めて謝礼金を支払うシステムで、ルカ達に以来をしない限りは基本無料であった。

 

 一人単価が安い飲屋を経営するオーナー達にとって、基本無料を謳うルカのやり方は魅力的であった。


 その謳い文句が人気を呼び、ルカ達は瞬く間に西街全域に商売を広げる。

 市民に寄り添って発展している西街は毎夜多くの人々が訪れるので、ルカ達の仕事が切れる事はなく、少しづつ信頼を得ていく。


 兵力と資金と言う、二つの要件をクリアしたルカは次の一手に進んだのだ。


「今日、俺は新しい組織を作ろうと思う。組織名は【レガリア】 お前達は今日からはどんな組織が相手でも一切引く必要はないぞ。俺達は堂々と仕事をやるだけだ」


「おっしゃーっ!! ルカ、遅えぇよ。俺はずっとその言葉をまっていたんだよ。お前を信じて我慢してたんだけどやっとこの日が来たな。今日からはガンガン行くぜ。いいかお前ら!! 誰が相手だろうと絶対に引くなよ」


「「おおぉぉっ!!」」


 大声援を受けてルカは決意に満ちた表情で頷く。

 ルカはあえてファミリーと言う語尾を付けなかった。

 ファミリーという言葉だけで表しきれない想いがこの組織に詰まっている。

 レガリアと言う言葉は宝を意味していた。

 ルカはこの組織を自分の宝物に育て上げるつもりだ。


 ルカの指示を受けて百人を超える血気盛んな若人が一斉に行動を開始する。

 ルカは自分達の活動範囲をを西街全域と定めた。

 すでにこの界隈ではルカ達の顔は売れており、贔屓にしてくれている店も多い。

 【レガリア】に所属している者なら入場料が必要な店だとしても無料で入る事ができる。


 けれど入れるだけで、タダ酒を飲むことは出来ない。

 仕事と遊びはちゃんと分けて感がていた。


 ルカは自分たちの拠点をしっかりと守る。

 この地盤固めが大切だと考えていた。

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