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ただただ、幸せに…  作者: 緋月夜夏
ムニシヤ王国編
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第59話 家(3)

俺の声に先に反応したのはレイラだった。

「あっ…はい。おはようございます。」

寝癖が無いか確認しているのか、手櫛で髪を整えながら言った。

「おはよう、ご主人様。」

続けてルティも挨拶を返してくる。

「ああ。おはよう。少ししたら朝食を食べに行こう。」

「…はい。わかりました。」

「わかったわ。」


2人が支度を終え、朝食を食べながら、今日の予定について話す。

「俺は家を作ってくるけど、2人はどうする?」

「私は、ご主人様についていきたいです。」

「ずっと見てるだけだから、暇だと思うぞ?」

「そんなことないです。なかなか見られないと思います。」

(まぁ、同じようなユニークスキルがないとできないか。)

「わかった。ルティはどうする?」

「私は…回復魔法の練習がしたいわ。」

「あー、そういえばあったな。えーっと…はい。魔法書。」

空間魔法から取り出し、ルティに渡す。

「じゃあ、ルティは、ここに残るか?」

「?いえ、ついてくわよ?どこでもできると思うし。」

「そうか?ならいいけど。」

「ご主人様、私にもくれますか?やっぱり回復魔法の練習もしたいと思います。」

「ああ。はい。」

レイラにも魔法書を渡す。

「じゃあ、食べ終わったら、早速向かうか。」


朝食を食べ終え、場所をヘルプに教えて貰いつつ向かう。

土地を買った時にも場所がわかるようにはなっているが、俺が地図を見るのが苦手ということもあり、ヘルプに頼ることになった。


目的地に着くと、そこには雑草が生い茂っていた。

「「「…」」」

思わず3人とも無言になる。

(これって普通なのか?)

「かなり珍しいかと。」

(雑草を抜くだけでも一苦労だぞ…)

「ご、ご主人様、頑張りましょう!」

「そ、そうよ!頑張れば何とかなるわよ!」

2人が励ましているのはわかったが、どうしても気分は落ちてしまう。

「というか、少し木も生えてるしなぁ…」

雑草の他に、点々と木々が生えているのがわかる。

「…燃やすか。」

魔力は勿体無いが、仕方がない。

「《ファイヤウェ…》

「ちょっ!ちょっとまってぇ!!」

雑草を燃やそうとすると、どこからか声が聞こえてきた。

「誰だ?」

声の方向を見ると、140センチほどの生地の薄い服を着た新芽色の髪をした女の子がこちらへ飛んでくる。

「ちょっと!あんたはなんでいきなり燃やそうとするのよ!?」

「は?というか誰だ?」

少し言葉がキツくなったのには、初めて使えると思った《ファイヤウェーブ》を邪魔されたということも少し関係があった。

「私は妖精族のリリファ・スフィリア・ノルムよ。ここで暮らしてるのよ?」

「そうなのか。じゃあ、別の場所に移ってくれるか?」

「嫌よ!私たちは何年もここで暮らしてるのよ!?」

「…不法占拠だな。衛兵に対処してもらえるか?」

「ええ。大丈夫だと思うわよ。」

「待って、待って!ごめん、謝るからそれはやめて。」

「じゃあ、出ていってくれるか?」

「いや…それは…」

話していると突然風が吹き、思わず目を瞑る。

目を開けると、そこには数十人の女の子が増えていた。

身長は20センチほどだが。

「りり姉ちゃん、駄目だよ!悪いのはこっちなんだから!もっと、しっかりお願いして!」「言葉違いが悪いよ!今のりり姉ちゃん怖い…」「ここに住めなくなったらりり姉ちゃんのせいよ!」「また、引っ越しなの?次はどこに行くの?」「私の育てた種、やっと芽が出てきたのに…」・・・

「え、え!?あたしが悪いの?」

「「「「「「「「当たり前でしょ!」」」」」」」」

「はぃ…あたしが悪かったです…」

全員に即答されて、リリファは涙目になっている。

「…」

「「ご主人様?」」

(俺にどうにかしろと!?)


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