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ただただ、幸せに…  作者: 緋月夜夏
レビルム公国編
22/117

第21話 奴隷(2)

朝起きた俺は朝食を食べるとすぐに服屋へ向かった。

「昨日預けた服はどれくらいになるかわかったか?」

昨日の店員に尋ねる。

「はい!終わっています!」

なぜかとてもテンションが高かった。

「…テンション高くないか?」

まだ朝だっていうのに。

「高くもなりますよ!!」

(うわ…余計うるさく…)

「昨日預かった服、ズボン、下着、全てが違う製法で作られているではないですか!しかも見たこともない製法で!これが落ち着いて入られますか!!」

「あー、わかった、わかった。」

(違う製法って縫い方のことか?)

少し気になったが、話を進める。

「それで?どのくらいの値段になったんだ?昨日は紋貨5枚はかたいって言ってただろ?」

「はい。当店で買い取らせて頂けるなら、

光貨1枚と紋貨8枚で買い取らせて頂きます。」

「…それはまた…結構上がったな。」

「先程言った通り、製法が違っていたので。」

(俺は服にはあまり頓着しないから、昨日の服も安物だぞ…それがこっちにきたら元の世界で言えば約180万…もっと持って来ればよかったな…まぁ、今更どうにもできないが。)

「まぁ、いい。じゃあ買い取ってくれ。」

「はい。ありがとうございます!」

そういうとすぐに代金を持ってきてくれた。

「では、光貨1枚と紋貨8枚になります。」

「ああ、確認した。」

そう言って俺は店から出ようとする。

「あのー…」

店員から話しかけられる。

「なんだ?」

「他には持っておられないでしょうか?もし持っておられるならそちらもお売りいただけませんか?もちろん少しなら代金を上乗せさせていただきます。」

「すまないが、昨日ので全部だ。」

「そうですか。…またのお越しをお待ちしております。」

「ああ。」

今度こそ店を出て、そのまま奴隷店へ向かう。

ちょうどモーリスが扉を開けるところだった。

「ようこそおいでくださいました。さぁ、どうぞ中へ。」

「早かったか?」

「いえいえ、お客様を追い返すなんてとんでもない。

お客様のためなら深夜でも開店いたしますよ。」

媚びへつらうような顔で言う。

「そうか。で、昨日の2人は?」

「はい、残しております。少々お待ちください。」

そう言い残し、部屋を出て行ったがすぐに二人を連れて戻ってくる。

「こちらでよろしかったですね?」

「ああ。紋貨3枚と金貨5枚だったな。」

そういいつつ硬貨を渡そうとする。

「いえ、少しお待ちください。」

「…なんだ?」

少し威圧するような声を出してしまう。

(もしかして、今更高くなったとは言わないよな。)

だが、モーリスは気にせずに話し続ける。

「昨日、奴隷の相場がわからないと仰っていましたが、奴隷に対する規則はご存知でしょうか?」

「知らないな。説明してくれ。」

「はい。まず、奴隷を故意に殺してはいけません。もし、そのような場合には奴隷の主人も処刑されます。そして、最低限の食事を与えてください。1日1回与えれば充分です。3日以上食事を与えていないことが判明すると、解約させられます。」

「以上か?」

(今の条件なら問題ないだろう。)

「はい。代金は…ちょうどですね。では、契約をさせていただきます。これをどうぞ。」

そう言って針のようなものを渡してくる。

「奴隷契約には主人となる人物の血が必要です。血をその奴隷たちの右手に垂らしてください。」

彼女たちの右手を見ると紋章が描かれている。

「これの上にか?」

紋章を指差しながら尋ねる。

「はい。それは奴隷紋と言って、奴隷契約に用いられます。また、それは契約すると見えなくなりますのでご安心ください。」

その言葉を聞き、俺は血を垂らす。

するとモーリスの言葉通り、紋章が消えていった。

「はい。これで契約は終了です。他にもご覧になりますか?」

「いや、いい。」

「かしこまりました。またのお越しをお待ちしております。」

外に出たところで気づく。

2人がきている服は布地が少なくかなり目立つ。

「服屋に行くぞ。」

そう言って2人の手を掴み、連れて行く。

「あの…」

犯罪奴隷の方が話しかけてくる。

「なんだ?」

「その…これから…よろしく…お願いします…ご主人様。」

「…ああ。」

かなり小さい声だったが、聞き取ることができた。

そして服屋に入り、女性の店員に話しかける。

「こいつらに適当に服を見繕ってくれ。」

「かしこまりました。」

そう行って2人を連れて行く。

数分ですぐに戻ってきた。

「2人合わせて金貨3枚になります。」

「ああ。」

代金を渡し、宿に戻る。

「今日の分だ。」

そう伝え、女将に銀貨3枚と銅貨5枚をわたす。

「2部屋かい?」

「ああ。」

「その2人奴隷だろう?」

後ろの2人を見ながら言う。

「そうだが?」

「あんたには申し訳ないが、以前に客の奴隷が部屋の物を壊してね。奴隷のみで泊まる部屋は断ってるんだよ。」

「そうか。なら、3つベッドがある部屋か、3人で寝れるベッドがある部屋にしてくれ。」

「はいよ。3人で寝れるベッドのある部屋ね。部屋代銀貨1枚と銅貨5枚、飯代を足して銀貨3枚だね。」

そう言って銅貨5枚を渡してくる。

「その部屋はどこだ?」

「その通路を進んで一番奥の右側の部屋だよ。106号室だ。」

「わかった。」

2人を連れて部屋に入る。

ベッドを確認したが、3人でも寝れるだろう。

それを確認し、2人に向き直る。

「じゃあ、まず自己紹介をして貰うぞ。俺はタケルだ。」

こっちの世界では名字は少ないようなので、名前だけ伝える。

「私は…レイラ…です…」

(声が小さい子だな。)

「私は、ルティよ。」

「レイラにルティだな。それで早速なんだが…レイラ?」

「はい…なんでしょうか…?」

怯えながら尋ねてくる。

「なんで犯罪奴隷に?いやだったら言わなくていいが。」

「いえ…ご主人様の…命令ですので…私は…

村にきた貴族を…毒で殺しました…」

「へぇ。どうして殺したんだ?」

気の強くなさそうな子なのに殺したと聞いて不思議に思った。

「村のみんなが…税を払えって…苦しんでいて…子どもはみんな…その貴族に…連れてかれて…私も連れてかれそうになって…抵抗しました…」

「ふーん。こう言っては何だが、ありきたりだな。

じゃあ次は…」

「えっ…あの…いいんですか?」

レイラは驚いた顔のまま尋ねてくる。

「ん?なにがだ?」

「私…人を殺して…」

「あー、別にいいんじゃないか?そんな貴族なら。別に無差別に殺したいわけじゃないだろ?」

そう言うと、レイラは涙を浮かべていた。

「…ありがとう…こざいます…」

掠れた声でそう言った。

「ああ、これからよろしく頼む。」

「はい!…よろしく…お願い…します…」

最初の返事で恥ずかしくなったのか、

尻すぼみに声が小さくなっていった。

「じゃあ、次はルティだな。」

「ええ。何でも質問してちょうだい。」

「この称号の『元魔王の娘』って本当か?」

中途半端です。

誤字・脱字がありましたら教えてくださると幸いです。

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