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魔女と鉱石、帰還譚  作者: 空野
Chapitre.4
37/323

4-5

 水曜から残る三日は駆け足に過ぎた。そうして半日勤務の土曜日の午前も、足早に流れて行く。

 「来週からは雪路さんはいないのかぁ」

 若い書記官は少し残念そうにそう言った。

 「ま、そのうち気が向いたら、また戻って来て下さいね」

 「ありがとうございます。そうします」

 コクンと頷く雪路に、おや、と年配の書記官は笑う。

 「鬼のいる鉱山ですが、お戻り頂けるので?」

 それに思わず吹き出した。

 「はは、鬼にも慣れてきたみたいなんで。もちろん、機会があれば是非戻って来ます」

 「ほぉ、それは良かった」

 年配の書記官は笑って白い髭を扱く。

 「まぁ、何にしろ、同じ街の中にいることは変わりない。お戻りになる前でも、何かあれば声掛けて下さいよ」

 「うん、そうします」

 ありがたいなぁと素直に感謝して頷いて、何気なく時計に目をやった雪路は、フッと思い出す。

 「ああ、そうだ、鬼と言えば」

 「ん?」

 怪訝そうにする書記官二人に、雪路はぽんと手を打つ。

 「あの、私、ちょっと採掘場で待ち合わせ?してて」

 そういえば昼前にそこにいろと、誠に言われていたのだった。

 服は既に軍服なので、さて、いったい何があるやらと、首を傾げながら雪路は椅子から立ち上がる。

 「待ち合わせ?誰とです?」

 若い書記官が怪訝そうに振り向くので、雪路も顔に戸惑いを浮かべたまま、ええ、と答えた。


 「噂の藤埜大尉、なんですけどね……」



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