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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第1章 シェリル
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非常識な人

「シャーロット様、お願いします。お母さんを助けて下さい」


何だって…。

お祭りの次の日だよ?


私は社の扉を開けて慌てて飛び出る。


「どうしたの?お祭りの魔法で病気や怪我が治らなかった?」

「そうなんです。お母さんがお祭りが近いから我慢すると言っていたのですが、良くなりませんでした」


女の子が泣きながら話してくれた。

お祭りは皆が楽しまないと駄目なのに。


「駄目だよ。次からはお祭りの前に言ってね。すぐにお母さんの所に案内して」

「はい!ありがとうございます」


走る女の子の後を付いて行く。


感情の把握が甘かった。

そこまで注意深く見てなかった。


事件や事故に繋がる感情しか把握していなかった。

これは私の失態だ。


今後は心配する感情も我慢する感情もなるべく把握しよう。


「ここです。お母さん、シャーロット様が来てくれたよ!」

「そんな…。大丈夫だと娘には言っているのに、すみません」


本当にお母さんはこういう人が多いよ。

子供に辛い所を見せないように我慢するんだ。

私がいるんだから、辛かったらすぐに言えばいいのに…。


ほんとに、もう。


「お母さんも我慢しないで。お祭りを楽しめてないから駄目だよ。少し診せてもらうね」

「はい。すみません」


女の子のお母さんを注意深く見る。

汚い色の魔力に包まれている。


こんなのは初めてだ。


「お母さん、呪われてるよ。解除する事も出来るし跳ね返す事も出来るけど、どうする?」

「呪いですか…。別れた夫が誰かに頼んだのかもしれませんね。夫に跳ね返す事は出来ますか?この子を売ろうとした罰を与えたいのです」


女の子を売ろうとしただって!

本当は滝つぼにしたいけど、お母さんの罰で許してあげるよ。


別れた夫には会いたくないだろうし、ここに呼ぶのは止めよう。

「お母さん、夫の顔を見せてもらうね。記憶を覗いてもいいかな?」

「はい。よろしくお願いします」


お母さんの額に手を置いて記憶を探る。

こいつか…。


気配を記憶して探知範囲を拡大。

10㎞、20㎞、30㎞、いた。


「ここから30㎞ほど離れた所にいるみたい。じゃあ、送るよ。呪術反射(カースリフレクト)、良し。ちゃんと呪いに罹ったね。人を呪うなんて非常識な男だよ」

「ああ、楽になりました。ありがとうございます」

「シャーロット様、ありがとうございます」


2人はお祭りを楽しめてないから、まだ駄目だよ。

せめて、リンゴ飴だけでも女の子にあげないと。


「気にしないで。お祭りで気付かなかった私が駄目だったんだよ。次からは呪いも気をつけるね。ちょっと待っててね。転移魔法(テレポート)


リンゴ飴を売っているおじさんの所にやってきた。

まだ売っていたらいいんだけど…。


「おじさん。リンゴ飴ってまだ売っているかな?」

「おや、シャーロット様。リンゴ飴ならお祭りから1週間売っていますよ」


「良かった。じゃあ、1つ下さい。今はお祭りじゃないから値段が違うよね。いくらかな?」

「子供に売るお菓子の値段は変えていません。200ギルです」


おじさんに200ギルを手渡す。

「そっか、おじさん優しいね。じゃあ、1つ下さい」

「はい。毎度ありがとうございます」


おじさんからリンゴ飴を受け取り、女の子の家に転移魔法(テレポート)する。


「お待たせ。君にプレゼント。少しだけどお祭りの気分を楽しんでよ」

「あ!リンゴ飴だ。ありがとうございます。シャーロット様」

「本当にすみません。ありがとうございます」


2人とも笑顔になって良かった。

本当はお祭りを楽しんで欲しかったけど、次からは気をつけるからね。

このように街の防衛が万全になっていきます。

リンゴ飴はシャーロットの思い出の品ですから気持ちが入っています。

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