↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/7

第六章:ロックンロールに引退はない

ライブは大成功を収め、チャペルは割れんばかりの歓声とスタンディングオベーションに包まれていた。

楽屋裏で汗を拭いながら、ハイタッチを交わすメンバーたち。熱狂の余韻に包まれる中、バートンが目を輝かせながらウィルのもとへ駆け寄ってきた。

「ウィルさん! あの衣装の刺繍と裁断、どうやってあの立体感を出してるんですか!? 僕、あんなにカッコいい服見たことないです!」

ウィルは眼鏡をクッと押し上げ、そっぽを向きながらフンと鼻を鳴らした。

「ハッ、口で教えて理解できるほど甘くねぇよ。……明日からうちの工房に来い。針の持ち方から叩き込んでやる」

「はいっ!! ありがとうございます師匠!!」

師匠と呼ばれて苦々しい顔をしつつも、口元を緩めるウィル。その横でダニーは興奮冷めやらぬ様子でロイの肩をドシドシと叩いた。

「おいロイ! 最高だったな! 俺決めたぞ。俺もジジイになったら絶対にこの施設に入居する! で、毎日お前らと朝から晩まで爆音でロックしてやるぜ!!」

誇らしげに胸を張るダニーに対し、ロイは呆れたようにニヤリと笑うと、人差し指をチッチッと振った。

「ハッ、言っとくけどな、おっさん。ここ、年間で5万ドルかかるんだぞ? 無職のお前に払えるわけねぇだろ」

「……は?」

一瞬、思考がフリーズするダニー。「ご、5万……!?」と呟いた瞬間、顔から一気に血の気が引き、勢いよくドン引きして青ざめた。

しーんと静まり返る楽屋。あまりの金額の高さに言葉を失い、固まったまま動かないダニー。

……数秒の沈黙の後、ダニーはニヤリと不敵な笑みを浮かべると、ドヤ顔で胸を張り、大声で言い放った。

「……そんときゃそん時だ!! それがロックだぜ!!」

「計画性ゼロかよ!」とロイが間髪入れずにツッコミを入れる。

「ベベンッ!」

絶妙なタイミングで無表情のクーが琵琶スラップを叩きつける中、クロエがゴホンと咳払いをし、バインダーをトントンと叩きながら歩み寄ってきた。

「そんな事より。すでに『ヘブンズ・ロック』の全米ツアーを組んでおいたから」

「全米ツアー!? 待てクロエ、お前税理士になりたいんじゃないのか!?」

クロエは胸を張り「試験は逃げないわ!」と言い放つと、ダニーの耳元でニヤリと囁いた。

「……それにね、ダニー。メンバーは高齢よ。いつ本当の“ヘブン”に行っちゃうか分からないんだから……稼げるうちに稼いでおかないと、ねぇ?」

「おい! ブラックが過ぎるだろ!!」

ダニーの悲鳴に、カイとシニアたちがニヤリと笑う。クロエの容赦ない号令とともに、ダニーは満面の笑みでギターを高く掲げた。

「よし野郎ども! 俺たちのロックは、これからが本番だーーーっ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。