22話 その後 ーENDー
ガルフェルト侯爵邸の家族用の居間で、食後のお茶を楽しみながら。
義理の息子ガブリエルが、丸くなった私のお腹に触れて驚愕の表情を浮かべる。
「うわわわわっ! すごい、お腹の中で動いているよ⁉」
「ふふふ……ね? 元気でしょう」
「ひやぁぁぁ―――っ……今度は弟かもしれないね、マリエル!」
「ガブリエルは弟が良いの?」
「そうだなぁ~弟も欲しいかなぁ?」
「おい、ガブリエル! いいかげん、お義母様と呼べ! お前も学園に入学したのだから、その子供っぽい態度は改めろ!」
娘のルイーズを抱いたまま、セインはソファーに座る私の隣に腰を下ろし、息子に注意する。
「つい癖で、出ちゃうんだよ……お父様」
「しかたないわよねぇ~ ガブリエルと私は、お友だちだった年月が長かったから」
「そうそう」
「だが、マリエル……こういうことは、けじめをつけないとだね」
不満そうにセインはガブリエルとは反対側から手をのばして、二人目を妊娠して丸くなった私のお腹に触れた。
「私は別に今までどおりの呼び方で、構わないけど。やっぱり外聞が悪いかしら?」
首を傾げて不満そうな夫にたずねると。夫の反対側に座った息子のガブリエルが爆笑した。
「あははははっ! あのねマリエル、お父様は嫉妬しているんだよ。僕とマリエルの仲が良いから」
「あら、そうなの?」
「……生意気だぞ、ガブリエル!」
「あははははっ! ほらね!」
ゲラゲラと笑うガブリエルを、うっすらと頬を赤くした父セインが睨む。
「旦那様、騎士団から手紙が届いております」
仕事上の急ぎの手紙かも知れないと。騎士団からの手紙は時間に関係なく、執事は当主セインに渡す決まりとなっている。
「……ああ、もらおう」
セインは立ち上がる時に腕の中のルイーズを、お腹が大きな私ではなく、息子のガブリエルに渡した。
「お兄様のお膝においで、ルイーズ~!」
「おにぃちゃまぁ~っ…」
ルイーズはニッコリと笑って、小さくてぷくぷくの手で兄にしがみつく。
執事から手紙を受け取ると、セインは封蝋を壊しその場で内容を確認した。
南方国境騎士団の騎士団長から、『ギリスが行方不明となり、隣国の捕虜になったのではないか?』という報告だった。
セインは黙ってその手紙を暖炉の火に投げ込むと、私の隣へ戻り子供たちと笑いあう。
「おにぃちゃまぁ~! きゃはははっ…!」
「お兄様がルイーズのお腹を、こちょこちょしてやろう~!」
「きゃはははっ…! こちょこちょ~」
「ふふふっ……ルイーズはお父様やお母様よりも、お兄ちゃまのお膝が一番お気に入りなのよねぇ~」
兄に抱っこされ嬉しそうにケラケラと笑う娘を見て、私は幸せを噛みしめ微笑んだ。
「だったら夫の私は、奥様の一番お気に入りになれるよう頑張らないと」
「まぁ、セイン!」
「さぁマリエル、私のお膝においで!」
隣に座る私を抱き上げ、セインは自分の膝にのせて唇にキスをする。
「もう、セインったら……子供たちの前で恥ずかしいわ!」
少しだけ照れてしまい。私は頬をピンクに染めて笑い、セインの唇にキスを返した。
ー END ー
最後までお付き合い下さり、ありがとうございました(・´з`・)
また、どこかでお会い出来れば幸いです!




