↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者の援助で通う学園での真実の愛や運命の恋人を応援するな  作者: リーシャ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/5

01

 子爵家の令嬢と子爵家の令息が学園で出会って恋に落ちた。それはありきたりで陳腐なストーリー。それが小説だったらいいのにと、冷めた目で当事者たちやその支援者らを見つめる。


 そもそも、令息には婚約者がいてちょっと立場が上の男爵家の令嬢がいるのだけれど、婚約者のおかげでお金がないからと子爵よりは下位である関係でも、頭が上がらない。


 成金というわけでも爵位をかったわけでも、爵位を笠に着ているわけではないから。なにも悪いことはしてないので、悪いのは子爵家の二人だけ。それってどうなのと倫理観に物申したい。

 学園で出会って恋に落ちたのは良いけれど、一つ年下の婚約者が来年入学してくる間だけ付き合うという暗黙の了解が、学園に濃厚に蔓延っていた。


 正直吐き気が強い。邪悪の所業。学園にまで通えているのは資金援助があるからなのに、なにを呑気に恋愛に頭を溶かしているのか。成績上位でもないくせに、お花畑を作り上げている暇など本来ないはずの男側。


 勉強をひたすら頑張って自分の育った家、これから切り盛りしていく予定の家を支えるために学園へ入れられたという、皆が望まれる入学理由。

 恋愛にうつつを抜かしてる暇なんてない。少しどころか人脈を広げて資金に苦しむ両親や領民、資金を投資してくれている男爵家の恩に報いることを期待されての援助。


 噂では女生徒にリーズナブルなブローチを買ってあげたらしいが、婚約者にプレゼントを上げているのか甚だ疑問。それどころか、あの人は手紙などを婚約者や婚約者の父親に書いているのか?

 そのお金は、資金援助の一部なのでは?


 色々疑惑の上がった瞳で睨みつけそうになる。どんな顔をして婚約者のお金で生きていられるんだろって。気になって気になって仕方ない。

 学園に通えるか通えないかというくらい、お金がなかったと知っているからこそそのお金をドブに捨てるやり方に憤りしかない。


 雑な恋愛ごっこを応援する生徒もかなり多いのも、気持ち悪さに拍車をかけている。


「眉間に皺が寄っているよ」


「あ」


 婚約者に声をかけられてハッとなる。この国に留学してきてから、自分勝手な思考の者たちばかりで困る。彼と共にこの国に学びに来たはいいが、一体全体この学校はなんなのだろうと思う。


 己が国でこんなことが起きたら、即刻あの二人は退学コース幽閉科所属に移動させられる。普通はそうなのだが、この学校には誰一人として国の手のものがいないなんてことが、あり得るのか?


 王族は無理でも高位貴族が対処しなければ、貴族の権威が揺らぐ。下位貴族だろうとここは他の貴族子女たち、子息たちが通う学校。影響力はバカにならない。

 早めにどうにかしておかないと、なにもしてくれないと将来の次期当主らが思うことになる。


 ここにいる人たちは次男や次女もいるが、当主と姉妹兄弟なのだから縁が切れるどころか未来的にずっと繋がり続ける。そうなると、誰が不満や不安を抱いても次代の政治や心理的な水面下での揺れが起こるだろう。

 そんなことがわからないはずもないけれど、上の者たちはなにをモタモタしているのか。


「ほらほら、イラつかないで。カフェで甘いものを奢ってあげよう。お肌に悪いだろうに」


 気を遣われていて、身をすくめる。こちらのイラつきが伝染してしまっているらしい。悪いことをしてしまっているが、やめられないし思考を止められない。

 何でもかんでも考えてしまうのが、悪いクセ。


「奢られておくわ」


 いっそのこと、例の男爵令嬢にうちの国の男を紹介するのもありかも。


「ほら、また考えているよ。あまり深く考えても意味はない」


 婚約者が手を引いてカフェテリアへ連れてきてくれた。 コーヒーや飲み物の甘い香りで脳が癒される。


「君が悩んでもどうにもならない理由を教えようかな。答え合わせさ」


 もったいぶった言い方に相変わらず言い方だけはキザであるなと、胡乱な瞳を向けた。

 彼は頼んだケーキをこちらに寄越すと、腕を組んで探偵のように目を細める。


「生徒たちが自由なのは、国の上層部が国立の学校生徒たちにどうするか委ねてるからだよ」


「……は?私たちはまだ親の保護下にある子供よ?」


 法律に照らしても未成年である。お酒も賭け事も、禁止されている。がっちり法で縛るくせに、無報酬の仕事を何も言わずに与えるとは何事か。

 課題を与えておいて、課題を教えられていないなんてそんな不意打ち。


 そもそも、この学園には自分たちのような他国の留学生や関係者も通っている。

 正気の沙汰ではない。国立でやることでもない。学費を返せ。


「怒らないで。この学園はつまるところ、自分たちの王を育てる培養器。僕たちは栄養素か、肥料か、捨て鉢かな?僕なら怖くて絶対やらない」


 二人は限定的にとある国の養子として仮のプロフィールを与えられているが、本当の身分は国で最大の国家である帝国の子女、子息だ。

 自分たちもちょっと他国を見に行こうかという軽いノリでやってきたものの、めちゃくちゃな国を選んでしまった。

 事前調査では特に問題は見当たらなかったのに。


「ああ、この国はこの世代が問題を起こしたってこと?今まではなにもなかったから、今起こってると?」


「他国で起こった真実の愛の上に、駆け落ちした王族の話を聞いて王侯貴族たちが不安になったのだろうね」


 自論ではなく、調べた結果わかったことなのだろう。すでに確信を口にしている。彼は憶測を簡単にいう人ではないから。特に、政治や背後の関係の話において。やるせない気持ちだ。自分はいつもイラついて憤るだけの子犬。


「人情に厚いってことだ。君のそういうところが好きだ」


「え、ああ、ありがとう」


 ストレートな物言いに頬が赤くなる。いろんな女の子がいるのに、婚約者として愛してくれていることを常に伝えてくれる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。