痛ぁい怖ぁい
久々ですね。
だいぶ期間が空いてしまいました。
肉、美味かったなぁ。
小説2 異世界 連載(7)
『ニノマエって、サバは味噌?それとも塩焼き?
』
『味噌…かな。鯖の質に関わらず大抵美味いし。』
『安牌いくねぇ』
『お前はどうよ』
『俺?俺はぁ……』
………
…………
………………
「はっ!」
変な夢を見たな…て、そういえばあれからどうなった?
体が動かない。
起きることができない…
目だけをギョロギョロさせて、寝たまま頑張って周りを見渡してみた。
俺の周りの人間がもれなくぶっ倒れている。
排泄物と錆びた鉄と生ゴミを混ぜたような嫌な臭いがする。吐きそうだ。
だが、どうやら胃も刺されて穴が空いているらしく内容物はそこから流れ出ているようだった。
こんな地獄のような状況で妙に冷静でいるのはある種の心の防衛機能だろう。
なぜ、こいつらはたおれて、俺は生きている?
そういえば腹を刺されている時中で何かがあたって割れた。アマンの保険とやらだろうか。
そして息を止めろ、と言ったら全員が動きを止め苦しみ倒れた。
仮に、言うことを実現させるなどというものであれば、この世の理を超越しているような代物だ。
結構貴重だったんじゃなかろうか?
割れたから消耗品のようだったし。
ともかくあれがなかったら俺はミンチにされて魔力が絶たれ生命活動を停止していただろう。
だが今も俺は予断を許さない状況であることは間違いない。そもそもこんな状態でなんで生きているのか。とりあえずなんとかしなければ。
「ぃぁぁ…」
動こうとした痛みで声がでたが、発音が思ったとおりにならない。喉をやられているようだ。
頭部は守っていたから刺されなかったが、それ以外は滅多刺しだ。物理的に動けるはずもなかった。
もがいた。
でも、動かなかった。
いや、少し動いた。
またもがいてみた。
今度は腕を持ち上げることができた。
掌を広げて青空に伸ばす。
さらにもがくと上体を起こすことができた。
そしてついに立ち上がった。
血が垂れ流しで、ポタポタとなっていた。
腹が破けて内臓がまろびでそうだったので腹を押さえながら歩いた。
転がっている死体の服を剥ぎ包帯代わりに傷を塞いだ。何箇所空けられたのだろうか、数えるのもかったるかった。
包帯を巻くとほとんどミイラ男状態になってしまった。
はたから見れば人間には見えないかもしれない。
だが締まってなかなかうごきやすい。
「…………?……………!!!」
身体が見たことない速さで再生を始めている。傷の治療経過を早送りで見ているような感じだ。魔力で身体を制御しているから、自然治癒に魔力を集中させることによって人間離れした治癒を可能にしているのだと、勝手に思うことにした。
便利な身体だ。
…!いいこと思いついた。
身体の欠けている部分を
その辺に転がってる同じくらいの体躯のやつからナイフで切り取ってはめ込めば…いてて…
………………………………
………………………
……3時間後
「スゲェ…」
いつの間にか喉も大体治ったようだ。そして俺が感嘆しているのは、さっき知らないやつの肉片をくっつけた部分が既にくっつき始めているからだ。
これはなかなかすごいことだ。
包帯を外してみた。血と黄色い粘液でベトベトだった。しかし傷は既に塞がっている。
もう歩けるレベルには回復しているし、リハビリついでに何かめぼしいものがこの辺に落ちてないか探してみよう。
中学校の時の国語で習った羅生門を思い出した。
「では、己おれが引剥ひはぎをしようと恨むまいな……………ハハ…」
砂漠の如き乾いた笑いだった。
……………………………
……………………
…3時間後
「あーいしてーる〜、のひぃ!びぃ!きぃ!!」
歌を歌いながら全力疾走できるレベルになった。
とりあえず鞄と、護身用と調理用に包丁を483本と鍋を拾った。これで野宿もバッチリだろう。
この鞄見た目の割に中身がすごい広くてめちゃくちゃ入るから包丁が全て余裕で入ってしまった。
普通に欲しいな…もう一個ないだろうか。
…………………………
……………………
…3時間後
もう一つあったが結局包丁でぱんぱんにしてしまった。総本数およそ1200だ。
こんなことがあった後だと殺傷力の高い刃物がとても安心感があって、いくら持っても持ち足りないくらいだ。そのせいで鞄が激重だがまぁいいや。どうしてもきつかったら途中で何本か置いていけばいいし。
さて、大体歩けるようになってから2時間くらいたったのかな?いや結構たってるのかな?
時間感覚がバグっていてよくわからない。でも追われている時と比べて太陽はそんなに動いていないように見えるしそれほど長い時間が経っている訳ではないのだろう。
とりあえずあの村に行ってみるとしよう。
最初の女の人の言ってることが本当ならば、街は村を越えた先だ。
残党が怖いが流石にそんなに沢山はいないだろう。それに少数なら勝つ自信はある。
生活用品とか食料品とかあるかもしれない。あと服は欲しい。ズボンはどの遺体も汚れていたから取れなかったのだ。
それにあの村についていろいろ調べてみたい事もある。環境が極限過ぎて考えられていなかったが、いきなり首が飛んだり、周りに何もなさ過ぎたり、住民が多すぎたり、しかも全員家族らしいことだったりと明らかに異常だ。
流石にここがなんなのか気になる。
村に向かってのんびり歩く。
道が死体で埋め尽くされ足の踏み場がない。が、あまり踏むと罰が当たりそうなので気をつけて歩いた。村に向かう途中辺りを見回したがやはり村以外田んぼしか見えない。陸の上なのに海のド真ん中にいるみたいだ。
かなり不気味な状況に若干の恐ろしさを覚えた。
逆に今足元に転がっている新鮮な死体は、初めて見るのにもかかわらず、あまり俺の精神に影響は与えない。多すぎるから感覚が麻痺して風景として脳が捉えているのだろうか。
おお人間って怖い怖い…
村に着くとさっそくある場所に向かった。
あの女の人と、しゃべっていたベンチだ。
ベンチには首の取れた死体が横たわっていた。
首の方は少しベンチから離れたところに転がっている。
先程の死体と違って、この死体を見たとき何か言いようもないものを感じた。おじいちゃんの葬式で死んだおじいちゃんの顔を触ったときのあの感覚に近かった。ちょっと話しただけなのに不思議だ。
怖かったが首は元の身体のあるべき場所に置いておいた。何となく、そうしたかった。
「……」
2礼3拍手。
コクリコクリ。
ポンポンポン。
「……」
さて、探索だ。
そんなに広い村でもないけど一軒一軒となるとそこそこかかるだろうか。まぁ最低限欲しいものが見つかるか、あまりになんにもなかったら切り上げてしまおう。
…いやしかしこの件数であれだけの人数が暮らしていたと考えるのは現実的とは思えない。どう見積もっても100人ギリ住めるかな程度の規模だ。
襲ってきたのは間違いなく100どころではなかった。
どこにいたんだ?
よく分からないので、俺はとりあえずそこそこデカい家を探索することにした。
外観が日干しレンガだったので中もそんなにだろうと思っていた。
が、
「うぉっ」
なんと結構綺麗なもので、元の世界の俺のアパートより立派と思えた。なんとスイッチで点く照明もあるしコンロもあるのだ。絶対太陽光の明かりを利用した旧文明を感じさせる作りになっていると思ったのてかなり驚いた。
どうやらこの家は一階がリビング二階がそれぞれの部屋という造りになっているぽかったので、プライベートなものがありそうな二階をまず探索することにした。
まず登ってすぐの部屋。
ドアは木製で金具で固定してあった。ここらのどこに木と金属があるのだろうか。取り寄せたのだろうか。女の人曰くここには誰も来ないみたいな話だった気がするが…。
とりあえず、開けて入る。
藁の寝床に、棚。棚。棚。三棚。机と、その上にガラクタがのっている。
小学校の展示を見ているようで面白い。
棚を空けてみる。部屋の文明からは懸け離れたような現代的な代物が出てきた。
これは…ハンダゴテ?
電気はどこから…
取り敢えず置いといた。他にも探索したが棚からロープと子供用のズボンと、鏡くらいしかこの部屋にめぼしいものはなかった。
そして2つ目の部屋。2階はこれで全て。
開ける。
「ギィ」
開けようとしたが立て付けが悪い。
こういう扉ってなんか腹が立つ。素直に開けばいいのに。
「ギィ」
またなった。
…?俺は今は扉を動かしていない。
「イイイイイイイイ」
不気味な金切り音のような音が鳴り渡る。
心臓の鼓動が早まった。扉じゃない。
「ハっ…ハっ…ハっ……」
こちらの呼吸が荒くなった。
なかで ゛何か ゛が鳴いている。
包丁を鞄から取り出した。
中にいるのは十中八九敵対的な何かである。
扉の隙間から中を確認する。
積み上げられた藁。開いた檻。変なデカい機械。
床にひっかき傷と血。
痕跡は明らかだが、肝心の何かがいない。
さっきから急に音が止んでいる。
気づいているのだ。こちらの存在に。
だが攻撃してくる気配はない。
「……」
攻撃してくる気配はなかったので、扉をそっと閉めて、そのまま下に降りた。
怖かったのでそのまま家も出た。
とりあえず北へダッシュした。
村を抜けた。
村を抜けてからも、しばらく走った。
そして疲れたので止まって、後ろを振り返った。
村がポツンとそこにある。
いろいろ調べたらなんか秘密があるかもと思ったけど、これ以上はなんか不味い気がする。
というか怖い。ちょっと1人じゃ心もとない。
お化け屋敷とか苦手なタイプなのだ。俺は。
そんな訳で、ロープと子供用ズボンと鏡と鞄2個と、包丁約1200本を持って新天地へ歩みを進めるのだった。
怖かったぁ…
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とある老紳士は今、嫌にフカフカしている背もたれが90度の座り心地0点ソファでかれこれ30分待たされている。隣のなよなよしたのは伝言係で、どうやら所用により、彼を呼び出した者は遅れるとのこと。
「なぁ」
「は、はい」
「私が何故、こうも分かりやすく苛立っているかわかるかな」
「お、お茶が昨日の夜の出がらしだからでしょうか」
「火を炊く達人だな君は。新人君。ん?」
「す、すすすみません!!!(だってこれ出せって会長が…)」
「まぁ教えてやろう。冥土の土産だ。」
「はい…え…?」
「冗談、だよぉ〜……ハハ!!」
「あ、ハハ…」
「最近の若いのは面白いなぁ…すぐ冗談を真に受けるんだからなぁ。」
「はは…」
「まぁ取り敢えず聴きなさい。
まずだ、
君の主の30分の遅刻」
ボスッ
机の真ん中に子供が大口開けたような大きさの穴が開く。
「次に、
本来私はこの件と無関係であるが、今回の件について話したいことがあるということでしょうがなく来たということ」
ボスッ
穴が開く。
「次に、
私は昨日、愛娘との休日の途中だったこと」
ボスッ
穴は10センチ毎に間隔をとって空いている。
「次に、
愛娘に教育に悪い物を見せてしまったこと」
ボスッ
穴は新人に向かうように空いていく。
「次に、
休日切り上げて報告した後、そのことに対する謝罪すらなくただ招集のみの返事しか来なかったこと」
ボスッボスッボスッ
穴は新人の爪先から約10センチのとこまで開いた。
「ひぃぃぃ!!!」
新人がドアを開けようとするが開かない。扉をガタガタ言わせながら必死に懇願する。
「助けてください許してください助けてください許してください」
「次に、
待たせる部屋の椅子の座り心地が不快極まること。」
ボスッ
「次に」
ボスッボスッボスッボスッボスッ
穴は怒涛の勢いで新人に迫る。
「見るからに無能な遣いが、魔界国家連盟八首が一首であり、魔界唯一の学校の校長であるこの私、カラナマラに。
本ッッ当に粗末な茶をだしたことだ。」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ」
ボスッ
新人が、がくりと膝をつく。
液体がポタリまたポタリと落ちる音がする。
新人の涙と鼻水だった。
「ゔぁぁぁぁぁん!!!!!!」
「ハハハハハッ!!冗談だよぉ〜…ハハハッ!」
扉の前でヘナヘナになっている新人の肩に手を置いた。
「おぉよしよし大丈夫だ。流石に態度が目上に対するものじゃなかったから少し驚かしてやろうと思っただけなんだよ…」
新人はガタガタ震えている。
「悪かったな…少し虫の居所が悪かったっていうだけなんだ。許してくれるか?」
新人はまだガタガタ震えている。
「…やり過ぎたかな…?」
カラナマラは懐から飴を取り出す。
「ほれ、飴ちゃんだぞ。マンゴー味だ。」
「…うッ…うぅ…うッ」
新人は目をこすりながら飴を口にほうりこんだ。
その時
バァン!!
扉が開く。新人が扉に押され吹き飛んで壁にぶつかった。そして3メートルは優に越えるであろう体躯の、その割に落ち着いた雰囲気を持つ女性が現れた。
「あぁ…」
新人は壁にヒビを作ってそのまま床に倒れた。
「あらあら〜。あんまりイジメないでもらえませんでしょうか〜?カラナマラ校長〜。
まだパヤパヤのヒヨコちゃんなんですから〜」
「ハハっ暇潰しに付き合って貰っていたんですよ。とても ゛暇 ゛だったもので。」
「あらあら〜。それはお気の毒に〜。」
ボスッ
女性の顔の隣に穴が開く。
「失礼、ミスりました。」
女性はニコニコ笑っている。
「いいですよ〜。さぁ〜もっとお話したいけど2人揃ったことですし、早速本題に移りましょ〜」
老紳士と女性が向かい合って座る。
薄っぺらい表面だけの礼儀で取り繕えないほど険悪なムードであったと、新人は後に語った。
ちなみに新人はどさくさに紛れてこっそり職場に帰って26個くらい愚痴言って寝た。
「報告書でも送ったとおりです。虫が出ました。」
「やっぱり、本当なのね〜」
「正直…ここ最近で最悪の気分です。
柄にもなくストレス発散に若者をいじめるなんてことを、教職に就くこの私がしてまうくらいですから。」
「まぁあの子はそういうホルモン分泌されてるからしょうがないわよ〜。私もちょくちょくやるし〜。」
「そんなことはどうでもいいのです。
スヴァルナ。貴方がたの管理のもと虫は根絶させたのでは?」
「そのはずなんだけどね〜。おかしいわぁ〜」
スヴァルナは白々しくねっとりと喋る。
「右足首にタトゥーが彫ってありましてね。
新魔界協働国家連盟兵器開発部門のマーク。
あれは既に新魔王様により廃止の命がでたはずの、
〚魔造生物兵器虫族〛の開発計画による代物であることの確固たる証拠です。
今も昔も部門責任者は、貴方だ。」
「…あら〜。そうね〜。ほんと〜。」
「今の時代に有力者をやってる魔族で知らないものはいない。前時代の負の産物。
…で?
さっきから何を意味もなくすっとぼけているのですか?どうせ虫関連で何かやらかしたのでしょう。今度は何を手伝わせるんです?
いっつも私を無理矢理巻き込んで…。
腹立たしいことこの上ないが、今回はいつものようなくだらないやらかしではない。
本題を!直ちに!説明願いたい。」
スヴァルナはいつも何かしらやらかす。そしてその度にカラナマラの元へやってきて穏便に解決できるよう手伝わせようとしてくる。もはや様式美と化した流れだ。カラナマラは存外、そんなものを気に入っていた。
だが、今回は何かがおかしかった。虫族は超重要国家機密である。おそらく部下が勝手なことをしたのだろう。しかし、スヴァルナはケアレスミスをよくするが、こういった重大なミスに繋がるは絶対しなかった。そして仮にそんなに重大なミスをした際、こうも気の抜けた態度をとるような責任感のない魔族ではなかったのだ。
スヴァルナは虫族の開発責任者だが、その立場を呪っていた。所業を呪っていた。そんな魔族だったのだ。
様子とは裏腹に、実は気が動転して、こんな態度をとっているのだとカラナマラは思うことにした。
「話が早くて助かるわぁ〜。じゃあ〜。
何もしないで。」
「…は?」
「この件について誰にも話さず、
調べず、
関わらず、
忘れて、
これからもただいつも通りの日常を過ごして。」
「…何を言っている」
「これを守れる?」
「だから」
「あぁ!あぁ!あぁ!あぁ!あぁ!ああ!!!…
それ以上関係のないことを喋るのは許しません〜。質問に答えて〜。
守れる?」
「守らない」
カラナマラは簡潔に、冷静に答えた。
「……そう…」
「虫族は人間どころか魔族すら滅ぼしうる最悪の種族だ。何を考えているか知らないが、本来さっさと全体に共有するべき事案。解決する気がないのなら、他に掛け合う。」
カラナマラが部屋を出ようとした。
「イーラちゃん」
カラナマラの動きが止まる。
ボスッ
スヴァルナの右腕に半径2センチほどの穴が開く。
「手を出したら…いくらお前でも消す。
実力はある。知ってるだろ?」
カラナマラは部屋を出た。
カラナマラは憤っていた。愛する娘を人質にされそうになったからではない。
悪友が、かのような非道にはしったからである。
カラナマラは哀しんだ。
同上の理由からであった。
「……いたた…」
部屋の中でスヴァルナは痛みに顔を歪めたが、すぐに調子を戻した。
「…全く〜。相変わらず容赦ないんだからぁ〜。
でも…虫ちゃんが脱走だなんて、信じられないわね〜。
あの牧場は特殊な結界を張ったんだけど〜。
遣いを……いや」
スヴァルナは懐からルービックキューブのような立方体を取り出した。そしてそれを床に置き、踏みつけると、立方体は眩い光を放ち、部屋を光で塗りつぶした。
「私が、行こうかしら」
光が弱まる。同時にスヴァルナの身も透け始めた。
スヴァルナは腕をさする。
「しかし…これ治すのいくらかかるのかしら…」
読んでくれてありがとうございます。
ホントに。マジで。




