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社畜剣聖、配信者になる 〜ブラックギルド会社員、うっかり会社用回線でS級モンスターを相手に無双するところを全国配信してしまう〜  作者: 熊乃げん骨
第十九章 天月、休暇を取るってよ

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第9話 鬼退治

「素晴らしい力だ……この力さえあれば、腕力で日本を掌握するのも容易い……!」

「この国を守るんじゃなかったのか? もう設定が崩れてるじゃないか」

五月蝿うるさい! 弱き国 弱き政治家 弱き民。このままでは国は衰退し他国に蹂躙されてしまう! だからこそ儂が支え、統治しなければならぬ! 儂が壊し、儂が復興させる! それしか道はないのだ!」

「やれやれ、聞いてられないな」


"いるよなこういう老害"

"おっさん頼むから引退してくれ"

"途中のセリフ五七五で草"

"ほんまや草"

"詠んどる場合かーっ! "


 継川は己の力を誇示するように周囲のものを壊し、俺に見せつけてくる。

 壁を破壊し床を割り、柵をへし折る。

 確かに老体にしてはたいしたものだ。あのモンスター化する薬がたくさん出回ったら厄介なことになりそうだ。


「田中、貴様を殺しその死を世界に配信してやる。そして世界は知る、儂という新たな支配者の誕生を――――!」


 継川は足に力を入れ、駆け出す。

 そして俺の眼前に接近するとその長い腕を振り回し俺を何度も殴打する。

 フォームはめちゃくちゃだが、その威力は高く船の床は瞬く間にベコベコにへこむ。


「ハハハハ!! 粛清粛清粛清ッ!! 羽虫カスは粛清だァ!」


"うわえっぐ"

"完全にいっちゃってるよ"

"継川グループの社員ワイ、ドン引き"

"自分とこの社長がこれなのキッツ"

"社員ニキ頑張って"

"須田といいこいつといいなんでパワハラ上司と田中は引かれ合うのか"

"まあ一番キツいのは、これでシャチケンに勝てると思ってるとこなんだけどね"

"たし蟹"


 俺は振り下ろされる腕をパシっと受け止める。

 パワーを計るために食らってみたが、もう大体分かった。


「パワーはAランク程度。大したことはないな。まあ元がただの老人だからというのもあるだろうが、それほど強くはないな」

「な……ッ! 貴様、離せ!」


 継川は止められた方とは逆の手で殴りかかってくる。

 俺はそれよりも速く拳を突き出し、継川の腹に打ち込む。


 めぎゅ、と腹筋を貫いた俺の拳はその奥の内蔵に損傷を与え、継川の体を「くの字」に折る。


「が……あ……!?」

「お前は人を巻き込み過ぎた。野心家なのは結構だが、欲をかき過ぎだ」


 俺は継川の頬を殴り、吹き飛ばす。

 甲板を転がった継川は壁に激突し「うぐ!?」と声を上げる。


「ふ、ざけるな……儂が……欲をかいてる、だと……? 儂はこの国のことだけを考えている! 儂はこの国を良くするために……」

「違うな。あんたは国を良くしようとする自分が好きなだけだ。だから他人に任せず自分が自分がとわめき立てる。この国はお前をもう必要としていない。お前の時代はとっくに終わってるんだよ」

「な、あ……ッ!!」


"これは火の玉ストレート"

"言えてるw"

"継川グループも最近パッとしないしな"

"老害はマジで地位を譲らないからなw"

"継川は時代に取り残された敗北者じゃけえ"

"王の器じゃないわな"


「儂は、儂が……儂がこの国を……救うんじゃああ!!」


 継川は咆哮を上げながら突っ込んでくる。

 俺はそれを正面から受け止めると、勢いを利用して地面に叩きつける。


「が……!?」


 苦しそうに呻く継川。

 俺は継川の手首を握ると、船外に放り投げる。


 船から降ろされた継川は地面に落下する。


「いったい、なにを……っ」


 よろよろと起き上がる継川。

 俺は船から降りると水面に立ち、船をえいっと持ち上げる。


「よいしょ……と」


"は?"

"船持ってて草"

"なにする気?"

"なんで沈まないんだよ"

"いやまず水面に立てるのがおかしい"

"物理法則くんどこ……?"

"物理法則「働きたくないでござる」"

"頼むから働いてくれ"


 俺は船を持ち上げたまま、ジャンプする。

 そしてこちらを呆然と眺めている継川と目を合わせる。


「貴様、いったいなにを……」

「この国を救い支えるんだろ? だったらこの船くらい支えられる(・・・・・)よな?」

「えっ」


 俺は腕に力を入れ、継川めがけて船を投げつける。

 勢いよく俺から出航した船の先端が、重力の力を得て継川に迫る。


「ぬおおおおおっっ!!?!?!??!?」


 継川は全身に力を入れ、船を受け止めにかかる。


「儂はこの国を守る男っ! これくらい跳ね返してやるぞぉあおっぉあおあふぎりゅ!?」


 ぷちっ、という音と共に船の下敷きになる継川。

 どうやら大型船一つ支えることもできなかったようだ。これでは国を支えるなんて夢のまた夢だな。


「業務終了……今日も忙しかったな。早く帰ってシャワー浴びたいな」


"おつ"

"おつつ"

"おつかれー"

"今日も面白かった!"

"今退職願書いてる"

"社員ニキ強く生きて"

"[¥10000]本日の斬業代です"

"みんなもお疲れ"

"わいもシャワー浴びよ"

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― 新着の感想 ―
最後カリ城やんけ
継川氏、人ならざる者に変異していたから殺人ではなく街に出たモンスターの駆除になる?
まあ、水面走れるんだから、立てるか
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