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社畜剣聖、配信者になる 〜ブラックギルド会社員、うっかり会社用回線でS級モンスターを相手に無双するところを全国配信してしまう〜  作者: 熊乃げん骨
第十八章 田中、コラボカフェを開くってよ

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第10話 浜松町ビーチダンジョン・深層

"あれ、空気変わった?"

"なんかふいんき(なぜか変換できない)違うな"

"もしかして深層来た?"

"まじか"

"っぽいね"

"テンション上がるなぁ〜"

"テーマパークに来たみたいだぜ"

"おいおい大丈夫かよ"


 三上が深層に達したことを察知し、コメントも不安を感じ始めてくる。

 深層はとても危険な場所であり、ベテランの探索者でも複数名で攻略するのがセオリーだ。一人で行動するには危険すぎる場所なのだ。


"深層くらいでみんな騒ぎすぎじゃない?"

"バカ、シャチケンで麻痺してるんだよ"

"深層はガチでやばいところだからな"

"俺行ったことあるけど片腕無くして逃げ帰ったわ"

"うえっ、えぐ"

"生きててよかった"

"五体満足で戻れる方が難しいんだよなほんとは"

"俺も前に頭消し飛んだわw"

"成仏してもろて"

"幽霊もインターネットやる時代か"

"草"


「一人で深層に来るのは初めてですが……今の僕は前とは違う。必ずや大物を倒し、田中さんに認めてもらうんだ……!」


 三上はそう言うと深層に足を踏み入れる。

 強力なモンスターが何体か彼の前に現れるが、それらは無視し三上は奥に進む。彼の狙いは大物のみ、他のモンスターを相手にして体力を消費するわけにはいかない。


"なんかモンスター避けてばっかだな"

"確かに。つまらん"

"普通のダンジョン探索はこんなもんだぞw"

"田中ァのやり方がおかしいだけ"

"視聴者の常識はもうボロボロ"


「深層でもAランクモンスターばかり……やはりこのダンジョンは難度が低いみたいだ。探索はしやすいが、大物を探すのは難しいな」


 大物を探し深層を進む三上。

 するとピタ、ピタ、と足音のような音が彼の耳に入ってくる。そちらの方に視線を送ると、そこには緑色の鱗をした、魚と人が合わさったような生物がいた。


"なんだこいつ!?"

"小さなダゴ助みたい"

"きっも"

"顔怖すぎ"

"なんか武器持ってるし"

"魚人かこいつら?"


 突然の登場に湧くコメント欄。

 一方三上はそのモンスターを見て眉をひそめていた。


「サハギンか……面倒な……」


 Aランクモンスター、サハギン。

 鋭利な牙を持ち、地上でも素早い動きをする魚人だ。


 背は人間の子どもくらいと低く、一体一体の力もそれほど強くないが、群れで行動する上に知恵が働き武器の扱いも上手い。

 特に槍やモリの扱いは人間顔負けで、ベテランの探索者も負けることがある。そんなサハギンが六体ほど三上に接近していた。


「サハギンは食材にならないモンスター。戦いたくありませんが……どうやらそうはいかないみたいですね」

『ギギ……ッ!』


 サハギンたちは邪悪な笑みを浮かべると、一斉に三上に襲いかかる。

 三上は彼らを食材にするつもりはないが、どうやらサハギンたちは三上を食べる気満々なようだ。


"来た!"

"サハギンは強いけどいけるか?"

"駄目だ! 三上くんじゃ止められない!"

"逃げて!"

"三上くんめっちゃナメられてて草"


 手にした槍やモリの穂先を、三上めがけて突き出すサハギンたち。

 絶体絶命の状況に見えたが、三上は冷静であった。


「ふん……この程度で僕をどうにかできると思ったか?」


 三上は突き出された穂先を全て剣ではじいていた。

 以前の彼であればこのような芸当はできなかったが、田中に救われてから猛特訓をした三上は剣の実力を大きく上げていた。


「ふっ。僕は毎日田中さんの動画を十時間以上見ている。配信は全て五周以上見ているし、技を使うところはコマ送りで何百周もしている。その僕に武器の腕前で勝てると思っているのか?」

『ギ……ッ!?』


"草"

"強火ファンすぎる"

"田中ファンのわい、敗北する"

"見てりゃ強いってわけでもないだろw"

"サハギンくん困惑してて草なんだ"

"きもい(褒め言葉)"

"サハギン「なにこいつ……」"

"三上くんって配信されてるの気づいてないんだよな……?"

"カメラ回ってないのにこれなのヤバい"

"田中ァ! こいつも責任取れよ?"


 三上は槍をはじきサハギンに接近すると、サハギンの一体を剣で斬り裂く。

 すると彼を囲むように残りのサハギンたちが襲いかかってくるが、それにも冷静に対処する。


放出ディスチャージ火炎ラハト!」


 剣を握っていない左手から高熱度の炎を発射し、サハギンを二体まとめて焼き尽くす。

 サハギンは乾燥に非常に弱い性質を持っている。火属性の攻撃は相性抜群であり、それを食らったサハギンはその場に倒れる。


「からのぉ……エリートスラッシュ!」


 三上はそう叫びながらその場で回転し、残りのサハギンを回転斬りで斬りつける。

 一回転した後、三上が格好つけながら納刀すると、斬られたサハギンたちは『ギィ……ッ』と呻きながら倒れる。


"うおおおお!"

"やるやん"

"え、三上くんこんな強かったの?"

"なんか納刀の仕方とかかなり田中っぽかったな"

"かなり意識してそうw"

"強火シャチケンファンだからなw"


「やれやれ、無駄な時間を過ごした。早く食材を見つけなければいけないというのに……ん?」


 サハギンの群れを倒し、再び進み出す三上。

 すると彼はダンジョンの中にあるものを発見する。


「これは……湖?」


 三上が発見したのは綺麗な青色をした湖であった。

 神秘的な光を放つその湖は、かなりの面積を誇っていた。


「ほう……湖ですか。こういった目立つロケーションには、強力なモンスターが潜んでいることが多い。観察する価値はあるでしょう」


 三上は湖に近づき、周囲を観察する。

 しかし湖の中はおろか、周辺にもモンスターはいなかった。これほどの立地であればなにかしらのモンスターが生息しているはずなのに、と三上は首を傾げる。


「モンスターがいないのは不思議ですが、今は時間が惜しい。他を探し……ん?」


 ごごご、地面が揺れていることに気づき、三上は周囲を警戒する。

 いったいなにが起きているのか、そう考えていると目の前の湖に大きな波が立ち初め、次の瞬間ざぱぁん!! と湖の中からなにかが飛び出して来る。


『ギュアアアアアア!!』


"うわあ!? なんだこいつ!"

"でっか"

"うお!?"

"なんだこのモンスター!? へび?"

"この青い鱗……シーサーペントだ!"


 湖から飛び出して来たのは青い鱗を持った巨大な海蛇、シーサーペントであった。

 シーサーペントはSランクモンスターであり、かなりレアなモンスター。鱗や牙は良質な武具になるが、その身も非常に美味しく田中も前に配信で蒲焼きにして食べたことがある。


 間違いなく今回の探索で一番の大物。

 三上はシーサーペントの狩猟を決めるが、その体にくっついていたあるものを見て唖然とする。


「ぶへえ! どこだここは!?」


 シーサーペントの長い体にしがみついていたのは、なんとダゴ助であった。

 三上は中層でダゴ助と別れて以来、彼とは会っていない。なんでこんなところにいるんだ、と三上は頭を抱えるのだった。

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― 新着の感想 ―
ダゴ助、普通に水中活動出来る筈だよね?
先が見えた‥笑
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