47話 <エピローグ>
翌日の海は静かだった。海だけではなく周りも。
リルコット曰く、大気が張り詰めてビンビンしていると。スイカ曰く、大きなうねりの前触れだと。
波も風も無い。
「これが嵐の前の静けさ・・・。」
緊張感が張り詰める。船の上も中も船員達が嵐に備えて動いている。
一緒に乗っている乗客達も邪魔にならないように大人しくしている。
やがて空が怪しくなり天候が乱れ始める。錨で固定しているが波で船が大きく揺れる。風も徐々に強くなりビュービューゴウゴウと唸りをあげている。その内稲光も来て大荒れに。
物に摑まってただひたすら通り過ぎるのを待つ。自然の力を見せつけられているようだ。
長い長い時間が過ぎ、眠れない夜が明ける頃、やっと嵐は過ぎて波も静まった。
気を張っていた人々はホッとする。
船員達は船の点検を行い、人々の安否確認をしていく。
気分が悪くしていたり、物にぶつかったり転倒して怪我をした者は船医の所に運ばれた。
錨を上げていると同時にデッキに何かを運ぶ船員達。中には沢山の果物が。
どうするのかと思って見ていると、それらを海に投げ入れ始めた。何をしているのかと近くの人に尋ねたら、あれは助かった事への海への感謝と、教えてくれた事へのお礼であるらしい。昔からの風習なんだそうだ。それで毎回果物は多めに積んであると言う。
後から聞いたことだが、言い伝えは子供用の脅しとして物騒な話をそのまま残しているのだとか。
海に出る者達はちゃんと知っている者は知っている。自分の跡目に伝えていくそうだ。
昔に何か接点があったのだと思われるが、今でも絆を感じるようで素敵だなと思った。
航海はそれから10日余り続き、無事にマリンの街へと入港した。
「さて、もう大体一周しましたけど、ここからはどうするんですか?王都に行きます?」
マリンの街で休息しているエナトたち。外陸も大まかに回り終えた次はどうするのか。
「んんー。ーーー。 モノルス楽団を探そうかな。」
「ん?モノルス楽団ですか?」
「うん。そろそろ3冊目を完成させようと思って。」
「あぁ。」
マナ具の絵本を作るようだ。
「今何処に居るのか情報を集めないとね。」
「分かりました。」
次の行動が決まった。
一度王都へ行き、情報が入って来たら<転移扉>で移動し、<転移扉>の無い街・村ならそこから馬車移動する事になる。
半月後には王都に向かう馬車護衛の仕事を引き受けて、エナトたちは馬車の旅に。
「船旅も良かったけれど、やっぱり馬車の旅が落ち着くねー。」
今は村も点々とまた出来ている所が増えて、街も近いと長蛇の列で旅をする事はなくなった。
ガタゴト揺れる感覚に親しみを感じている。やはり旅はゆっくりのんびり進むのが良い。長閑な道程を進みながら浸る。
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エナトは思う。この先もきっと色んな事がある。知らない事を学び、出会いと別れがあり、嬉しい事も悲しい事もあるだろう。それでもゆっくり進みたい。
エナト・マルナの人生を味わいたい。
いつかこの地を去る事があっても、ずっと ずっと 見守っていきたい。
自分の足で歩む感覚を覚えていたい。
沢山の思い出を忘れないでいたい。
約束した事を叶えたい。
共に生きているこの時の幸せを、これからもずっと宝物に。。
かけがえのない大事なものだから。
何度でも友人に会いに行こう。そしてギュッと抱きしめよう。
生きている時は永遠ではない。おじさんでもお爺さんになっても、築いた親愛を失わないように努力しよう。
「エナトーっ。 ご飯ですよ~っ。」
「はーいっ。」
思いの決意を胸に、エナトはこれからも一般庶民(?)として生活する。
= 完 =
これにて完結。
でも旅は続く!
お読みいただきありがとうございました!!<(_ _)>
おまけで書きたくなったら続くかもしれませんが。。
誤字脱字があるなかここまで読んでくれて感謝ですっ。
また別の作品を投稿したらよろしくお願いいたします!(*^^*)




