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完全思考操作型VR機器

「CAPO」の読み方「カーポ」です。

CAPO。フランスのゲーム会社の手掛ける大人気ゲームで、剣と魔法の世界で生き残りを賭け、モンスターや敵プレイヤーと戦いながら発展していくことをコンセプトにしたオープンワールド型サバイバルクラフトVRゲームである。

だが、このゲームが世間の注目を浴びたのはゲームのコンセプトが面白かったからではない。こういったコンセプトのゲーム自体は過去にもいくつか発売されている。このゲームが他と一線を画す理由はゲームを操作するハードの方にある。前述した通り、CAPOはVRゲームであるが、本来のVR機器とは違い、CAPOは完(・)全(・)思(・)考(・)操(・)作(・)型(・)VR機器を使用する、唯一無二のゲームなのである。

完全思考型VR機器とはゲームの中に実際にいるかのような体験ができる最新機器なのであった。


優斗からCAPOを勧められた翌日の土曜日早朝。澄玲(すみれ)は完全思考操作型VR機器の説明書を真剣な顔で読んでいた。


(これつけても平気なのかな…)


澄玲の疑問はもっともなものだ。この機器が体に害をもたらすものだったとしても、使った後ではもう遅い。そのため澄玲は念入りに説明書を読み、公式ホームページ、口コミなどを一通り調べ上げ、安全の確認を行うのだった。

澄玲は確認を終えると、パソコンを操作しゲームを起動する。


(よし、準備完了。一年ぶりのゲームだし、今日くらい良いよね)


必要最低限の設定を完了し、VR機器を頭から被りベッドに横になった。

ゲームに入ってまず現れたのはタイトル画面で、暫くすると遊び方を選択する画面に移った。

澄玲は『マルチプレイ』の選択肢に思(・)考(・)操(・)作(・)でカーソルを合わせる。


(すご、これが噂の思考操作か、何だか変な感覚だな。)


澄玲が選択すると画面が切り替わり、サーバー一覧がずらりと表示される。そこから優斗に言われたサーバーを選択すと、次の画面に切り替わった。


(これはキャラメイクかな?結構色々出来るみたいだしちょっと凝ったの作っちゃおっと)


十五分ほどキャラメイクと格闘し、出来上がったのはスラリとした長身に、ショートヘアの赤い髪を靡かせたアバターだった。


(よし、これで完璧)


出来上がったアバターは澄玲が想像した通りのものが出来上がり、満足感が心を満たしていた。


(プレイヤーネームは…メイっと)


このプレイヤーネームは、いつも使っているお気に入りの名前だ。

ゲームスタートをクリックすると、何とも言えぬ眠気に近い感覚がを襲い、闇の中へ落ちていった。


目を覚ますと、メイ(澄玲)は砂浜に立っていた。見渡すと前方には真っ青な海が広がっており、水平線の際に幾つかの小島が見えた。後方には椰子の木に似た南国特有の木々が茂っていた。


「すっご、本物の海みたい」


暫く景色を眺めた後、思い出したかのように体を動かしてみる。指の曲げ伸ばしに始まり、屈伸にジャンプ、バク宙などメイが思いつく限りの動きを試したのだった。


「やっぱりゲームだけあって身体能力すごいな。関節も柔らか〜」


感慨に耽っていると、視界の端にメッセージが届いたことを知らせるバナーが表示される。メニュー画面を開き、メールのを確認する。送り主は莉緒で、合流場所と自分のプレイヤーネームを伝える旨が書かれていた。


「初期スポーン近くの集落か」


レイはプレイヤーネームをチャットで伝え、初期配布の地図を取り出すと、行くべき方向を確認しバッグにしまった後、椰子の森の中へと走り出していった。

森に入ってすぐ、段々と椰子の木から背の高い熱帯樹へと代わる。

突然、メイは足を止める。スタミナが切れた訳ではない。前方にゴブリンのようなモンスターが立ち塞がったのだ。

その数3体、全員石で作られた槍を持っていた。


「戦闘か、ちょうどいいし魔法でも使ってみようかな」


三体のうち二体が左右に動き、囲い込むような動きを見せる。その動きを見てメイは迷わず前方の一体に飛び掛かった。


「『痺れろ(ナルケー)』」


そう叫んで発動させた魔法はレベル1の電気魔法。その効果は対象を半秒行動不能にするが射程が一メートルと短いのが欠点の魔法だ。メイは行動不能のゴブリンの背後に周り、槍をはたき落としたのち腕を使って首を絞める。首を絞めているゴブリンを盾にして、他の二体からの攻撃を回避する作戦だ。

案の定二体は攻め倦ねているようだ。隙を見て槍を突き出してくるが、抱えているゴブリンを動かす対応を取るだけですぐに槍を引っ込めてしまう。痺れを切らし一体が回り込もうとするが、その行動は虚しく首を絞められたゴブリンが死んだことで無駄に終わる。

メイは同じような方法で他二体を撃破した。


「魔法の使い方は上々、戦い方も結構自由が利いて楽しいな」


感想をこぼした後、再び目的地に向かって走り出した。


待ち合わせの集落に到着し、辺りを見回した。白い石造りの建築と古代ギリシャ風の服を着たNPCがいる中、明らかに異質を放つ男女二人組が話し込んでいた。一人はやけに筋肉の発達した長身の男で、黒髪のドレットヘアーを後ろに流している姿にレイはラッパーを連想していた。もう一人はスリムで小柄な女で、ブロンドの長い髪をを垂らしていた。おまけに頭からウサギの耳らしきものを生やしている。ここまで来ればNPCと疑う余地もなくプレイヤーだろう。そう考えたメイはプレイヤーネームを確認するべく二人組に近づいていった。








名前が某有名作品と丸かぶりしてることに気づかなかったので変えました。

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