仮免実地試験
仮免試験当日。
筆記試験を終えたコウは教習所の外にいた。
「おい! アイツだぜ? いきなり飛び級してきたヤツ!!」
「噂は本当だったんだな! 本来のカリキュラムを飛び越えて来たっての言うの……」
「でも、神具は輪ゴムだろ? 仮免試験で落とされるんじゃねぇ?」
「もしくは、教習所の恥になるから退学させる為に、飛び級なんじゃね?」
勇者科の先輩達が噂をしていると、教官が怒鳴る。
「静かにしろ!! 今から、勇者仮免試験の実地を行う!! ターゲットは火竜だ! 勇者たるものこの程度のモンスターを倒せなくて、勇者を名乗る者とは言えん! 試験とは言え、油断すれば命はない!! 心してかかる様に!!」
「はい!!」
「後、今回は特別に飛び級が2名いる! 1人は皆噂で知っているとは思うが、コウ!」
「はい!」
「そして、もう1人はアクア!」
「はい」
何とアクアも飛び級して仮免試験に参加していた。
「いいか!? ターゲットは火竜だ!! 制限時間は今から1時間…… 各自健闘を祈る!!」
「はい!!」
受験生は各自散開して行った。
「コウ君! がんばろうね!!」
「アクアも飛び級だったなんてビックリしたよ」
「コウ君に負けない様に2日間がんばったんだよ!!」
「そうなんだ! オレも負けてられないな!!」
「コウ君! この実地試験は火竜を倒す事なんだよね?」
「そう教官が言ってたね」
「でも、1人で倒せとは言ってなかったよね?」
アクアの言葉に、コウは何かに気づく。
「そうか!! 勇者は本来1人で戦うものじゃない…… 相手が強敵ならなおさらだ!! アクア!! 一緒に火竜を倒さないか?」
「さすが、コウ君! やっぱり、そこがこの試験の本来の目的だったんだね!! 一緒に頑張ろう!!」
コウとアクアは火竜がいると思われる火口近くを探す。
「アクア…… あれ……」
コウが指差す先には火竜が寝ていた。
「やったね! コウ君! 火竜を倒して一緒に仮免取ろうね!」