魔王との対決! 旅立ち
「ま、魔王だって!? 伝説の勇者様が倒したあの?」
「いかにも…… 我が肉体は100年前に滅ぼされた……しかし、精神は生きておったのだ……肉体の再生に100年もの時間を要したがな……」
コウの言葉に魔王は答える。
「コ、コウ君…… 私達じゃ…… 」
アクアは震えて、腰を抜かす。
「伝説の勇者と同じ神具を使う者よ…… 貴様はまだ勇者になりきれてはいない様だな……」
「だ、だったら……何だ!!」
「ヒヨコの内に殺しておくに決まっているであろう!?」
魔王は手から、火球を出すとコウを目掛けて投げつける。
「うわぁぁぁぁ!!」
かろうじて、避けるもダメージは受けてしまう。
「クックックッ…… ここで貴様を殺しておけば……我が野望の前に立ち塞がる者はいなくなる……」
魔王は、再度火球を作り出し、コウに投げつける。
(こ、このままじゃ…… オレもアクアも魔王に殺される……)
「どうした? もうおしまいか?」
(伝説の勇者様!! オレに力を!! アクアを助ける為に、力を貸してください!!)
コウの祈りが届いたのか、輪ゴムが光出す。
「ま、まさか? な、何だ!? この光は!?」
コウの輪ゴムがゴムバンドに変化する。
「こ、これは!?」
「ゴ、ゴムバンドだとぉ!?」
魔王はゴムバンドを見て驚く。
コウはゴムバンドでゴム鉄砲を作ると、魔王に向ける。
「いっけぇぇぇーー!!」
ゴム鉄砲を放つと、魔王の左腕が消し飛ぶ。
「ま、まさか……輪ゴムを進化させるとは……」
魔王は焦った表情をするも、すぐに冷静さを取り戻す。
「今回は、我も深手を負った…… その命……しばらく預けるとしよう……貴様……名は何と言った?」
「コウだ!!」
「コウか…… 確かにその名覚えたぞ!! 次会う時こそ貴様の命を貰い受ける!!」
魔王はそう言い残すと姿を消した。
「魔王……」
魔王が復活した事は、あっという間に世界に知れ渡った。
「コウ! お前!! 本当行くのか?」
「はい!! 魔王を倒す為に……いえ、勇者になる為にオレは勇者教習所に通ったのですから……」
「そうか……なら、何も言うまい……仮免が受かっただけで本試験はまだなんだから、必ず戻って来いよ?」
「はい! 教官!! ありがとうございます!」
教習所の教官に見送られて、コウは旅立った。
しばらく歩くと、アクアが立っていた。
「コウ!! 魔王を倒しに行くんでしょ?」
「あぁ!! そのつもりだ!!」
「なら、私も一緒に行くわ!! これでも、私も仮免受かったんだから!!」
アクアはニコリと笑う。
「そうだな…… 勇者は1人じゃ戦えないもんな!! 一緒に魔王を倒そう!!」
「うん!!」
こうして、コウとアクアは魔王を倒す旅に出たのであった。
伝説の勇者コウとなるのは、もう少し先のお話……