メイキング・バッド
リーダーの短パンに地肌が触れるのは、なんだか彼女を汚しているようで変な気分になった。もしかしたら、あのとき新たな世界への扉が開いたのかもしれない。
「キッツ……はぁ。なんとか着られました。もうこっち向いてもらっていいですよ」
「嬢ちゃんの着替えなんて最初から見る気ねーよ。花火でも見てたほうが数倍マシだ。……って、またすげー格好だな。パッツンパッツンで逆に誘ってるようにしか見えん」
「だからサイズ小さいって言ったじゃないですか。リーダーごめんなさい……」
「そういや漏らした後のパンツはどうした?」
「ここにあります」
「なんでまだ持ってんだ」
「結構お気に入りだったんです、これ。ポイ捨てするわけにもいきませんし。かといって持って歩くのもどうかと思いますけど……」
「この先穿く気がなきゃ墓でも建ててねんごろに弔ってやれ」
「シュール過ぎます。あ、もし河童さんが欲しいならお譲りしてもいいですよ」
「いらんわバカ。どっからその発想出てきた」
「まだ使えるけれどいらないものは他人に譲れば処分できる上に恩も着せられて一石二鳥だとお母さんが言ってました」
「嬢ちゃんのお母さんとは一度話してみてーな、ホント」
「これだって、川で洗えばまだはけると思いますよ」
「穿けねぇよ。よしんば穿けたとして河童さんじゃサイズ的にTバックみたいになるだろうが。新種のUMA現るだろうが」
「何も着ないよりマシでは?」
「下着穿いてない男とパンティ穿いてる男はどちらがより変態かという深遠な問題に至る」
「いまの私には贅沢な問題に思えます」
「嬢ちゃんにだって選択肢はあっただろ。脱いで穿くか、そのまま穿くか」
「あのまま短パンはいたら汚れちゃうじゃないですか」
「五十歩百歩だろ。嬢ちゃんが股洗わずに穿いてたら汚れることに変わりねぇよ」
「それはそうなんですけど、この服はちゃんと洗って返すつもりです。もうリーダーたちと合流するのは難しそうですし」
「そうか。気をつけて帰れ」
「……ちょっと」
「なんだよ」
「この格好の女の子に一人で夜道歩かす気ですか。そこは河童さんが責任もって私を家まで送るべきところでは?」
「なんの責任だ。今の嬢ちゃんとおれが一緒に歩いてるとこ見られたら、完全に公序良俗に反する遊びをしてると思われるわ」
「そう思われてもいいです。もういっそそういう関係になればいいのでは」
「風邪でも引いたか」
「ついでに私の両親に挨拶していけばいいでしょう」
「問答無用で殺されるだろうな」
「そのときはねんごろに弔ってあげます」
「身に余る幸せ」




