おっぱいと奥様
「ベロベロベロベロバー! あはは、笑った笑った」
「…………」
「コチョコチョコチョコチョー、あはははははは」
「…………」
「なんであんたはまたそんな恐い顔してるのさ」
「文ちゃんばっかり構ってないで、自分の子供と遊んだらどうですか」
「ヤキモチ?」
「妬いてません。でも文ちゃんは私の子です。あなたの子は煌翼くん」
「あー、うちの子、あたしと遊ぶより一人で遊ぶほうが好きっぽいのよ」
「それはあなたの構い方に問題があるのでは?」
「文ママも文が成長したらわかると思うけど、いまうち絶賛イヤイヤ気突入中というか、遊んでるとき人に手出しされるの嫌がってさ。家事のときは助かるけどね」
「そういうものですか」
「その点、文は素直に反応してくれて可愛いわー。やっぱりこのくらいが一番育ててて楽しい時期だよねぇ」
「あんまりおもちゃにしないでください。そろそろお昼寝の時間なので」
「ああ、だんだん反応薄くなってきたな」
「おねむの前におっぱいあげないと。ちょっと抜けます」
「別に誰も見てないんだから、ここであげればいいじゃん」
「いや、さすがに白昼堂々授乳なんて」
「人目につかないとこ行くほうがあぶないよ。あたしも煌翼が文くらいの歳のときは、よく公衆の面前でミルクあげてた。ファミレスとか電車ん中とか」
「……それ、周りの人が目のやり場に困って大迷惑だと思います」
「ほ乳瓶だったけどね」
「はぁ、ほ乳瓶でできれば私もそうしますよ。この子直接おっぱいからじゃないと飲まないんです」
「だとしても、いまここに目のやり場に困る人間はいない」
「目のやり場に困らないというか、ガン見してきてるじゃないですか、現に」
「大きいよね」
「今さらあなたに言われなくても知ってます」
「いや、あたし俗に言うヒンニューだから羨ましくて。どうすればそんな大きくなるの?」
「知りません。と言いますか、あなただけならまだしも、あなたんとこのエロガキも私の胸凝視してきてるんですけど」
「エロガキ言うな。気のせいだよ。まだ二歳だぞ?」
「……おっぱい」
「ほらおっぱいとか言ってる」
「本能だな。子供としての。あるいはオスとしての」
「後者だとしたら嫌過ぎますね。……ちょ、煌翼くん、見つめるだけならまだしも手はメッ! ダメだよ!」
「ははは」
「はははじゃねーです。笑ってないで止めてください」
「こらコースケ! おばさん困ってるだろ!」
「おば……!?」
「お母さんので我慢しろ。そんな無駄にデカいのよりハリツヤあるぞ」
「何ほざいてくれてるんですかね。顔じゃあるまいし、おっぱいにハリツヤなんていりませんから」
「張り合ってくるな面倒くさい。ほら煌翼、あっちにおっぱいより面白いものありそうだぞ」
「どんな誘導ですか」
「ヤ! イヤ!」
「あー出たよイヤイヤ攻撃。これ始まるとなかなか手に負えないんだよなぁ」
「あなた母親でしょうが。しっかり躾しなさい」
「うーん、ものは相談なんだけど、ちょっち揉ませてやってくんない?」
「断固拒否します!」
「ケチだなぁ。減るもんじゃあるまいし」
「減りますよ! 女としての……尊厳が!」
「なんでちょっと詰まったんだ?」
「脳内夫に突っ込みを受けました」
「は?」




