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建国記念パーティー

 1週間後。社交パーティーに彼は現れた。昔、何処かで会ったような‥‥‥。そこまで考えて、思い出していた。小説『青い薔薇と乙女の秘宝』に登場するスウェン王子を‥‥‥。


 少しヤツれていたが昔、アニメで見たスウェン王子そのものだった。あれから13年経っているから、今は30代前半といったところだろうか。わたしの『年上好き』の噂の内容にも一致する。


 「お初にお目にかかります、スウェン・サクフォンと申します。この度は、このような場にお招きいただき誠にありがとうございます。新しく生まれ変わったスウェン・サクフォンを見ていただければと思い、馳せ参じました」


(いや、招待客リスト作ったのストラウドだからね‥‥‥。今、知ったよ)


 「陛下、私が選んだ『お見合い相手』ですよ」


 ストラウドが後ろから小声で話し掛けてきた話の内容に、あやうく声を出すところだった私は、引きつった笑みを浮かべながら答えた。


 「この度は、遠路はるばるお越しいただき、ありがとうございます。お疲れでしょうから、ごゆっくりお寛ぎください」


 「陛下‥‥‥。後で1曲お相手していただけないでしょうか?」


 しまった‥‥‥。と思った。ダンスを踊る前なら、『足を痛めているので』とか何とか言って断る事も出来ただろう。しかし、先ほど他国の外務大臣に請われて、2度ほど踊っているのだ。今、ここで断るのは流石に外聞が悪い。


 「この後も予定が詰まっておりますので、確実なお約束は出来ませんが‥‥‥」


 「構いません。あちらで、お待ちしております」


 彼は元気よく答えると、壁際へ下がっていった。話しに聞くスウェン王子は、確か罪人で辺境の地で働いていたはず‥‥‥。それが、どうしてここに? 私が疑問に思っていると、ストラウドが素早くこちらへ来て、事情を説明してくれた。


 「彼は平民に身分を落とした後、1からやり直して今の辺境伯爵領を治めています。とても優秀だと聞いておりますし、陛下の伴侶に申し分ないかと私は思います。それに‥‥‥」


 「それに?」


 「陛下の年上好きにも合致します」


 「は?」


 「王子だった頃は、女にだらしなかったかもしれませんが、今は真面目に働き、民衆の信頼を得ています。前国王に操られていたことを知っていた人もおり、同情している人が多いのです‥‥‥。今の地位は相応しくないと」




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