命を狙われる理由
『それで‥‥‥』
「まだ何かあるんですか?」
『魔王ステファンの魔王としての力を一部封印したモノは、聖女リリアの親族がいるというソンソムニア国へ預けたのじゃ』
「ん? ソンソムニア国へ預けた?」
私は思い出していた。スウェン王子と子供の頃、遊んでいたときに『家宝の間』へ入ってしまったことを。綺麗な小箱の中身が気になって開けてしまったことを‥‥‥。
「妖精王!! まさか、私は‥‥‥」
『ああ‥‥‥。そのまさかじゃ。そなたの中には、魔王の力の一部が眠っている。大方、城にいるときに、小箱の中身を吸収してしまったのじゃろう』
「それじゃあ、私が命を狙われている理由って‥‥‥」
『魔王が真の力を取り戻すことを、周辺国は恐れているのじゃろうな‥‥‥。まあ、気にしても仕方のない話じゃ』
「んっ‥‥‥」
その時、木の中から少女の声が聞こえたような気がした。
「‥‥‥誰?」
『我が名は妖精王。聖女リリア、お目覚めか?』
「私は聖女じゃないわ。ただの5才児よ」
約400年眠っていた割には、少女は木の中から出てきて、しっかりとした面持ちで話していた。少女は、妖精王と同じく麻のような素材で出来たワンピースを着ていた。
「はじめまして、リリア様」
「あなたは誰? 私のメイドかしら? ごめんなさい‥‥‥。頭がボーっとして、眠る前の記憶が曖昧なの」
約400年も眠っていたら、確かに記憶は曖昧だろう。今、これだけ話せている事の方が驚きだ。
「私、ソンソムニア国の公爵令嬢、スザンヌ・ボルティモアと申します」
私がニッコリ微笑むと、リリア様は目を見開き驚いた表情のまま固まっていた。
「スザンヌ・ボルティモアって、あの悪役令嬢の?!」
「はい?」
私が彼女の言葉に驚きを隠せずに動揺していると、ストラウドが側へ来て言った。
「聖女リリア? 一体どういう事だ?」




