二次創作
「‥‥‥」
少女は頭痛がするのか頭を抑えると、俯いていた。
「ルテラ‥‥‥。あれから、どうなったのです? なにがありましたか?」
少女が妖精王に尋ねると、妖精王は気まずそうに答えた。
『リリア‥‥‥。あれから約400年の時が流れています‥‥‥。おそらく、貴方の知る人は誰もいないでしょう』
「えっ‥‥‥。400年も?!」
『こちらの方々に貴方のことを聞かれたので、状況を説明するために連れて参ったのです。まさか、リリアが目覚めるとは思いませんでしたが‥‥‥』
私は2人の話について行けずに、妖精王と聖女リリアを眺めていた。ストラウドは呆れてしまったのか隣で溜め息をついている。
「じゃあ、両親だけでなく兄様や姉様もいないのね」
『‥‥‥人間の寿命は短く、儚いものです』
「‥‥‥400年もの間、ルテラが世話をしてくれていたの? ありがとう」
『いえ‥‥‥。ウロの中は時が止まりますから、見守っていたに過ぎません』
「それでもよ‥‥‥。それにしても、ここが『青い薔薇と乙女の秘宝』の小説の中だったとは‥‥‥。いえ、待って‥‥‥。さっき話し声が聞こえたのよね。あなたの名前、もしかしてストラウドだったりする?」
「俺? そうだけど」
ストラウドは話について行けないのか、先ほどから目を丸くしながら固まっていた。
「やっぱり‥‥‥。この世界は『青い薔薇と乙女の秘宝』であって、『青い薔薇と乙女の秘宝』ではないのね」
「どういう事?」
「だって、小説の中には『ストラウド』なんて人物、出てこないもの‥‥‥」
「あっ‥‥‥」
失念していた‥‥‥。前世の記憶を思い出してから色々あって、記憶が曖昧になっている部分があったのだ‥‥‥。ゆっくりする思い出せばいいと思っていたのだが、思い出す暇も無かったせいか、まだ記憶が曖昧な部分もある。
「‥‥‥」
「確かに」
「もしかして、貴方も転生者?」
「え、ええ」
「なら、話は早いわ‥‥‥。ここは、二次創作の世界よ」
「二次創作って?」
「まさか、二次創作を知らないの?」
「す、すみません」
私は『二次創作』の言葉の意味を知らなくて、森の中で五才児の女の子に怒られていた。




