第104話 ダンジョンの危険性
「ダンジョンが弾けることはそれほど珍しくないみたいだね」
「まぁ、この国はダンジョンが異常に多いからな」
「冒険者が入ったりして固まっているのを間引いて、混ぜないとな」
「トイレのつまりを直すみたいだな」
「ハハッなんだよそれ」
こないだガウの後にトイレのつまりを直したのは俺だ……
「さて、ここがギルドに頼まれたダンジョンか……」
「強力な敵が多くて挑戦する人が少なすぎるんだっけ?
心置きなくコアまでいただきますかね」
「そうだな……準備はいいか?」
「俺はOKコウメイも……」「問題ありません」
「じゃ、行きますか!!」
バーンと扉を開けてダンジョンに飛び込む。
ギロリ……
目の前の大量の瞳がこちらを睨んだ……
「……はぁ……トイレづまりの話なんてするからかな……」
「まとまってていいじゃねーか」
「行きましょう!!」
ダンジョンに入ってすぐ、ホール状になっている広い空間がモンスター溜まりになっていた。
一斉に魔物たちが襲いかかってくる!
「一閃!」
「剣舞乱撃!!」
「テンペストブロウ!」
俺たちの剣戟と魔法が入り乱れる。
「ふはははは!! 近づく奴らは死ぬぞ!」
「魔物が多すぎて熱い!! コウメイ!」
「かしこまりました、アイスブリザード!!」
魔物密度が高すぎて部屋が息苦しかったが、魔物たちの魂も凍らせるほどの冷気をぶっ放したおかげで随分と涼しくなった。
極寒魔法にレジストした魔物のはく息は真っ白に染まっていたが、魔法が効かず俺たちを恐怖に陥れるだけの力は持ち合わせていない。
冷気で動けなくなった魔物はガウが砕き、俺たちに襲いかかってくる魔物は俺とコウメイが噛み砕く!
「オラオラ!! どんどんかかってこい!!」
「思ったよりも多いな、コウメイ、裏に回ってくれ!」
「かしこまりました!!」
ただ背後に回るだけではなく、交差時に機動力を奪うことは忘れない。
こういった混戦状態で怖いのは機動力のある魔物だ。
丁寧にそう言った魔物の脅威を取り除くことで事故を防ぐ。
「なかなか面白かったが、まだまだだな!!」
魔物だまりを制圧してガウが不満を口にする。
確かにハイレベルな魔物が出ると言われていたダンジョンの魔物溜まりが大したことがなかったことはもったいない。
それでも大量の敵兵を防ぎ切った高揚感はある。
前後から挟撃したおかげで、魔物や死霊たちをあっという間にぶっ倒した!
「大漁大漁」
「結構危ないタイミングだったのかもな、弾けてたらけっこう大変だったな」
「量も質もまぁまぁだったもんね……」
「とりあえず第二階層につながる階段見つけました」
「仕事が早いな!!」
「優秀なスライム君の働きに見合うように俺たちも頑張るとしますか」
「そうだね、コウメイ、気になるものなければ最深部まで一気に進もう」
「わかりました」
超優秀な斥候がいる俺達は、入り口でこそ小さなトラブルに見舞われたが、残りの道程は順調に進むことが出来た。
いくつかのそれなりな武具や道具も手に入れながら、順調に深部へと進んでいく。
「ガウ! ドラゴンがいる!」
「おっ! いいね、行こうか!」
「マスター、ガウ様、奥にも2体居ますので、合流させるのは得策ではありません」
「3体……誰が一番最初に倒すか競争だな!」
「はっ! 負けるかよ!」
「マスター……負けませんよ?」
「いいね! 行こう!!」
こうして戦いの火蓋が切って落とされた。
ドラゴンの上位種は魔力を帯びた鱗の性で物理攻撃も魔法攻撃も非常に通りにくい。
その鱗は最高の素材の一つで一枚手に入れるだけでも家が建つと言われている。
その鱗を巨大な大剣でまるで鯛を捌くときのようにウロコ取りをしてやる!
「ガアアアァァァァ!!」
鱗を無理やり剥がされると非常に痛いらしく大暴れだ。
巨体に似合わない超速の攻撃を避けながら鱗を回収していく。
鱗の下にも分厚い皮と筋肉、強固な鎧が待っている。
でかいし早いし硬いし強いし、ドラゴンを倒すことは名誉になることもわかる。
「ユキムラとの修行がなければ、尾の一振りで何が起きたかわからずに死んでいたかもな……」
まるで走馬灯のような世界での行動は、ある以上の魔物との戦闘では必須技能だ。
人間の限界を超えなければ、強靭な魔物たちとは戦えない。
少なくとも、ソロでダンジョンを探索をするような超越者には必須スキルと言っていい。
「トドメだ!! 破龍爪牙!!」
上下から挟み込むような斬撃が、図太いドラゴンの首を噛みちぎる!!
「よっしゃ!! どや!?」
振り返るとガウが同じようにドラゴンの首を落としていた。
そして、スライムたちはゴーレムで素材の剥ぎ取りをすでに始めていた。
「ぐっ……負けたか……」
「はぁ!? 俺が最下位か……」
「おふたりとも倒し方が雑ですよ。特にガウ様はもっと丁寧に鱗を剥いでください」
「も、申し訳ねぇ」
「ゴーレムはずるくない?」
「これも私の能力の一つですから」
ゴーレムを手に入れて、スライムたちはまた一段と強くなるのであった……




