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99鱗目:合宿!龍娘!

 み、み、みー……みかー……みー…………


「三浦先生!」


「まぁ実在してるしセーフで、インドネシア」


「やっとさなっちからまともに知っとる国が出たんやけど……それじゃあ、アルデンテや」


「テか……そうだなぁ。じゃあ、テラス」


「やーっと調べなくてもわかるやつが出たな、それなら炭で。ほい鈴香」


 また「み」?!


「もう思いつかないよー!隆継のいじわるー!」


「はっはっはっ!ほーら言えなかったら後でジュース奢ってもらうからなー?」


「ぐぬぬぬぬぬぬ……」


 生徒達でワイワイガヤガヤと賑やかな時折大きく揺れるバスの中、後ろの広い席に座っている僕達もしりとりなんかをしながら賑やかに過ごしていた。

 そして何故僕達がバスに乗っているのかと言うと……


 み、み、みー……みかんー……はダメだし…………


「ん〜……」


「はーい皆ー、ちょっと静かにしてもらっていいかなー?」


「おっと、どうやらここまでみたいだぞ鈴香」


「え〜」


 ぐぬぬぬぬぬぬ……!まぁとらちゃん達にジュース奢るくらいだしいいか、とりあえずは先生の話を聞かないと。


「もうそろそろ新入生学期末合宿を行う合宿場に着きます。外は雪も積もっててとても寒いので、体を冷やさないように気をつけてくださいね」


 「「「「「はーい」」」」」


 新入生の二学期末に行われる合宿の為、半日程バスで走った先にある山奥の自然豊かな合宿場、正式名称少年交流の家へと向かっていたのだった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 高い木々!雄大な山々!そしてそれを飾る真っ白な雪化粧!でもそんなことより─────


「さむい、早く部屋に入りたい」


「鈴は寒いの苦手だものね」


「爬虫類やからかな?」


「たぶんー」


「ほらそこ、喋ってないでちゃんと話を聞きなさい」


 「「「はーい」」」


 外は雪に覆われた広い体育館の中、点呼を取るために男女に別れた僕達は、寒いのを我慢しながら先生の有難いお話を聞かされていた。


「それじゃあ各自荷物を持って女子は女子、男子は男子の先生の指示の元移動を始める事。

 3時半からホールで当青少年交流の家の説明があるから、それまでにはホールに集合してください」


「だそうよ」


「それじゃあウチらも移動せんとな」


「早く行こ、凍え死んじゃう」


「ほんと、心底冷えるわぁー……そういやすずやんは部屋も一緒なんかね?」


「どうなんだろ……特に事前に何も聞かされてる訳じゃないけど…………」


 皆と寝る事について何も考えて無かったけど、改めてそう言われると色々と不味いよなぁ……

 いや、僕の内面的な意味も勿論あるんだけど、それだけじゃなくて尻尾とか翼が周りに人が居ると単純に危ないんだよね。


「うーん、どうしたものか」


 そんなこんな考えている内に気がつけば女子部屋の前についていた僕は、ぞろぞろと部屋に他の女子達が入っている中代永先生に呼び止められる。


「天霧さんちょっといい?」


「はい、なんでしょう」


「天霧さんにはとっても申し訳ない事なんだけど、天霧さんだけ寝る時は別の部屋に寝てもらってもいいかな?」


 ナイスタイミング!これで不安解消、ゆっくり何も気にせず快眠出来るね!決して女子部屋に入らなくて良かったとかは思ってないよ!うん。


「勿論構いませんが……急にどうして?」


「うーん……本来こういうのは良くないんだけど、天霧さんと一緒に居させる事に反発する親御さんが居てね。

 それにここのお偉いさんもどうやらその考えに賛成みたいで……ごめんね?せっかくお友達と一緒だったのに」


「いえいえ、僕も寝る時翼とか尻尾が危ないしどうしようと考えてたので丁度良かったです。それで僕の部屋は?」


「ここから2つ隣りの角部屋の個室よ、代わりと言ったらなんだけどそれなりにいい部屋だから。それと消灯時間までは普通に女子部屋に居ていいから、合宿楽しんで頂戴」


 まぁ多分きっととらちゃん達が遊びに来てくれるだろうから寂しい思いはしないだろうけど、その気遣いは普通に有難い。


「何から何までありがとうございます。それじゃあ先生、僕はこれで」


「うん、わざわざごめんね」


 そう言って先生は僕の角と角の間を軽く撫でると、忙しそうにパタパタと去っていってしまった。

 そしてその姿を見送った僕は、くるりと後ろを振り向き、予想通り待ってくれていた2人にその事を報告する。


「そんなふざけた理由ですずやんだけ別の部屋って……そんなこと言った奴をほんま1発ぶちたいわー」


「虎白ちゃん落ち着いて。まぁ確かに理由に納得はいかないけど、理解は出来るし……それに実際何かあってからじゃ遅いもの。ね、鈴」


「うん、だからとらちゃんも気にしないでくれると嬉しいな。それに、2人はそんなこと思ってないでしょ?」


 ニッと笑顔を浮かべて僕が2人にそう言うと、2人はいきなりぎゅうっと僕に抱きついて来る。


「わわわっ!2人共?!いきなり抱きつかれるとびっくりするよ!というか恥ずかしいから離れてー!」


「いやだって、あれは反則やて。なぁさなっち」


「そうね、確かにあれは反則ね」


「なんだよ反則って……っといけない、早く部屋に荷物運ばなきゃ。それじゃあ2人共、また後で」


「うん、また後で」


「ほなまた後でー」


 こうして、僕達の長い3泊4日の合宿が始まった。

 そしてその日の夕暮れ時、バイキング式の晩御飯で賑わっている食堂の一角にて……


「んく……んく……んく……んく……ぷはぁっ!あ〜美味しかった〜♪」


「あんなに山盛り取ってたのに……すずやんもう食べきったんか…………」


「まぁアタシ達はまだ普段の鈴を知ってる分驚かないけど…………まぁ、知らない人達はあぁなるわよね」


 夕食の最後に水を飲み干し幸せそうに尻尾を振っていた僕は、そう言って目だけでさーちゃんが周りを見たのを見て同じように周りを見てみる。

 すると辺りは同じ制服に身を包んだ生徒達が、唖然とした様子で僕達の方を見て固まっていた。


「そういや隆継は?」


 ご飯を取り始めるまでは一緒だったはずだけど。


「鈴が山のようにご飯を取り出した辺りで他の男子に連れられて行ったわよ。多分今頃その男子達に色々と聞き出されてるんじゃないかしら」


「お陰様でりゅーくんもそっちに行っちゃうしなぁ……はぁ…………」


 やっぱりとらちゃんはむーさんの事が気になっちゃうのか。


「それでとらちゃん、むーさんと最近どうなの?」


「ふぇっ!?ど、どどどどどうもこうも!なーんにもないで!そう、なんにも……うん」


「あらら……武玄君の鈍感にも困ったものね。この合宿の内に少しでも進展があるといいのだけど」


「し、ししし進展って!そ、そやっ!さっき先生達が例年にないくらい雪が積もってるって話しとったんや!明日外どうなっとるんかなぁ」


 無理矢理話題変えおった。でもそうか、例年にないくらいねぇ……それは寒そうだ。


「そんな時はお部屋に籠るに限るねぇ」


「そうもいってられへんですずやん。明日は朝からご飯食べた後外で体操、その後ランニングして昼から雪を使ったゲームやで。つまりは全部外!」


「うへぇ、勘弁してー」


 寒いのやだー。


「あら、雪を使ったゲームは楽しそうじゃない。雪合戦とかかしら」


 雪合戦かぁ……隆継みたいに言うなら僕は当たり判定が大きいから不利そうだ。


「ほんとすずやん寒いのダメなんやねぇ」


「だめなのー。ぽかぽかしたいのー」


「そんな鈴に朗報よ。この後すぐお風呂だから、体の芯まで暖まることができるわよ」


「わーいお風呂ー、僕お風呂大好きー」


 ばんざーいと手を挙げ、無邪気に僕が喜んでいると、横でその様子を微笑ましそうに見ながらご飯を食べていたとらちゃんが何かを思い出す。


「そういや、基本ウチの学校って3組ひとまとまりで行動させてるけど、お風呂も3組まとめてなんかなぁ」


「どうなのかしら。少なくとも女子はお風呂に時間かかるし、その辺考えると一緒にされそうなものだけど……」


 確かに女の子はお風呂長いもんねー、僕もこの体になってからよーくわかったよ。特に翼とか1人で洗うとなるとすっごい大変だもん。


「すずやんすっごい頷いとるけど、多分すずやんのお風呂に時間がかかると普通の女子のお風呂に時間がかかるは色々と違うと思うで」


「そうよ鈴、普通の女の子は千紗さんに言われないと付けないわけじゃなくて、自分からスキンケアにパックとか乳液とかたーっくさん時間かけてるんだから」


「えへへへへ、すいません」


「えっ、ちょっとまって、すずやんそういうのしとらんの?」


「うん、してないよ」


「一切?」


「一切」


「…………この龍娘は……苦労もせずにこんなにぷにぷにふにふにつるつるなお肌を……ほんま羨ましいわぁー」


「ふはひゃんひゃへへー、ほっへふひふひひらいへー」


 そう言いながらもとらちゃんにほっぺをぐにぐにされていると、さーちゃんにちょいちょいと肩をつつかれる。


「このままだと鈴、クラスの女子達だけじゃなくて虎白ちゃん達とも一緒にお風呂に入る事になるけど…………大丈夫なの?」


 あっ。やっ、やばい……かんっぜんに忘れてた!どうする?!流石に他の女の人と一緒にお風呂は……


「別に大丈夫じゃない?」


「え?」


「だってほら、前に僕ってさーちゃん達と銭湯に行ったじゃん?」


「そうね」


「あれと一緒って思えば大丈夫だよ!」


 僕が素っ頓狂な声を出したさーちゃんになんで大丈夫と思ったかをヒソヒソ話で説明すると、さーちゃんは何を言ってるんだと言った目で僕を見てくる。


「……あのね鈴、前に行った銭湯と違って今回は「私達」と同じ歳の子しか居ないのよ?あんなヨボヨボのおばあちゃん達じゃないのよ?」


「あっ」


「やっぱりそこまで考えて無かったのね……となるとまた別の手を何か──────────」


「はーい注目ー!」


「……考える時間も無かったみたいね」


 先生の注目という声を聞き、そう言うさーちゃんの前で僕は思いっきり頭を抱える。


「今から20分後、それぞれ入浴の準備を済ませて男女共に3組ずつ風呂に入れ、1時間半で次の3組が入るからそれまでには上がる事。それじゃあ解散」


「だそうよ鈴、流石に観念なさい」


「い、いやでもまだ僕だけ別のお風呂って可能性が……」


「先生に確認取ってきたけど、すずやんもお風呂は一緒らしいでー?」


 とらちゃん聞いてくるのが早いっ!というか一縷の望みすら一瞬で断たれたっ!


「というか聞いてたのっ!?」


「思いっきり聞こえてたでー。ほらウチ、耳だけはええから!それに元も子もないけどお風呂は別にすずやんが一緒でもええんちゃう?」


 よかった……僕が男だった事には気がついて無いみたい。というかもっと早く色々気をつけて気付こうよ僕!


 こうして、僕は合宿初日から早速最大級の精神的な試練を課されたのだった。

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[気になる点] インドネシア→アルデンテ→テラス→サラミ「!?」 隆継、アウト〜 では?
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