盗賊 成敗
九國に着いた。南に行けば、薩摩の国に着くらしい。馬を三頭借りているので、姫とアカツキ、タケゾーを乗せ、僕とトグロは徒歩だ。護衛の皆さんごめんなさい。
道中の村から火の手が上がっている。これは大変と姫は馬を走らせる。姫の行動は気持ち優先だから、決断が早い。何も言わず、自ら勝手に行動しちゃうんだ。ついて行く家臣は大変なんだよ!
村は、何者かに襲われていた。姫は、村人を救っている。駆けつけた僕達も襲っている奴らを攻撃する。トグロが、ジャンプして馬に乗っている首謀者らしき輩を飛び蹴り落馬させた。すかさず、僕がその輩を投げる。
頭がやられた賊達は散開し、逃げて行った。
村長らしき人物が挨拶に来た。
どうやら、この村は野盗に襲われていたらしい。
領主が他国との戦争にかまけて野盗が野放し状態になっているらしい。
「捨ておけん。皆のもの。狼藉ものを始末に行くぞ!」
村人の案内で僕らは野盗のアジトに着いた。
「では、コタロー。行って来い!」
「え?僕ひとりで?」
「野盗など、コタローひとりで充分であろう!」
「うむ。俺らが出るまでもない」
(姫め、馬鹿と言った仕返しのつもりか?みんなも野盗ごときじゃ本気になれないのか?僕は下っ端か?パシリか?)
「仕方ない。いざ、参る!」
「何者だ!貴様。」
「貴方達を成敗に来ました。頭領と面会したい」
「ひとりで来たのか?なめるなよ」
僕はその男を投げミゾウチに拳を入れた。賊は呆気なく意識を失った。次々と賊が襲いかかって来る。次は手刀で首筋を狙って倒す。賊の群れに投げ飛ばして数人一度にやっつけてもキリがない。続々と集まって来るよ。どうせ、姫達見てるだけで援護しないんだろうな。
騒ぎを聞きつけて頭領が出てきた。僕は変わらず、投げと拳で戦う。僕が投げを打ったら、後ろから斬りつけて来た。卑怯な!
「コイツ、背に目でもあるのか?」
(殺気を感じたんだよ。僕は気を操る名手だよ)
集団戦では、投げは背が無防備になる。気をつけなきゃ。いい練習にはなるんだけど。
「やめろ!」
頭領らしき人物が叫ぶ。
「いくらやってもおまえらには、勝ち目がない!俺にも勝てるかわからないが。このガキは今まで会ったことのない達人だ」
「俺と戦ってみないか?」
「良いだろう」
頭領は刀を捨て僕に掴みかかって来た。僕は素早く背を相手の腰に当て背負い投げた。
「ぷっ。いつ投げられたかわからなかった。達人とはすごいものだ。武器も使わず、殺すのも目的としていないようだが、おまえは人を殺した目をしている。よくわからんな。なにをしに来た」
「姫に命令され、盗賊を成敗に来た」
「わかった。降参だ。おまえ達には絶対に敵わない。俺も元武士だ。盗賊になった時に覚悟はしている。
その姫の沙汰を仰ごう」
盗賊の頭領は、姫の御前へ。
「我らの行いに沙汰をしろ!」
「おヌシ、コタローとの闘いに剣を捨てたな。なぜだ。剣があれば、万が一にも勝てるやもしれんのに」
「無手の人間に刀で勝負するのは男として恥だ」
「妾はオナゴだが、どう思う!」
「ここにいる面子は、きっと達人揃いだ。それを纏めている者はオナゴであろうと、その様な人物なのであろう。覚悟は出来ている。首をとれ」
「わはは。おヌシも武士であったか?主君に恵まれなかったのだな。妾は他国の者だ。あまり関わるまいぞ。そうだな。盗んだ物を村に返し、村人に謝罪せよ。ただし、それを拒む部下がおったら、おヌシ自身でその者の首を刎ねよ!おヌシに一度だけ武士に戻る機会を与えよう。正しき行いをせよ」
盗賊の頭は、盗賊の全員に村人に謝罪しに行くことを説明した。あっ!問答無用で、ひとり斬られた。仲間割れが始まった。数人が逃げだしたが、意思は統一出来たらしい。
「申し訳ありませぬ。今後は二度としないので許してくれ」
流石に村人達はビクビクして何も答えないよ。
「もう、私達に危害を加えないのなら…」
「ありがとう。俺達は心を入れ替える。機会をくれてありがとう」
「いいえ。あの。私達は何もしておらん。とにかく、静かに何事もなく過ごせればそれで良いんです」
「姫様、お願いがあります。俺達を部下にしてください。」
「先に言った様に妾は他国の者で旅をしている。俸禄も出せない。まずはおヌシらが焼いた村の復興が先だ。それが済んだら考えてやる」
(姫。頭の弱い子じゃなかったのか?立派な事を言っているじゃないか?奇跡だな。夢か?姫が僕をドヤ顔で見てるよ。)




