薩摩の国 入国
旅は順調に進み、薩摩の国の煙を吐く山が見えて来た。
「コタローのせいで随分と遠回りをしたが、もうすぐ薩摩の国だな」
「なんで僕のせい?姫が悪いんじゃなくて?」
「コタロー!おまえのせいで漂流したのか?」
(僕のせいじゃ無いって)
みんな、そんな目で僕を見ないでよ!
薩摩の国の砦を発見。
「妾は、龍の国 領主が娘である。薩摩の国の主人と話があって参った。ここを開けよ」
「何を戯けた事を。そもそも、南の島の人間が北の陸から来るのはおかしいではないか?相手にならぬ。失せよ」
「良いのか?どうなってもも知らぬぞ!攻め滅ぼしても良いのだぞ!この門を開けよ」
「そんなに入りたければ、飛び越えるのだな。わはは」
まったく、相手にされてないよ。姫、やっちゃうのか?
「コタロー!奴らに目に物見せてくれようぞ」
「では、姫を空高く飛ばしてあげましょう。僕と姫が囮となるのでアカツキ、タケゾーは、トグロがあの壁を越える手筈を整えて」
「あいわかった」「承知!」
「では姫、一旦離れて僕に向かって全速力で僕に飛びかかってください。夫婦の久々の再会の様に!」
「夫婦とな?愛を囁くのか?」
「あくまで演技です。僕に飛びかかってくれればいいのです」
「よし、夫婦の真似事をしようではないか!さすれば、空高く跳べるのであろう!」
砦の兵士が注目する中、僕と姫は遠く離れて向かい会う。姫が僕に向かって猛烈な勢いで駆け寄って来た。
「コタロー!愛しておるぞ!妾を優しく抱いておくれ」
「嫌です!」
僕は地面に背中をつき、姫を巴投げで思いっきり空高く投げ飛ばした。
「なんてひどい男だ」兵士達は唖然としている。姫は、砦の上に着地。しようとしたが、勢い余ってカエルの様にうつ伏せになった。
「おのれ!コタロー。あとで見てろ!」
砦の兵の近くでは、タケゾーの肩にアカツキが登り、トグロがふたりを台にして壁を登っている。
「くせ者!出会え、出会え」
姫の無双が始まった。僕もアカツキの肩の上から砦の上に登って合流した。
「姫、門の前に移動してください。アカツキ達を招き入れます」
「わかった。貴様には後で説教してやる」
姫の剣はなおも冴え渡る。僕とトグロは内側から門を開けてアカツキとタケゾー達を砦の中に入れた。
無敵の陣営が出来た。もう敵はない。砦の兵士はなすすべもなく次々と倒されて行く。
「皆の者、一旦、離れるのだ」
鉄の筒を持った部隊が僕達に狙いをつけている。
「トグロ!僕に続け!」
あれは老師を亡き者にした鉄砲と云う新兵器だ。攻撃を受ける前に潰さなければならない。
僕とトグロの素早い動きに相手は狙いをつけられない。
今だ!「虎砲」
僕は敵の心臓に弱めに気を放出。敵は魂を抜かれた様に崩れ落ちた。
トグロは、敵に飛び蹴りをしてひとりやっつけた。
「ズドーン!」
姫にタケゾーが覆い被さっている。タケゾーの腕から血が流れてる。僕は猛攻した。近くの銃兵士を投げ飛ばし、他の兵士にぶつけた。トグロがトドメを刺し、アッと言う間に鉄砲部隊を壊滅させた。
僕はすぐにタケゾーに駆け寄り、癒しの「虎砲」を放った。幸い弾は貫通していたので傷口くらいは塞がるだろう。
「そこまでだ!」
「俺は領主の息子、島津能弘である!おまえらが龍の島の者達だな。少なくとも俺には戦う理由がない。剣を収めてくれ!」
「今更、何を云う。そもそも妾は礼を払った上に部下も怪我を負ったのだぞ!」
「おまえ、何人俺の部下を斬ったんだ。お互い様だろ。それは言いっこなしだ。そもそもおまえの目的は何だ。俺らを壊滅させるつもりでもあるまい」
「もとより、交渉が先決じゃ。攻め滅ぼしすのは、話し合い如何であろう」
「誤解するな!俺たちはあの島など、どうでも良いのだ。確かに一度は船を出したが、犠牲者が多過ぎる。島で勝手に暮らすが良い」
「ほお。ただな、未来永劫そう思っているとも限らぬのでな。この際、はっきりさせておこうと思い、参上したまでだ」
「良かろう。おまえは正しい事を言っておる。我々の城に一緒に行こうか」
(姫はたまに誰よりも立派になる。お馬鹿な姫も好きなんだけど)




