41.やってやるっす!
「でっ出来たっす!」
ギアを製作し出してから数時間後。
タツは完成したギアを天高く掲げ、なんとも感慨深いと言ったら顔をしていた。
「おっ!出来たの!?見せて見せて!…これは、拳銃?」
「そーだよー。体術とか格闘経験がないタツチンには、中、長距離から敵を攻撃できる武器がいいかなと思ってこれにしたんだ。」
「これ、ただの銃じゃないんすよヒービー。まずマガジン部分にエネルギーとなる結晶を入れて、もう一つ空いてる部分に鉱石で作ったカートリッジをはめ込めば、あとは引き金を引くだけでエネルギー弾が発射されるっす。」
説明を聞いているだけでも、メカに弱い男心を強烈に揺さぶる一品だ。
「そしてこの銃の1番の特徴は、つけたカートリッジによって弾の性質が変わることっす。
この部屋じゃお見せできないっすけど、もし見せる時が来たら必見っすよ。」
〜現在〜
どうやら今がその時のようだ。
カートリッジには何も入れてないっすけど、結晶さえ装填されていれば弾は出るっす。
「くらうっす!!」
バァンッ!
タツが放った攻撃は、向かってくる犬型の横を通り過ぎた。
しまった…外れたっす。今度こそ…。
一発目が外れたことと犬型との距離が縮まりつつあることに焦ったのか、後にはなった数発も犬型に当たることはなかった。
カチッ、カチッ…。
やばい、弾切れっす!早く次の弾を…、
近づ居ていた犬型がとうとうタツに飛びかかった。
次弾の装填は間に合いそうにない。
「タツっ!!避けろ!!!」
「うぁっ!!!」
くっ、間に合わない。
手を伸ばしても、タツ達はまだ数メートル先。
このままでは…。
ザシュッ!
襲いかかった犬型の爪が、人の肉を裂く音が響いた。
ポタッ。
滴り落ちる血が地面を赤く染める。
だが、流れた血はタツ自身のものではなかった。
「か…上壁君。どうして…。」
傷を受けたのはタツではなく、彼を助けに戻っていた櫂だった。
「俺を無視して行きやがったこの犬っころに腹が立ったから、ぶっ飛ばしに戻ってきただけだ。」
そう言うと櫂は、タツを襲った犬型を瞬殺した。
「上壁君、怪我が…。治療するね。」
駆け寄って来た瀬川さんが、能力で櫂の傷をすぐに治した。
「すまねぇ。」
「上壁君、…助けてくれてありがとうっす。」
「礼なんて言ってる場合かよ。まだまだ奴らは大勢いるぜ。」
そう言い残すと、櫂は燕が戦っている前線へと再び戻って行った。
言い方はあれだったが、櫂も仲間と思ってるタツを助けに来たのだ。
まったく素直じゃない奴だよ。
「タツ、立てるか?」
襲われそうになって尻餅をついているタツに手を差し伸べる。
その手を取ってタツは立ち上がる。
手を握った時タツの手は震えていた。
「怖いか、タツは?」
「えっ!?…はい。めっちゃ怖いっす。」
「俺も実はめちゃくちゃ怖い。」
「えっ、端々と戦ってるから慣れてるのかと思ってたっす。」
「そんなことないよ、俺だって鉱獣と戦うの初めてだし。それどころか見るのだって初めてだよ。」
「わっ私も、私も初めて。それにものすごく今怖いよ。」
俺のタツの緊張を少しでもほぐそうとし始めた話に、瀬川さんが入って来て援護射撃をしてくれた。
「俺たちだけじゃないさ。多分燕も櫂だって内心どこかで恐怖と戦ってると思う。
だからさ、うまく言えないけど、タツが感じてる恐怖はみんな感じてることで、一人じゃないってことを伝えたくてだな、その…、なんて言うか…。」
「プッ、あはははっ!すみませんこんな時に。
でも、お二人が自分のために必死にビビってることなんかを伝えてくるのがなんかおかしくて。
おかげさまで少し緊張がほぐれたっす。」
先ほどと比べると、ぱっと見でわかるくらい表情が柔らかくなっていたタツをみて内心ホッとした。
「さぁ、みんなで力を合わせて、次の作戦目標である洞窟までいくよ。」
戦いが始まってから少し経ち、鉱獣の数も減り始め頃合いを見計らって俺たち3人も前線に合流するため前に出る。
「燕、櫂!」
「おぉ三人とも、無事だったか。」
「だいぶ奴らの数も減ってきた。これなら俺と武士女の二人なら抑えられる。お前らは作戦通り洞窟の方へ進め!」
洞窟への道を切り開こうと、二人は奮闘を続ける。
しかし、鉱獣の軍勢はまるで指示を受けているかの如く、洞窟の前の道を譲ろうとはしない。
あの密集した鉱獣達を蹴散らす大技が必要だ。
さっきの技をもう一度?いや、まだ大物が控えてる状態でゼストを大量に消費する大技の使用は極力避けたい。
「…自分がやるっす。」
タツが状況がを鑑みて、自ら名乗り出た。
「出来んのか?ビビりメガネ。」
「やるっす、やってやるっす!いつまでもみんなに守られるばかりのお荷物じゃないことを、今証明してみせるっす!!」
タツは深呼吸をして息を整えると、真っ直ぐと鉱獣の群を見据える。
「カートリッジ・オン、"爆裂"。喰らうっす!鉱獣共!!!」
タツは鉱獣達をに向かって銃撃を放つ。
放たれたタツの銃撃は最初に見たものよりも数倍の大きさをしていたが、速度がその分少し遅い。
案の定鉱獣達はあっさりとその銃撃は避けられる。
「失敗か?」
「いや、まだっす。弾けろ!!」
タツの掛け声と同時に、鉱獣達が密集した場所の中心に落ちた銃撃は光を増しながら形状を変え、無数に弾け飛んだ。
弾けた銃撃は速度を増しながら周囲の鉱獣の体を貫き、一瞬で集団を蹴散らした。
「よしっ!!やった、やったっす!!!」
「すげぇ…、やりやがったぜ、タツオ。」
櫂が認めるほど凄まじい威力のその攻撃は、俺たちが目指していた洞窟への道を切り拓く。
「道は拓けた。さぁ、洞窟まで一気に突っ切るよ。」
俺たちは走る。鉱獣の親玉が居る、洞窟という名の暗闇の中へ。




