1.願いを叶えて
姉が死んだ...。
俺が中学生になった頃、両親を事故で亡くし、唯一の家族である姉と一緒に暮らしていた。
まだ高校生であるにも関わらず、仕事をしながら年が離れた俺を育ててくれてた。
たとえ貧しくても、周りにどんなふうに思われてても、姉が一緒にいてくれるだけで気にならなかった。
そんなある日だ。姉が亡くなったことを知ったのは。
姉の同僚を名乗る人物が訪ねてきて、玄関で姉の死を告げられた。
なんで、とか、なんの仕事をしてとか、どうして、とか。色んなことが頭の中をぐるぐる回って、遺体はどうとか、守秘義務がどうとか言っていた気がするが、同僚の人と何を話したかすらよく覚えてない。
同僚の人も詳しいことは殆ど言わずに、ただ...、
「この度はお悔やみ申し上げます」
と、一言いうと家を後にした。
姉のことを問い詰める気力すらなく、すぐ近くの壁にもたれかかると、そのまま身をこすりながら、その場に座り込んだ。
何もかも、どうでもいい。
そう思えてしまうほどの虚無感が心を侵してくる。
これからどうしよう、何をすればいい?
生きる気力がどんどん体から失せていく。
同僚の人が帰って少ししてようやく、あまりのショックで感覚が麻痺した体が悲しみに気づき、涙が込み上げてきた。
俺は布団に横たわった。
今度は姉と過ごした日常が頭をよぎった。
そうして時間だけが過ぎていった。
もう辺りはすっかり真っ暗になっていた。
暗闇で満たされた部屋でゆっくりと起き上がると、こんな感情とはお構いなしに腹が空腹の音をならした。
そんなに食べたい気もしなかったが、とにかく、姉との思い出で溢れかえっているこの部屋から少し離れたかった。
ここにいたらずっと悲しいことを考えてしまいそうで、どうしようもなかった。
***
夕飯を買いに外に出た。近くのコンビニまでトボトボ歩く。
不意に見上げた空は、いつもより星がよく見える気がした。
そこに突然光の流れが視界は端を過ぎた。
「流れ星...」
不思議と目を惹かれた。いつもは空なんて見ないし、こんなこと考えもしない。流れ星に願うなんて。
「また流れないかな...」
少し立ち止まって、星空を眺めていた。
意味のないことだなんてわかっている。でも、そうしたくもなる状況だったと今は思う。
奇跡的に流れた2回目の流れ星。
探していたはずなのに、大事な願い事を考えてなかった。
一瞬の光の瞬きに願いを唱えるなんてことは出来るはずはない。ただ一言、言葉が口から咄嗟に出た。
「家族...」
こう口走った次の瞬間、いつもはすぐに消えて無くなるはずの光が、輝きを増しながらこちらへ近づいてくる。
「は? ちょっ、やっば!! なんだよそれ!!!」
焦る気持ちとは裏腹に、光はこちらに近づいてくる。逃げようにも状況が状況なだけに体がすぐ動かなかった。
ドゴオォォォンッ!!!
目の前に凄まじい音と共に砂埃が舞い上がった。
俺は腰を抜かしていた。あまりの出来事に、姉のことは頭から抜けていた。
「どうやら着いたようですね。」
どこからか声が聞こえてくる。
「ったく、もうちょっとどうにかなんなかったのかよこの移動方法。」
「もーサイアク、服汚れちゃうじゃんこれ。」
「ふぁあ〜、やっと着いたの...?」
「ちょっとあんた! いつまで乗っかんてんの、さっさと降りてよもう!!!」
4...いや5人。女性の声が砂埃の中から聞こえてくる。
思えばこの時から始まったのかもしれない。
「あれっ? もしかしてあなた、綾くん?」
突然の別れと、そして出会い。
「えっ、マジ? コイツが稜?」
「ふーん。なんか、ザ・普通って感じ。」
「はじめまして〜稜ちゃん。」
「ちょっとみんな、ちゃんと説明しないと困惑するでしょ?」
ここから始まる、誰も予想しなかった俺の物語。
はじめまして。
拙い文章ですが、少しでも楽しんでもらえるように頑張って書きます。
よければ読んでみてください。




