第66話 盗み見る者
「押すなって!」
島田が叫ぶ。胴着を着たままの誠、アメリア、菰田に押し出されて、そのまま島田はカウラが操作している端末の画面の視界からこぼれた。
「正人、こっちで見ればいいよ」
サラがそう言うと二つ隣のモニターをいじり始める。
「いいわねえ……サラったらすっかりラブラブで」
「アメリア!そんなんじゃ無いってば!」
「じゃあ俺が……」
「菰田っちは駄目!」
島田とサラの二人をアメリアと菰田がからかう。それをちらりと見た後、誠の視線はカウラの手元に移った。
「まだ映らないのか?」
「焦るなって」
カウラは自信満々に選択キーを押した。そこにはかなめと先ほどの老人の姿が現れた。
「おう、ちゃんと映ったじゃねーか」
ランが端末の椅子をずらして座っている。
「腰が低い人ねえ」
ランの反対側にパイプ椅子を運んできていたアメリアが画面の中で何度もかなめに頭を下げる小柄な老人に感心していた。
「アイツも一応は甲武貴族のお姫様だからな。私達みたいな下々からしたら雲の上の存在ってことなんじゃないのか?」
振り向いて笑顔を振りまくカウラの言葉に誠はムッとする。隣で紺色のアメリアの髪が揺れている。
「うんうんかなめ姫には誠ちゃんは不釣合いよねえ……」
そう言うとアメリアがそのまま誠に顔を寄せてくる。
「アメリアさん……」
ひどくうれしそうなアメリアの顔にまた遊ばれると思った誠の声が響く。
「いつもこう上品でいてくれると上司としてはうれしいんだが……」
カウラの一言がその状況から誠を救った。二人は思い出したように画面に視線を移していた。画面の中で頭を下げ続けていた老人はようやく気が済んだというようにかなめに向かいのテーブルに座った。




