増殖23体目「図書館」その4
ちょっと遅れましたがなんとか今日中に投稿できました。
昨日今日と私事が忙しくて…明日も明日中には投稿できると思います。
僕は宿屋のベッドの上で目を覚ました。この宿屋は、図書館から歩いて十五分ほどの距離にあったので、図書館に通い始めてから四日目くらいからここに泊まっている。確かに【統合】すれば宿代が浮くとはいえ、さすがに片道数時間の距離を毎日歩く気にもなれないというのが理由である。宿代も、治療院に寝泊まりしている方の僕から受け取っているので大丈夫だ。というか治療院の給料はかなりいいみたいなので、このまま図書館の方の体は職に就かせなくても大丈夫だろう、ということでここ二週間ほどどっぷりと時間を勉学に費やしていたのだ。
まあちょっとばかしあの三人と遊んだり、街の子供たちと戯れたりといろいろやっているが、まあ実際に覚えた文字が通じるのかを試していると言えばそう言えなくもないので、いいだろう。心の余裕とか超大事だし。
まあ、そういうわけで僕は毎日七時くらいに目を覚まして、服を着替えて準備をする。服は東街区の庶民向けの服屋で買った綿のシャツとズボンである。この世界には下着という文化がないらしく、正直ビビったが自分で作ればいいんじゃね? という結論に至り、綿の布を加工して簡易だがトランクスもどきを作った。やっぱりなんかパンツ無いと不安というか居心地が悪い。こういういちいちが微妙に不便な辺りが、ここが日本ではないということを思い知らせて来る。
この宿屋はひとまず一か月分の代金を払って泊まっているので、今ではもうおかみさんや従業員のみんなとも顔見知りだ。たまに増殖してくれよーとか言われるけど、まあ普通の人から見たらマジックみたいな感覚なのかもしれない。
「あ、それじゃあ行ってきます」
木製の壁がいい味を出すこじんまりとしたロビーで、水汲みの瓶を持ったおかみさんとすれ違ったので僕は声をかけた。
「また図書館かい?」
「ええ、あの三人にも会いたいですしね」
そう笑顔で答えると、おかみさんは顔を曇らせた。
「あの子たちに近づくのは…やめておいた方がいいと思うよ」
「…どういう意味だ?」
少し怒気が混じった声でそう尋ねる。すると、おかみさんは哀しそうな顔をして答えた。
「あたしもね、あの子たちは嫌いじゃないよ。むしろ、子供三人であそこまでしっかりと生きてんだ。応援したいくらいさね。ただ……」
「ただ?」
おかみさんは声を潜め、僕に小さく耳打ちをした。
「とある好事家の貴族が、あの三人を違法奴隷にして飼おうって裏で動いてるらしいんだ」
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