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紅の御簾とき  作者: 鈴のたぬき
第二章 旅
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奇跡の舞姫 2

 ふう…。わたしは心の中で深呼吸をする。そして、一流の演奏家たちが奏でる音楽に合わせ、舞い始める。左手で扇を翻し、右手は袖の中に隠しながら動かす。といっても、普段の舞の左右が入れ替わっただけなので、多少はぎこちないがうまく舞えている…と思いたい。そして…もうすぐ舞い終わるというとき、衣の裾を靴で踏んでしまった。慣れない左手で扇を持っていて足の方は油断していたので、踏んでしまったらしい。あ、転んで舞が台無しになるな、と思った瞬間、後ろから何かが支えてくれた感覚と同時に、押し返すような感覚がした。一瞬後ろを振り向くと、首に「皇」という文字が書かれた木札をぶら下げた少年がいた。

「蘭蘭。ありがと」

小さな声でささやくと、やっぱり蘭蘭だったのか、にこりと微笑み返された。こうして、滞りなく舞は終わり、舞踏会みたいな会が始まった。

「おさみ、俺と踊らないか」

「踊るのは良いのですが、いい加減本名で呼んでいただきたいです」

「うぐ…わ、か…った…ミ、美美」

樹衣は顔を真っ赤にする。熱があって無理をしているように見えるが、大丈夫なのだろうか。

美美は樹衣の頬にぺたっと触れる。

「熱がおありなのですか?お部屋でお休みになっては」

「いや、いい。踊ろう」

「そうですか…?」

とにかく、また流れ出した一流の演奏家たちによる音楽に合わせ、二人は踊り出した。美美の衣装は薄い黄色の地に美しい鳳凰が刺繍されている。これは宮都の皇族しか身に付けられないものだが、薄く縫われているので、気づかれないだろう、多分!それに、美美も一応は皇族だ。対して、樹衣の服は白で、宮都の皇族しか身に付けられない色だ。銀色の糸で刺繍された獅子も、宮都の皇族しか身に付けられないものだ。

(この鳳凰の模様、バレたら意外とまずいかも…!)

だが、美美は今思ったことがこの次に起こることに比べてどうということがない、と思うようになる。

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