女子会
部屋に入ったわたしたちを出迎えたのは、鞠藍さんだった。え、今まであの広間にいましたよね?瞬間移動ですか?
「だ、団長!?何故ここに?」
わたしが慌てて尋ねると、彼女は可愛らしく首をキョトンと傾げる。凛々しい美人なのにこんな仕草も似合ってしまうのだから不思議だ。
「何故って、女子会をするのよ!最近はあまりしていなかったから、あなたたちとしよう、って!」
橙色の澄んだ瞳に炎を灯す鞠藍さんの勢いに勝てるはずもなく、わたしたちは女子会をすることとなった。
「ねえねえあなたたち。年はいくつ?」
「えっと、わたしが17で菁明が14です」
わたしがそう言うと、鞠藍さんがニヤリと笑う。
「そうなの。じゃあ、吾瑠のことはどう思う?」
「吾瑠?誰ですか、それ」
わたしが問うと、鞠藍さんは答えた。
「安琴のことよ」
「えっ?どう思うも何も、兄様とわたしたちは兄妹の仲ですよ?恋心なんてありません」
わたしがそう言って菁明の方を見ると、あちらも頷いている。義兄に恋するなんて有り得ないし、何よりわたしには樹衣さまが……っ。樹衣、さま。あの口付け。わたしはあの時に彼を拒絶した。そしてさっさと逃げて。しっかり話してから逃げれば良かった。和陽さまの父上、和懣さまの葬儀にも出られなかった。何で、わたしはいつもこう……。
「団長、わたし、恋人がいる……というか、いたので、兄様には恋なんていたしません」
わたしは曖昧にそう呟く。ポトリと、手の甲に雫が落ちる。
「あっ……」
わたしが慌てて目を擦ると、鞠藍さんの温かい手がわたしの手を取った。
「ごめんなさい。人の事情に勝手に踏み込むべきではなかったわね。じゃあ、方向転換よ。菁明、あなたは好きな人とか、いるの?」
鞠藍さんがそう問いかけると、菁明の顔が真っ赤になっていて、肩もビクゥっと跳ねてあからさまに動揺している。
「菁明、いつの間に?」
わたしの言葉に、菁明はビクビクしながら話してくれた。
「わ、わたし、徠戵が、好き、なんです。いつも優しくしてくれて、笑顔が優しいし、気配りもできて……、とても、かっこいいから」
嘘……菁明が徠戵のこと、好きだったなんて。衝撃すぎる。わたしの可愛い妹が、わたしの付き人を好きに……?最高じゃない!今度菁明のことが好きかをそれとなく訊いてみよう。
「菁明、その恋、応援するわ。ね、団長!」
わたしが期待を込めてそう言うと、団長も真剣な顔でうんうん頷く。なんならさっきの火はまだ消えていない。
「ええ、もちろんよ!若い子の恋を応援するのは良いことだわ!まあ、私も若い子なのだけれど」
その後は雑談を繰り返し、ようやく話題が尽きた頃には深夜。そこで寝台に入っても話題が見つかったりして、寝たのは結局深夜二時。朝起きて三人同時に寝坊したことに気付くのは、また別のお話。
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第三章はこれで終わりとなります!今後もよろしくお願いします!




