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紅の御簾とき  作者: 鈴のたぬき
第一章 始まり
14/54

捜索

 従伯父さま、どこへ行かれたのです。樹衣はとても心配しております。あなたが異母兄だと知れば、きっとおさみも探すでしょう。

「はあ…。」

「樹衣さま、美美に早く本当の父親を教えては?教えて損することはないでしょう」

おさみは、安喜と美栄(ミイエイ)という妾の子だというが、本当は違う。父親は先帝の妹婿である立栄(リツエイ)だ。美栄が立栄と密通して授かった不義の子が、おさみだった。そして、立栄と先帝の妹・分陽(ブンヨウ)さまの子が従伯父さまだ。従伯父とは、伯父の従兄弟のことを言う。つまり、おさみは従伯母に当たる。おさみと従伯父さまは異母兄妹とはいえ、32歳差だ。現在、先帝が71歳、分陽さまは67、立栄は68。従伯父さまは48だ。立栄は51の時に人の妾である22歳の美栄に手を出したことになる。古代の皇帝も若い娘を囲ったというが、29歳も年下の娘に手を出したとは、呆れることしかできない。

「舞雪、やはり話した方が良いだろうか」

「いえ、私はどうこう言う立場ではありません」

「いや、今さっきどうこう言っただろう」

「まあ、とりあえず美美のところに行っては?」

「そうだな」

樹衣は美美の部屋に行く。樹衣が入ると警戒されるので、舞雪に先に入ってもらう。舞雪に合図され、すかさず扉の前に出る。すると、昨日の化粧をしている時と違う美しい顔があった。

化粧といってもおさみは目元に紅をつけるだけでいい。だが、今はとにかく部屋から引っ張り出さないと扉を閉められる。予想の通り、おさみは扉を閉めにきた。そこを狙い、細い手首をつかむ。

「従伯父さまが消えた。おさみに探してもらいたいのだが?」

「は?なぜわたしに?」

「いや、退屈そうだったからな」

樹衣はお前の異母兄だから、と言えず、適当な理由を口にする。

「無理です、却下します」

「そう言うな。従伯父さまはお前の異母兄だぞ?」

樹衣は意を決して言う。

「はっ?何言ってるんですか…?」

「お前の父親は安喜ではない。俺の大叔母の夫だ。つまり、お前は俺の従伯母だ」

「いや、いくら異母兄でも32歳も年上なんてことあります?」

「それがあるから言っているんだ」

おさみはうげっ、という顔をした。兄がそんなおっさんだったらそうなるのは無理もなかった。

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