#26〔邪竜〕
対峙です
遂にやってきた。今日、今より邪竜の元へ向かう。
集落の外れには全ての石巨人が集い、ドゴゴルの最期を見届けんとしていた。
しかし俺にはそれよりも気掛かりなことがあった。地形の調査に向かわせた地謀虫が戻って来ていないのだ。地謀虫は現実で出るゴキブリと大きさは大差ない。しかも隠密行動には長けている。そんな地謀虫が戻って来られない、又は殺された。
——ゾワリ
なんとも形容し難い寒気が背筋を伝った気がした。
それほどの強者か。この戦闘の難易度が自分の中で跳ね上がる。
「行くぞ」
ドゴゴルから声がかかる。
「で、作戦はどうするんだ」
「奇襲しかないだろう。少なくとも俺はこれまでそれしかやって来なかった」
「お前の眷属でか」
「あぁ、勝てるさ。きっと」
「そうか」
そこには大きな穴が空いていた。洞窟とも違うような、言うならば故意的に空けられたような。そんな虚空の穴だった。
「この奥にいる」
「そうか」
「行くぞ」
「おう」
「勝つぞ」
「あぁ」
コツン、コツン、コツン。
ドゴゴルが歩く音だけがその虚空に響いた。
「んなっ!」
思わず声をあげたのは俺だ。それは唐突だった。ヒヒイント鉱山に足を踏み入れた時と同じの——しかし密度が桁外れの負のオーラである。
ふと奥で明かりがともったかに思えた。真紅の明かりだ。真丸の、どこまでも底がない。そんな明かりが2つ。これが「何か」の眼であることを俺はようやく理解した。
そして——
「ようやく来たか。我が贄よ」
あれが——あれが、真なる邪竜——だと言うのか。
そこには想像を遥かに絶する黒い竜が静かに鎮座していた。




