#23〔石巨人の独白〕
「あれは…突然だったさ」
石巨人——ドゴゴルがゆっくりと話し始めた。
「俺たちは普通に暮らしてたんだ。普通に狩りをして、普通に、な。けど4ヶ月前、そいつは急にやってきた。真なる邪竜、イービルダーロンだ。そいつはやってくるなりここの王は今日から俺だと、そう言ってきた。25メートルの巨体を前に殆どの者が戦うことなど諦めていた。しかし——誇り高き者達は立ち向かった。でも、全く歯が立たなかった。相手にすらならなかった。動かない羽虫を退けるように、誇り高き同種達を殺した。そして——」
ここでドゴゴルの言葉が詰まる。
「私の兄もまた、誇り高かった」
なるほどな。確かにそれはきついものがある。
ドゴゴルは続けた。
「私は兄に憧れていた。兄のようになりたかった。兄を超えたかった。兄は私にとって——永遠のライバルであった。でも、私は邪竜に歯向かうことはできなかった。誇り高くあれなかった。恐れていたんだ。私はずっと後悔した。いや、今もしている。そんな時だ。恐らくは恐怖を植え付けるためだろう。生贄を要求してきた。だから、私がそれに立候補した。最期の足掻きだ。無様な戦士の——最期なんだ」
「そう、なんでしたか」
可哀想なんてことを言うのも違う気がして、かける言葉を俺は失った。壮絶な過去だ。
「3日後……ですよ」
哀愁がそのまま漂ってくるようだった。
3日後か。
そう、だな。
俺は——強いんだ。
俺は——最恐なんだ。
——だから。
最恐とは…!




