表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンバランサー・ユウと世界の均衡  〜唯一無二の属性<アンバランサー>を持つ少年が世界を救う!  作者: かつエッグ
第一編 「エルフの禁呪」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/186

その人は、神々と対話し、ジーナが主張する。

 ガネーシャ様の神殿。 

 大きさの感覚、色彩の感覚、造形の感覚…。

 とにかく、わたしたちの知っているものとは感覚が違いすぎる。

 たぶん、わたしはまだ行ったことがないが、わたしたちの国の都の神殿も、きっとそれはそれは壮大なものなのだろうけど、こんな色遣いでないことだけは確かだ。

 遠近感がおかしくなるような、壮麗、絢爛豪華なのだ。

 壁にはすきまなく彫り込まれた神々の像が躍っている。

 金箔がはられ、鮮やかな青や赤の飾りをつけて。


「すごーい、なにもかもが、きんきらきんだねえ!」


 ジーナも圧倒され、あちこちをきょろきょろと眺めている。


 わたしたちは、神殿の奥、ガネーシャ様の間とよばれる、大広間に案内された。


「これが、ガネーシャ様?」


 大広間の中央に、これもまた見上げるほどの巨大な神像が鎮座している。

 複雑な絡み合う模様の掘られた、高い天井にまでとどく大きさで、おそらく高さは二〇メイグはあるだろう。


()()()()()()()なみだな…」


 ユウがまた、わけのわからないことをつぶやいている。


「ガネーシャ様って、象の神様なんだね…」


 ジーナが感想をもらした。

 そう、蓮華の花弁の上に、あぐらをかいてすわっているガネーシャ様は、でっぷりしたからだは人のようではあるが、その頭は象である。あの、大きな耳と鼻、牙を持った、象の頭をしているのだ。

 その長い牙は、なぜか片方が折れている。

 何かの由来があるのであろう。

 そして、腕は四本あり、その一本には杖のようなものを持っていた。


「それで、象が迎えに来たのかあ…」


 そのとき、

 

「良く来た…」


 と、深い声が響いた。


「待ちかねたぞ」


 と。


 わたしたちの周りが、一瞬にして暗転し、まるで芝居の舞台がきりかわるように、はらりと風景がかわった。

 霧に包まれた空間。

 そこに、黒檀の木で作られた円卓があり、円卓のまわりには、籐の五つの椅子。

 

 霧の奥から、のし、のしと歩いて現れる、四本の腕をもった、象頭の人。

 一つの手には、長く黒い杖が握られていた。

 ガネーシャ様だ。

 その首には、あの、ダンジョンでユウが取り戻した、ガネーシャ様の護りがかけられている。

 

 

「まあ、座りなさい」


 とガネーシャ様が言い、その正面にユウ、左隣にわたし、右隣にジーナが座った。

 すると、わたしの横に、椅子は一つ余る。


「まずは、礼を言おう、この首飾りを取り戻してくれてありがとう」

「いえいえ、こちらこそ、ご迷惑をおかけしました」

「アンバランサー、お主が謝ることではないのだがな…だが、そういうふうに考えるということが、すでに…」


 と、ガネーシャ様はうなずいた。


「今日、ここに来てもらったのは、礼をいいたかったこともあるが」

「はい」

「お主に、会って、確認したいこともあったのだ」

「えっ?」


 ジーナが身構える。


「また、ライラが用足しに行ってさらわれるとか?」

「ジーナ、やめてよ!」

 

 うふぁふぁふぁふぁふぁ!


 ガネーシャ様は、豪快にわらった。

 その笑い声で、突風がふき、わたしとジーナの髪がおどった。


「娘よ、安心しなさい。わたしは、ヴリトラのような無粋な真似はしない」


「だれが、無粋だって?」


 と突然声がし、見ると、いつのまにか、わたしの横の空いていた椅子に、人頭蛇身のヴリトラ様が巻き付くように座っている(これは、座っているというべきか?)のだった。その長いからだは、霧の奥の方までずっと延びて見えなくなっている。


「「うわっ! 出た!」」


 わたしとジーナが思わず叫ぶ。


「その言い方は、神に対して、すこしばかり失礼ではないかな?」


 ヴリトラ様が言う。

 まあ、そうかもしれませんが、これまでのいきさつがあるわけですし、わたしのからだが、知らず知らずに、ユウの側にかなり傾いてしまうのは仕方がないと思います。


「あいかわらず、じゃけんにするなあ君は」

「ヴリトラ、それは自分の行いの結果であろうよ。因果応報というものだ」


 とガネーシャ様が笑って言う。

 ひょっとして、この二人、意見の相違があるなんていいながら、かなり仲がいいのでは?


「そう、みえるか?」


 とヴリトラ様がわたしに言う。

 あいかわらず、筒抜けである。


「うん、君の考えることはぜんぶわかってしまう」


 そういって、にやりと笑うヴリトラ様。

 やはり、性格が悪いと思う。


「楽しいねえ、君は。その忌憚のない意見がうれしいね。やっぱり、わたしに弟子入りしないかい?」

「しません!」

「ヴリトラ、娘とじゃれあっていたら、話が進まないだろう。ここは、わたしの神殿だぞ。少しは遠慮というものを見せろ」

「わたしたちは真剣な話し合いをしているんだよ、ガネーシャ。でもまあ、主人の顔をたててやるか。さあ、どうぞ」


 さあどうぞ、と言われて、ガネーシャ様は


「ようやく、本題に入れそうだ。それで、アンバランサー・ユウよ」

「はい」

「再三、ヴリトラからも問われていたが、お主、わかっているか?」


 そう、ガネーシャ様は、ユウに問うた。


「アンバランサーとしてのお主が、この世界にとどまり続けると、そこでなにが起こるかということが」

「それって、もと居たところに帰れってことですか?!」


 ジーナが割り込んだ。


「この世界から出てけってこと?」

「それも、選択ではあるが…」

「ユウさんは、出ていかないよ! わたしたちといっしょにいるんだ!」


 ジーナが一生懸命に言う。

 ジーナ、あんたのそういうところ、わたしは大好きだよ。


「うん、わたしも好きだな」


 とヴリトラ様。なんと、わたしとヴリトラ様で意見の一致を見た。


「追い出そうという話ではないのだ。娘よ」


 ガネーシャ様は、静かに言う。


「だがな…娘よ、ここはアンバランサーの本来の世界ではないぞ。かれの、もと来た場所には、家族がいるかもしれない、大切なものがあるかもしれないのだぞ。かれが、故郷に帰りたいと言ったら、娘よ、お前はそれでも止めるか?」

「…それは…それは…そうだけど…ユウさんがそうしたいなら…そうなんだけど…」


 ジーナはしょぼんとして、口ごもった。


「だが、わたしとヴリトラが言っているのは、それ以前の問題だ。

 アンバランサーよ、この地に残る選択をしたとき、お主の身に何が起こるか、それをわかっているか?」


 ユウは、いつもの静かな表情で、沈黙している。

 そう、ヴリトラ神さまも言っていた。とどまり続けることで、ユウの身になにかが起こるのだと。

 なにか、とんでもないことが?

 ユウが深く傷ついたり、命にかかわるような?


「命にかかわるといえば、かかわるのかもしれないが…」


 ヴリトラ神さまがつぶやく。


「そんなの、だめ!」


 わたしは思わず叫んだ。


「なにが起こるんですか、ガネーシャ様、ヴリトラ様! 教えてください!!」


 ガネーシャ様は、その優しい目で私をみて


「それは、我々には言えないのだよ」

「なんでですか?!」

「それは、アンバランサーが決めることなのだ。アンバランサーが、すべての選択をしたあとなら、言えるが、我々がそれを今、君たちに明らかにすることは禁じられている」

「…神様にも、禁じられていることがあるんだ…」

「君も神になってみるとわかるぞ。不自由ばかりだ」


 とヴリトラ様が言った。


「我々は、アンバランサー、君が好きだ。できれば、この地にとどまってほしい。だが、代償がある以上、これは君の選択なのだ」


「ユウ、あなたはわかっているの? どうなっちゃうのか?」


 わたしは、ユウの腕をつかんで、尋ねた。


「教えて!」


 ユウも、わたしをじっと見て


「今はまだ言えないけど…たぶん、君たちが悲しむようなことにはならないから」


 そう静かに言った。


 そのとき、


 バン! バン! バン!


 と、何かが何度も激しくぶつかるような音が、霧の空間に響き渡った。


「結界に入ろうとしているものがいる」


 ガネーシャ様が言う。


「敵ですか?!」

「違う、結界を解くぞ」


 ガネーシャ様の声とともに、また、周りは暗転し、次の瞬間わたしたちは、最初の巨大な神像の前にいた。

 目に入ったのは、とほうにくれたように、広間の天井付近をぐるぐると回っている、六枚羽の鳥。

 羽は折れて、破れ、ぼろぼろになっていた。

 それが、わたしたちを見つけるやいなや、一直線にユウのもとに。

 ルシア先生の、事告げ鳥だ!


「ゆうサン、助ケテ! 助ケテ! えるふノサトガ!」


 事告げ鳥は、ルシア先生の声で一声そう叫び、そして、一瞬にして灰色に石化して、墜落した。

 床に衝突し、激しい音をたてて、粉々になってしまった。


「向こうで、なにかが起きたようだ…」


 ユウが険しい顔をしていった


「一刻もはやく、ルシアさんのもとに、行かなければ…」


いつも読んで下さりありがとうございます。 ルシア先生に何があったのか。話はいよいよ佳境に入ります。


面白いぞ、続きが読みたいぞ、そう思われた方は応援を。


ヴリトラ様:なにしろ、ガネーシャのことなら、わたしは、奴がおねしょをした時代から知っている

ガネーシャ様:ヴリトラ、お前なあ、それならお前の黒歴史をかたってやろうか?

ヴリトラ様:それはやめて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ