第39話 友達だからね
ブクマ感謝です。
2018/5/10アキトの会話を少し加筆修正しました。
ルウに告白した日から2日後……。
結局、次の日も筋肉痛が酷くて動けず、1日ベッドの上で過ごす羽目になった。
ルウとは……。
まだぎこちなくて、目と目が合うと照れ臭くて視線を逸らしてしまう様な状態だ。
クリスティーナさんは、そんな俺達の様子を見ると生暖かい視線で見守ってくる。
絶対クリスティーナさんはこうなるって分かってた。
分かってたから俺達を2人きりにしたんだと思う。
俺は、ルウがあんな風に告白してくるなんて予想も出来なかったのに、何でクリスティーナさんは分かったんだろう?
乙女の……、いや、漢女の勘って奴か?
恐るべし、漢女……。
それは兎も角、まだ身体は少し痛むけど、何とか動けるようになったので、今日から活動再開する事にした。
いきなりペナルティ貰う事になるけど、一旦冒険者組合に行って依頼を破棄して、地道に雑用する事に決めた。
理由は2つ。
森にしか薬草が無くて、俺では入れないし、この前は助かったけど、次も流電狼に襲われて助かる保証が無いのが1つ。
2つ目は……。
「ハルト、準備出来たよ」
「あぁ、こっちも大丈夫。すぐ行くから」
これが2つ目の理由。
今日からルウも一緒に行く事になった。
それと言うのも……。
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「私も、ハルトと一緒に行く」
「いや、ダメだよ。何があるか分からないし、危ないよ」
「だから、行くの。私、ハルトを守るから」
「えっと、いや、たしかに前もルウに助けてもらったけど……」
「1人にしないって……、言ったのに……」
「えぇ! いや、言ったけど、さぁ」
「ふふ、ハルちゃんの負けみたいね」
「いや、笑ってないで、クリスティーナさんも止めてくださいよ」
「ムリよ。ルウちゃん意外と頑固だから、言い出したら聞かないし」
「俺の時はあんなに反対したのに諦めハヤッ!」
「まぁ、ルウちゃんが居れば、ハルちゃんも無茶しないだろうし、何よりルウちゃんが行きたがってるしねぇ。諦めなさいな」
「いや、そんな事言われても」
「ハルト……」
ルウが悲しそうな顔で、上目遣いに見てくる。
「あぁ、もう、分かったよ。分かりました」
「ハルト、ありがと」
ルウの笑顔が可愛くて、ハルトは少し頬を染めながらそっぽを向く。
「2人共、気を付けていってらっしゃいな」
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まぁ、ルウが居るのに危ない依頼とかあんまり受けたくないしなぁ。
ペナルティは痛いけど、いつまでもウジウジ悩んでても仕方ないし、授業料だと思って諦めるしかないと思う事にした。
「じゃあ、行こっか」
「うん」
俺はルウと2人で冒険者組合へと向かった。
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やっぱり歩くと遠い、冒険者組合に着く頃には1時間程経っていた。
筋肉痛が完全に治ってないので少し足が痛んだが、ルウは相変わらず平気そうだ。
そんな事を考えながら冒険者組合へとハルト達は入る。
冒険者組合に入った瞬間、室内の視線が一斉にこちらを向く。
いつもなら一瞬見られてすぐに視線は逸れるのに、今日は視線がこちらに向いたままだ。
皆の注目を集めて、居心地の悪さを感じ落ち着きを失くす。
俺、何かした? って考えながら、一昨日の失敗が広まって注目されてるのかと思い至った所で、視線の集中する先が自分では無い事に気付く。
皆の視線を集めていたのは……、隣に居たルウだった。
ですよねぇー。
マリアンさんも元の世界から比べるとかなり綺麗な人だったし、異世界ではルウくらいの美少女がゴロゴロ居るのかと最初は思ったけど、このオーゲストに着いて、街行く人を見ていると2人は別格だと思う。
仮に数字で表したとしたら、元の世界の女性の綺麗さが5点満点で平均2点位で、アイドルとか美人と言われてた人が4点位って感じだけど。
この世界……オーゲストしかまだ知らないけど、街行く人の平均が3点位、マリアンさんとか冒険者組合の巨乳ちゃんとかで、もう4点位な感じの可愛さや綺麗さを持ってる。
そこらを歩いてる人でも、学校のクラスに1人2人居る可愛い子に並ぶ美人や美少女ばかりで、それだけでもこの世界に来て良かったと思える。
そんな中でも、ルウの美少女っぷりは別格中の別格だ。
5点満点で表しても、10点をあげたい位の美少女だと思う。
いや、別に自分の彼女だから贔屓してるとか、惚気とかじゃないからね。
だから、こんな場所に連れて来たら、皆の視線を釘付けにしてしまうのは仕方のない事だった。
しかも、服装はマリアンさんチョイスのフリフリリボンの黒ゴス……。
今思うと、道行く人もルウを見ていた気がする……。
そりゃこれだけの美少女で目立つ服装してれば皆の注目を集めるのは当たり前だよな……。
俺が鈍感過ぎて、そこまで気が回らなかったのがいけなかった。
「へぇ、こりゃまたえらい上玉じゃないか。お嬢ちゃん依頼かい? 依頼なら俺達が受けてやるよ。その代わりといっちゃーなんだが……。わかるよな?」
うわ、何か来た!
突発系お約束イベントが来た!
ルウは急に声を掛けられて、俺の後ろに半身を隠す様に下がってる。
「おいおい、抜け駆けは良くねぇな。依頼なら俺達が受けてやるよ。だから嬢ちゃん、俺達に付き合えよ」
何かまた増えた……。
ど、どどど、どうしよう……。
「はぁー? 後から来て勝手な事言ってんじゃねぇよ。ンなもん早い者勝ちに決まってっだろ」
「はッ、お前みたいな品性の欠片も無い奴にこんな上玉渡せるかよ」
「どっちが品性無いんだよ! 知ってっぞ、お前ら1人相手に複数でヤルのが好きな変態だろうが」
「あぁ!? お前らだって順番に回してんだろが! 俺らは皆で一緒に楽しくやろうってだけだよ。仲間同士で順番付ける方がどうかと思うがな」
うわ……ダメだこいつら、こんなのにルウを渡したら何されるか分かったもんじゃない。
しかし、どうしよう……。ここで逃げても、また来たら絡まれるだろうし、窓口には行かないといけないし……。
あぁ、もう、誰か助けてくれよ!
「お困りですか? お嬢さん」
後ろから聴き覚えのある声がして、俺は慌てて振り向いた。
「あ! アキトォ〜」
何か情けない声色になってしまった……。
「やぁ、ハルト。また逢ったね。前を通ったら騒がしかったのでね。少し覗いてみたのだけど、品の無い羽虫が集っているみたいだね。良ければ追い払おうか?」
俺は首振り人形の如く上下に激しく首を振って肯定を示した。
「チッ、銀騎士が、テメェも後から来て邪魔すんじゃねぇよ。どいつもこいつも俺の邪魔しやがって」
「本当に品が無いな。このお嬢さんに何かしようと言うのなら、僕が相手をする事になるが……。あまり騒ぎを大きくしたくは無い、ここは引いてもらえないだろうか?」
ルウに声を掛けて来た男達は、一瞬逡巡した後、周囲を見回して、何か事を起こせば乱入してくるだろう冒険者組合の職員達とアキトを見て溜息を吐く。
「チッ、今は間が悪い、ここは引いてやるよ。だがなぁ、この借りはツケておくぜ」
そう言って男達は離れて行く。
アキトのおかげで助かった……。
俺1人だったら、最悪、ルウを連れて行かれてたかもしれない。
せっかく彼女になったのに……、俺は好きな子1人護れないのか……。
俺は、助かった安堵と、助けてもらった感謝と情けなさが入り混じる複雑な気持ちを抱えていた。
「さて、これで一先ずは安心かな。こちらのお嬢さんは初めてだね。お初にお目にかかります、僕の名はアークライト・ウォルフォード、アキトとお呼びください。以後お見知り置きを」
「アキト……、ハルと、アキ……、仲良しさんだね」
? 何が仲良しなんだろ?
「そうだね。ハルトと僕は友達だからね」
「え!?」
いつ友達になった? いや、助けてもらっといて何だけど、勝手に友達認定されてるし……。
「アキト、助けてくれて、ありがとう」
「いえ、貴女の様な美しい女性のお役に立てて光栄です。もし、宜しければお名前をお聞かせ願えないでしょうか?」
「……ルウ」
「! ルウ……、素敵なお名前だ。美しい貴女に相応しい響きのお名前ですね」
あぁ、もう、何か全身に鳥肌が立つ。
何でこいつはこんな歯の浮く様な台詞をポンポンと言えるんだよ。
しかも、無駄に美形だから台詞が嵌ってて余計にムカつくわ!
だいたい、俺のルウを口説くんじゃない!
ルウはぜーッたい渡さないからな!
「はいはいはいはい、そこまでー。助けてくれてありがとう、アキト。俺達は用があるから、もう行くから」
そう言って俺は、アキトとルウを強引に引き離す。
そのままルウの手を取って窓口へ向かおうとした。
「と、ハルト? あぁ、そういう事か。大丈夫だよ、ハルト。僕は取ったりしないから、さ」
あぁもう、そう言う余裕のある言い方されると何かムカつくわ!
絶対絶対ぜーッたいに、ルウは渡さないんだからな!
サブタイ付けて、タイトル変更してみたのですが、いまいちしっくりこないと言うかなんと言うか……。
主題の『欠陥勇者と滅亡の魔女』はそのままで、サブタイのみの変更を考えてますが、皆様の中で良い案をお持ちの方はいらっしゃらないでしょうか?
こんなのあるよ。とか、こんなのはどう?
などあればご助力お願いします。
皆様の案の中で、コレと言う物をそのまま採用させて頂くか、複数を統合して採用させて頂くかは分かりませんが、良い案がありましたらお願いします。




