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忌み嫌われ諦めていた【占いの館 ネムノキ】の魔女の扉を開いたのは、強面の騎士でした。  作者:


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6 強面騎士様からの誘い


 

  「え……? 出店……?」

 私はクラウン様に、お誘いされたのが信じられなかった。


 「薬草とか、おまじないの道具のお店でもいいし。ライザ様の占いのお店でもいい」

 いつの間にか至近距離で、私の頭の上から説明をした。

 「たまには街へ行くと、いいのではないか?」


 クラウン様は強制的な言葉で誘ったわけではなく、私の心を少し軽くしてくれた。

 顔を見るために、私は顔を上げた。

 

 「わ……、私でも。お祭りに参加して、良いので……しょうか?」

 背が高くて首が痛くなりそうだった。

 前髪が風になびいて、クラウン様の顔が良く見えた。


 「……もちろん」

 その時、クラウン様は私に優しい笑顔を見せてくれた。

 

 

 クラウン様は、お祭りの具体的な計画を教えてくれた。

 「お祭りで騎士団でも、出店をやることになった」

 「え……? そうなの、ですか?」

 意外だった。


 「騎士の奥さんや女性騎士が中心になって、お菓子などを販売する」

 クラウン様は、腰に着けた小さな簡易的なカバンから何かを取り出した。

 折りたたまれたお祭りの、出店の予定地図だった。

 「お祭りの防犯の為と、街の人達と騎士たちの交流の場にする目的だ」


 騎士団の出店する目的は分かったけれど、なぜ私が出店を?

 さすがに、ずっと上を向いているのが辛くなってきたので顔を下へ向けた。

 「でも……。なぜ、魔女の店……を?」

 忌み嫌われている魔女の、お店が歓迎されるとは思わない。


 「昔のことを誤解しているのは、街の人の一部。誤解を解くために、出店した方がいいと思う」

 クラウン様は私の肩に優しく手を置いた。


 「でも、クラウン様。一部と言っても、少なくない。リサさんが傷つくことになったら、どうする?」

 ジョンおじさんが、私を心配して言ってくれた。

 おじさんの方を見ると、ノラおばさんも両手を握りしめて心配そうに見ていた。


 「でも、いつまでも|ここ《【占いの館 ネムノキ】》に引きこもってはいられない。そうだろう?」

 「あ……」

 「う、うん」

 ジョンおじさんとノラおばさんは、下を向いてしまった。

 

 クラウン様は間違っていない。

 きっと正しいことを言っている。そして心配をしてくれている。

 私自身もこのままでは、いけないことだと自覚している。


 「何か言われたり、されたりしたら。俺に守らせてくれないか?」

 今度はガシッと、両肩を掴まれた。

 「ひゃ……」


 「クラウン様。それじゃ脅かしているようなので……! むやみに触れるのを、やめた方が良いですよ」

 他の行商人さんが、見かねて話しかけてきた。

 「顔が怖いから余計に……!」

 ノラおばさんが遠慮のない言葉で言った。

 「そうだな」

 行商人さん達は一斉に頷いた。


 「あっ……! すまない!」

 クラウン様は皆に言われて気が付いて、私の肩から両手を離した。


 「リサちゃん、顔が真っ赤……」

 「もう少しクラウン様は、誘い方を学んだ方が良いわね……」

 行商人さん達は何か、ヒソヒソと小声で話していた。


 クラウン様は、コホンと咳払いをした。

 「あ――。隣は騎士たちがいる。もしも厄介な客が来ても、助けられると思うが……どうだろうか?」

 

 私は祖母が亡くなる前に話してくれた、言葉を思い出した。

『リサなら、大丈夫。きっと素敵な人や友人と、出会えるでしょう』


 本当だろうか?

 こんな私でも……。

 街の人達と仲良くできたり、友達が出来たりするのだろうか?


 「そうね……、リサちゃん。ライザ様と相談して、出店してみたら?」

 ノラおばさんも私に、お店を出してみたら? と言った。


 「……そう、ですね」

 魔女ライザと私が、行商人の皆も同一人物と知らない。

 リサと魔女ライザは、別人と考えられている。リサと違って魔女は、人前にほとんど顔を見せてない。

 依頼人の対応はリサ。占いは魔女のライザだから。


 「相談して、みます」

 魔女のライザと、リサは同一人物なのに。――嘘をついているようで胸が痛かった。

 

 「リサさん。前向きに検討してくれると、嬉しい」

 クラウン様は、ニコッと微笑んだ。

 お顔は怖い。

 だけれど、笑うと目尻が下がった。

 年上の方に失礼だけど、可愛いと思ってしまった。


 「そう言えば……。クラウン様の年齢は、いくつなんだい?」

 ノラおばさんは聞きにくいことを、クラウン様に聞いた。……男の人に聞くのなら、大丈夫なのかしら?

 「うん? 二十二、だが?」


 二十二歳……。思っていたより若いと知った。

 

 「え! そんなに若かったのかい!? もっと三十(みそじ)に近いかと思った!」

 経験豊富な行商人さん達でも、知らずに驚いていた。

 「そうなのか? 思っていたより、老けて見えるのか」

 クラウン様は、少しショックを受けたようだった。


 「い、いいえ! 騎士団の副団長様……ならば! 舐められるより……は、いいです! カッコいい……です」

 私はクラウン様のことを励ました……、つもりだった。


 「おっ! リサさんの言う通りだ!」

 「そうだ――!」

 「クラウン様のおかげで、街の安全が守られている!」

 ちょっと冷やかすように行商人さん達が、クラウン様へいった。


 「あ、ぁ……。すみません……。私。よけいな、ことを……」

 困っているクラウン様を見て、謝った。


 「いや違う。リサさんにカッコいいと言われて、照れて。……嬉しかったよ」


 私……。本音が口から出ていた……、みたい。

 下を向いて顔が赤いのと、変な汗が出てきたのを誤魔化した。


 「祭りの出店。前向きに考えて欲しい」

 「はい……」


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― 新着の感想 ―
xから見に来ました。 すごくほのぼのとして一気に読んでしまいました。 霧深い館の扉を開いた瞬間から、不穏さと好奇心が同時に胸を締めつけるように迫り、魔女の館という怪しく魅力的な舞台で迷い歩く主人公の視…
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