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忌み嫌われ諦めていた【占いの館 ネムノキ】の魔女の扉を開いたのは、強面の騎士でした。  作者:


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17/17

17 自覚


  

  街の大通りを歩いていると街の人から挨拶してもらったり、食べ物をもらったりした。

 「リサちゃん! 食べてね」と言って色々もらってしまった。

 「あ、ありがとう御座います……」


 優しい人が多くて良かった。両手にたくさんいただいてしまった。

 落とさないように、ゆっくりと街の中を歩いていた。


 「クラウン様~!」

 女性たちの声が、近くから聞こえてきた。とっさに建物の影へ隠れてしまった。

 クラウン様を呼ぶ声だったからだ。


 「見回りですか――?」

 そっと見てみると、アビゲイル様と数人のお友達と思われる方がクラウン様を取り囲んでいた。

 貴族なのだろうか? 皆、きれいなドレスを着ていた。


 髪の毛も今、人気らしい髪型にしていた。地味な自分の姿と比べると、とても恥ずかしく思えた。

 皆、お化粧してきれい。

 

 クラウン様は「今、仕事中なので」と言って困った顔をしていた。

 仕事中だけど厳しく注意できなくて、周りの女性たちはそれをいいことに騒いでいた。

 「休憩の時間に、同僚の方も呼んで一緒にお茶とか行きません?」

 囲んでいた女性の一人が、クラウン様の腕を掴んだのを見てしまった。


 それを見て、とても嫌な気持ちになった。嫌だ。クラウン様に触らないで――。

 建物の壁に触れていた手を、ギュッと握りしめた。

 「……?」

 あれ? どうしてクラウン様の腕へ、他の女性が触れるのを見るのが嫌なのだろう?

 不思議な感情に私は戸惑った。


 「あ」

 影から見ていたらクラウン様が顔をこちらへ向けた、目が合ってしまった。

 見ていたのを気付かれたので、サッと壁に隠れた。

 「やだ……」

 恥ずかしくて、速足で建物の影から離れようとした。


 

 「リサさん、もう帰るのか?」

 「わ……!」

 まさかクラウン様が、もたもたしている私の方へ来るとは思わなかったので驚いた。


 「すまん、驚かせた」

 強面のクラウン様だけど、優しく笑いかけてくれた。胸がトクン……と強く鳴った。

 「い、いえ……」

 眩しくてクラウン様の顔を見られなかった。


 「近くまで用事があるから送ろう」

 クラウン様は、私の背中を軽く押して歩かせた。

 「えっ? お、お仕事中じゃ……?」

 大丈夫、とクラウン様は言って一緒に街の中を進んだ。


 ちょっと大通りから外れた裏道を進んでいる。

 人通りもなく、目立ちたくない私を気遣ってくれているようだ。


 「あの……。先ほどの女の人達を、置いてきて……大丈夫でしたか?」

 クラウン様は背が高いので、見上げて話しかけた。

 「あの女性たちは、俺の同僚が目当てだから。懲りずに俺へ、声をかけて来ただけだ」

 少し考えてクラウン様は返事をした。


 クラウン様の同僚さんが目当て? そうなの?

 私は同僚さんだけではなく、クラウン様目当ての女性もいると思った。

 

 「俺みたいな、怖い顔の男になんか興味はない」

 ハハ……と、クラウン様は笑った。

 女性や子供に怖がられている。自分はモテないと思っているようだ。


 「そ、そんなことはない……と思います」

 さっき……。きれいな女性がクラウン様の事を見つめて頬を染めていた。

 きっとその女性は、クラウン様のことが好きだと思う。

 私には分かった。だって、私も……。


 ――()()


 「どうした? 具合が悪いのか?」

 「ひゃ!」

 クラウン様が屈んで私の顔を覗き込んできたので、変な声を出してしまった。

 怖いけれど整った顔が近くに見えて、動揺した。

 「だ、大丈夫……です」


 どうしよう。

 私、クラウン様の事が好き……みたい。心臓がドキドキして苦しい。

 何かの悪い病気かと思っていたけれど、違う。

 クラウン様がキラキラと、眩しく見える。


 「そうか? もう休憩時間だから、そこのカフェでお茶に付き合ってくれないか? 聞きたいこともあるし」

 クラウン様は難しい顔をして私に言った。何かお仕事の話かしら?

 「は……、い」


 

 このカフェは、前から入ってみたかった。まさかクラウン様と入れるなんて……。

 赤いレンガの壁の、おしゃれな内装のお店。

 店内には観葉植物がたくさん置いていて、落ち着くお店だ。

 お客さんは女性が多い。

 名物が、フルーツたっぷりのパンケーキ! 一度食べて見たかった。


 「い、いらっしゃいませ? あの何か……」

 お店の人がクラウン様のことを見て、びっくりしていた。

 「いや、休憩時間なのでプライベートだ」

 「そうですか。こちらへどうぞ」

 お店の人がホッとした顔をして、私達を個室に案内してくれた。何か問題があったのかと、考えたのだろうか。


 「実は甘いものが好きなので、サラさんに付き合ってもらった。騙すようなことをしてしまった」

 そう言って頭を下げた。

 「すまない。奢るので、遠慮なく好きなものを注文してくれ」

 クラウン様は甘いものが好き。……意外なクラウン様の一面を知った。


 メニュー表を見て真剣に選んでいるクラウン様を見て、可愛いと思ってしまった。

 クラウン様はチョコバナナパンケーキを選んで、私はイチゴのパンケーキを選んで注文した。


 

 「聞きたいことがあるというのは本当だ」

 注文したパンケーキがテーブルに並べられて、飲み物も揃った。

 そんな時にクラウン様は私に言った。

 紅茶を一口飲んだ。ティーカップを置いて、クラウン様を見た。


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