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×月3日

一日の出来事を千文字に収めるの難しい

【ベルル】


 昨日は一日、アレクに言われた言葉が気になって仕方がなかった。「結婚」。恐らく政略結婚ということだろうが、そんな軽々しくOKしていいものなのだろうか。

 メイシー家は、私たちアリア家ですら手を出すのを躊躇する厳格な一家だ。アレクは優男かつ気弱ということで有名だが、その父親の『ガレク・メイシー』は今まで家族に手を出してきた五十一家を潰してきたという噂まである。

 五十一家だ。それだけあれば国でも立てられる。だからこそ、メイシー家は有名な三家にまとめられるのだろう。


 そんな時、扉を叩いてメイドが入ってきた。


「朝食のお時間でございます、ベルル様。」

「少し待っていてちょうだい、それよりもエイカを呼んできて。」

「……?かしこまりました。」


 そう言うとメイドは丁寧に扉を閉めて、エイカを呼びに行った。ササッと服を着替えて、髪の毛も簡単に直した。

 一分もしないうちにエイカが扉をノックしてから丁寧に入ってきた。



【エイカ】


 突然、メイドさん経由でベルル様の部屋に呼ばれた。もしや前部屋の中を覗いたのがバレた……?それとも縁を切るとか……

 不安な想像をしながら、ベルル様の部屋に入ると、ベルル様は私を椅子に座らせてから話し始めた。


 『ピルクレア』。メイドさんに貸してもらった本に書いてあったのを思い出した。不治の病かつ、重度のものになると余命は限られる。段々と体の自由がきかなくなっていき、最後には死に至る。特に遺体に外傷や内傷も残らないので、不審死として片付けられることも多い。

 ベルル様がその病に冒されたなんて想像できなかった。

 頭が混乱している中、ベルル様は口を開いてもう一度話し始めた。


「残りの余命三十日、あなたと過ごしていても迷惑がかかるだけだわ。あなたのためにもお母さん……ベラ母さんの所へ行って。」



【ベルル】


「ベラ母さんの所へ行って。」


 そう言いながら自分でも涙ぐむのがわかった。今まで自分は何をしていたのだろう。エイカを苦しめ、終いには病に冒されて死ぬ運命。今更後悔しても遅いが、後悔するしかなかった。

 後の面倒はメイド達に見てもらえばいい。だが、エイカはその場から離れようとしなかった。黙って俯いてじっと止まっている。


「貴女のためよ。今までありがとう。」


 そんな突き放すような言い方しか出来なかった。そう言うとエイカは部屋から出ていった。最後まで部屋の扉は丁寧に閉めていた。


「私は一体……何をしてたんだろう……」


第三話 終

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