第20話 絶望の深みへ
婦警さんの次の目的を教えてください。
口に出して宣言してみたら、やる気が湧いてくるかもしれませんよ。
それとも別の楽しい話題にしますか。
かなり心がお疲れのようですし。
「いや、いい。私の目的を話す」
そうですか。
なら教えてください。
できればカメラ目線でお願いします。
「……安全地帯を探す。他の生存者と協力して、生き延びるための地盤を作る。この世界の秩序を取り戻してみせる」
それはまたすごい目的ですねぇ。
ちょっとスケールが大きすぎるのではないですか。
あまりに背伸びすると目指す気力が削がれてしまいますよ。
しかも安全地帯は警察署で見事に失敗しました。
人々が集まるだけではまた同じことを繰り返すと思います。
責任だって生じるでしょう。
それでもまだ挑戦するつもりなのですか?
「次こそは必ず成功させる。そのためにも対抗手段が必要だ。その手段を見つけるのに手を貸してくれ」
おやおや、随分と素直に頼んできましたね。
僕はあなたが憎むサイコキラーですよ。
頼み事をする相手ではないと思いますが。
一体どういった心境の変化ですか。
「意地を張ったままでは死ぬと気付いた。それにお前は不思議な能力を使っている。装弾数を無視して発砲していた。きっと何かを掴んだのだろう。それを私に教えてほしい」
別に構いませんよ。
真似できるかは別ですけどね。
なぜか知りませんが、この世界は思い込みの影響力が高まってしまいました。
おそらく人々の不安や恐怖がモンスターを生み出しています。
「そんな馬鹿なことが……」
現実的か否かの議論は無意味なので省きますね。
モンスター発生の原因は仮説に過ぎないものの、それなりの信憑性はあると思います。
何度か検証してみたので自信がありますよ。
この思い込みですが、かなり厄介です。
個々人の感情や知識が問答無用で現実に反映されてしまうのですよ。
すべてが反映されるわけではないものの、だからこそ予測不可能で面倒です。
極端な話、悪い予感は非常に当たりやすいと考えていいでしょう。
「それが装弾数の無視にどう繋がるんだ」
分かりませんかね。
残弾数など気にせずに撃てばいいのですよ。
まだ撃てると僕が思い込めば、その考えが銃に反映されます。
逆に弾切れを危惧すると、残りの弾が消滅するでしょうね。
今はそういう世界なのです。




