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私の小失敗の本質  作者: リノキ ユキガヒ
報告「秘密と秘密」
19/41

ノッポのねーちゃん≠カリスマモデル

 次に定例会の連中だが、彼らに私がモデルのRitaである事は伏せてあるのは言うまでもないだろう。なにせ変装に近い格好であっているのだ。勿論コレににも訳がある。

 一つは世間からRitaの存在を隠す事と、もう一つは小川さんとカネコさんに私の職業を隠す為である。

 自分で言うのもなんだが、仮にも売れっ子モデルが得体の知れない男性二人と密会している所がスクープでもされたら、とんでもない事になるのは容易に想像できよう。

 しかもそれが嬉々として旧軍の事を語っているのだ。

 ゴシップ誌が面白おかしく取り上げない訳がない。

 そして、それらの記事が関係各所に多大な迷惑をかける事は確実だ。

 モデルのRitaというモノは私個人ではないのだ。J&Jや事務所の人間が作り上げたものなのだ。私の一存で右に左に動かせる代物ではない。

 なので極力世間からは隔離しイメージを守ってやらなければならない。

 とにかく。芸能人は一にも二にもイメージが大事だ。

 イメージを傷付ける事はRitaの価値を失う事に等しい。私を育てくれた事務所や久我山組に泥を塗るような事は絶対に許されない。

 そしてもう一つはRitaの存在を小川さんとカネコさんに隠す事によって二人を守る為だ。

 恐らく二人共、私がモデルのRitaである事を知っても何とも思わないだろう。せいぜい

「戦艦・大和が好きなノッポなネーチャン」位だろう。

 しかし、世間はそうはいかない。

 芸能人、ましてや今をトキメク、カリスマモデルのRitaと知り合いなんて事がバレたら大変な事になるだろう。

 身内にしてみればそれこそ宝クジが当たったようなインパクトだ。

 会わせろだとか、サインをクレだとか、有象無象が彼らに取り付く事は想像に難しくはない。

 それにマスコミの餌食にもなりかねない。彼らからの口からでなくてもそういった事は漏れ伝わるものなのだ。

 無論、高島平のファミレスでくっちゃべるなんて夢のまた夢だ。

 私個人としてもモデルのRitaとして色目で扱われるよりも「戦艦・大和の好きなノッポなネーちゃん」として接してもらいたいし、定例会を同じ趣味を持つ仲間の寄り合いとして大事に扱いたい。

 無論、気軽さもそこには兼ね備えていかなければ意味はない。

 我々がしている事は基本的にはただのおしゃべりだ。学会だとか研究会の類ではない。


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