好き=雑誌
ご覧の通りJ&Jを含め私の周りには一緒に成長していった人達が多い。
右も左も分からないところから皆で切磋琢磨してここ迄来たのだ。
久我山組の結束力は半端ではない事が容易に想像できるだろう。
解りにくい例えで申し訳ないが、まるで陸軍中野学校の生徒のような感じだ。
次回の撮影の日取りが決まるとその場はお開きとなった。会議室も次の予定が入っていて早々に出なければいけない。慌ただしくスタイリストさんたちが片付けをしている。
その脇をすり抜ける様にして私は会議室を出て廊下でボウッと立っていた。
マネージャーさんと久我山編集長はまだ何か話しているようだ。
実の所私は出版社の雰囲気が大好きだ。こうゆう様にボーッとしているのは苦ではない。出版社の雰囲気を満喫できるからだ。
ボンヤリと見える範囲で様子を伺う。
編集の方々が着ている服は比較的ラフなものが多いが、程よい緊張感はまるで軍事基地のような感じさえする。
時間に追われ、無茶なスケジュールをなんとかこなして行く様は作戦実行中の部隊のようだ。
入口の所に立っている警備員さんが尚更そういった雰囲気を駆り立てる。
前に一度、ゴシップ誌の編集部を覗いたことがあるのだが、その怪しげな雰囲気はまさにレジスタンスの秘密基地のようだった。
鳴り響く警察無線と消防無線の傍受音声。
刻々と入ってくる真偽不明の情報。
ダウンして長椅子に横たわっている編集者。
正に情報戦という言葉がふさわしい場所だった。
まぁ、雑誌に掲載される情報の確度はさておき…。
私が今までモデルとしてやってこれたのは実は出版業界が好きだからなのかもしれない。
昔から雑誌には縁がある。とはいっても軍事雑誌しか読んだ事はないのだが…。
そんな業界にいつしか憧れを抱き、微力で構わないから何か関わりたいと心のどこかで思っていたのだろう。
だがしかし、よりにもよって一度も見た事も読んだ事もないファッション雑誌のモデルになるとは思いもよらなかった。
軍事マニアらしく答えるとイキナリ「日本海海戦」に参加させられ東郷平八郎の参謀として辣腕を振るってくれ。と言われている様な感じだ。
「戦艦・三笠の甲板でも掃除できたらいいな~」
というくらいの志ししか無いのに、国家の命運を左右する大作戦の立案に参加させられたようなもんだ。
私自身モデルという職業に未練はないのだが、久我山組の鉄の結束を破ってまでこの仕事を引退する気は不思議な事に全く起きない。




