お金≠仲間
昼食を挟み定例会はいよいよ佳境に入って来た。
お開きのタイミングは大体決まっている。みな時間を気にし出すのだ。
小川さんはスマホをチラチラ見だし、カネコさんはガラケーを開いたり閉じたりする。私は基本的に完全オフにしている場合が多いので時間は気にならないが、余りにも長くファミレスに居座るのも悪いのでそれが気になり腕時計をチラチラ見だす。
あとの二人は仕事が気に始める頃合いなのだろう。
私の様な風来坊とはすこし事情が異なる。
「話すネタもボチボチ切れてきた頃だしお開きにしますか?」
私はそう切り出した。
二人共すこし名残惜しい表情をしたが仕事の事もあるので渋々、私物を片付け始めた。
私はテーブルにある伝票を手にとると一足先にレジへと向かった。
その様子に気付いたカネコさんが小走りで私を追いかける。
私の方はそれに構わずカードでの支払いを係りの人にお願いした。
レジの電光掲示板に値段が写し出されるとカネコさんが財布をとりだして
「んぁ。隊長、飯代これで大丈夫?」
と、五千札一枚取り出して私に話しかけてきた。
小川さんも追い付き、カネコさんと一緒の行動を取る。
私は係りの人からカードとレシートを受け取ると
「いいよ、いいよ、私の奢り。こう見えても私、稼ぎ頭だから、へーき、へーき」
と、明るく二人にいって出口へと足を進めた。
二人共、申し訳なさそうな顔をするがカネコさんは突然、真顔になり私に話しかけてきた。
「んぁ。何言ってんだよ。俺達みたいないい大人が奢られる訳にはいかねーんだよ」
「そうだよ隊長。お金は大事にしないといけないダヨ」
小川さんも少々、説教じみた事を言い始めた。
こういう事を聞くと改めて二人共、社会人としてシッカリしてるんだなーと思う。
でも私も、二人に感謝しているのであって無意味に奢っているわけでは無い。
「二人共、忙しい仕事の合間をぬってこの会合に参加してくれてるだもん。お礼に御飯位奢らせて」
自動ドアを潜りながらそう言うと、帰路につく為二人に背を向けた。立ち去ろうとする私を慌て遮る様に二人は立ちはだかった。
「んぁ。俺らだってこの集まりは楽しみにしてるんだ。変なわだかまりを無しにしてーから言ってるの」
「そうダヨ隊長。カネコさんの言うとおりダヨ。無理しなくてもいいダヨ」
小川さんはまるで子犬が主人を見つめる様な目をしながら私にそう言った。
私もこの会合が楽しみで生きている様なものだ。わだかまりなんてナシにしたい。
ここにいる皆が同じ思いを持っていると思うとなんだか胸に熱いモノが込み上げてきた。
そして、小川さんの訴えかけるような目線に耐えきれず私は思わずうつむいてしまった。




