学力検査2
1年寮
秋雨達の部屋
「どうだった?火衣良ちゃん」
「メタルさんが間違いすぎてた」
「アハハ…、火衣良ちゃんは?」
「うん!この式はね-」
「うん、うん」
「楽しそうだな、秋雨」
「最近は息が詰まってばかりだからね…」
「アメリカ支部の人達の訪問とか…、緊迫した状態みたいだし」
「…まぁ、これぐらいの平和が良いよな」
「全くよね…」
「で?GLは?」
「何が?」
「授業、どうだった?」
「…理科よ」
「へぇ-!理科!!」
「俺は小学校の頃、理科の実験で失敗した事が有ったけ…」
「…この学園での実験の失敗は死へと直結するわ」
「え?」
「…何でもない」
「GL!ご飯、手伝おうか!?」
「今、出来たわ!!」
(…何だったんだ?)
2日目
理科実験室
ザワザワ…
「先生、遅いな-」
「誰だろ?」
「予想は出来るだろ」
「イトウさん…?」
「だろ、普通に考えて」
「はい、正-解-」
ガララララ
「私用で遅れた」
「すまんな」
バサッ
机の上に資料らしき物を置くイトウ
「今日は実験だ」
「興味もない本を読むより、興味のある実験の方が覚えが良い」
「なるほど、一理あるな」
頷く竜山
「メイス!」
「は-い!」
メイスが理科準備室から材料を持ってくる
「全員に配ってくれ」
カタカタ…
全員の机に材料を置いていくメイス
「え-、まずはケルメン、7グラムだ」
「班に分かれて、やってみろ」
「は-い」
ザラザラザラ…
「こんな感じ?」
「いや、2グラム多い」
「少し減らして…」
「これぐらいで良いだろ-」
「そうだよな-」
「…向こうの班は適当だな」
「理科の実験で適当は駄目だろ」
「そうだよな」
「次は黒粉、9グラムだ」
「この「黒粉」って…、何ですか?」
「後々、解る」
「じゃ、次はエヴァゼ、1.5グラムだな」
「…竜山」
「何だ?秋雨」
「先刻から聞いた事も無いような材料ばかりなんだけど」
「そうだよな…」
「専門材料とか?」
「そうかな…?」
「よ-し、それで良いだろう」
「で、コレに火を入れるんだが…」
「そこの班!調合物を持って来てみろ」
「あ、適当にしてた班が呼ばれたぞ」
「大丈夫かな…?」
「失敗したら、適当にやってたのが悪いんだろ」
「気にしなくて良いさ」
「良し、やってみろ」
「こんな感じですか?」
ボッ
ドガァアアアアアアアン!!
「…失敗だ」
「はい、次-」
「…もの凄い爆発したぞ」
「この臭い…」
「どうした?秋雨」
黒粉の臭いを嗅いでいる秋雨
「…ニトロだ」
「えええええ!?」
「昔、工事現場見学に行った時に臭った事が有るんだけど…」
「色とか臭いからして、ニトロとしか…」
「…大丈夫なのか?」
「…無理だと思う」
(GLが言っていたのはコレか…)
バタン!!
「そこまでです!イトウさん!!」
「クラウン!!」
「危険な実験を一刻も早く中止してください!!」
「どうしてクラウンが!?」
「イトウさん!実験を…!!」
「メイス!!」
「はいっ!!」
ガバッ
「メ、メイスさん!?」
「ゴメンね」
ゴキッ
「うぐっ…」
ガクン
力なく倒れるクラウン
「メイス、処理してくれ」
「は-い」
その時、秋雨を含める生徒達は直感的に悟った
(あ、コレはマズイ)と
ガタン
「何処に行く?竜山」
「ちょっと、トイレに…」
(逃げる気か!?逃げる気なのか!?竜山!!)
「そうか」
「しかし、時間も無いしなぁ…」
「そうだ!実験していけ」
「え?」
「火を加えるだけの作業だ」
「簡単だろう?」
「え-?いや-、ちょっと…」
「早くやれ」
「…でも」
「メイス-」
「はい!早急に実験させていただきます!!」
「良し」
(大丈夫だ…!火を入れるだけなんだ!!)
(あの班と違って、真面目にしてたし…!!)
(うん!大丈夫だ!自分を信じるんだ!俺!!)
スッ…
「うぉおおおおおおおお!!」
キ-ン、コ-ン、カ-ン、コ-ン
「…大丈夫?竜山」
「自分が火属性能力者で火に慣れてるのが幸いだったさ…」
「…そうか」
「で、そのアフ…、頭なんだけど…」
「言うなよ…、皆まで言うな」
「最後に「ロ」を付けるな」
「頼むから…、いや本当に」
「…う、うん」
(こんな頭が有り得るのか…)
「それにしても、大丈夫かな?クラウン」
「気絶させられてたけど…」
「イトウさんも手荒だよな-」
「クラウンは注意しに来ただけなのに…」
「でも、クラウンが学園に居るのは何でだ?」
「偵察よ」
「ロ-ブちゃん!!」
「もう…!その程度も解らないの!?」
「私達だって教師として来てるんだからね!!」
「えぇ!?」
「…と言っても、教師はトルアだけ」
「他は学園を偵察って名目で旅行に来ただけなんだけど…」
「そうなんだ…」
「それは兎も角…」
「助けて?」
「え?何で?」
「お願い!一晩だけで良いから!部屋に匿って!!」
「え?いや、だから…」
「何で?」
「恐ろしい暴漢が襲ってくるの!!」
「えぇ!?誰!?」
「知らない人なんだけど…」
「変な服を着せようとしてきたりするの…」
「…骸瀧さんか」
「骸瀧先輩だな」
「ロ-ブ-ちゃぁ----ん!!」
「何処----!?」
「ひぃっ!来た…!!」
「俺が説得してくるよ!!」
「竜山!」
「可愛い女の子の危機だ!!」
「男が立ち上がらないでどうする!?」
「竜山っ…!アンタ…!!」
「ちょっと!骸瀧先輩!!」
「ん?何だ?竜山君」
「ロ-ブちゃんが嫌がってます!!」
「そのクソ趣味の悪い服を着せるのは…」
「あぁ?」
「ロ-ブちゃ-ん!骸瀧先輩が可愛らしい服を持ってきてくれたよ--!!」
「意気地無しぃ--!!」
「が、骸瀧さん…」
「何だ?秋雨君」
「可愛らしい服だろう?」
「水無月さんが呼んでましたよ」
「何だって!?」
「暴漢に襲われる-、って」
「…ありがとう、秋雨君」
「君のおかげで、この世のゴミを排除できそうだよ」
ダダダダダダ!!
「水無月ちゃぁああああああああん!何処だぁああああ!?」
走り去る骸瀧
「嘘も方便、ってね…」
「コレで大丈夫だよね?」
「…秋雨」
「ん?どうしたの?」
「先刻、トルアが「可愛いガ-ルを見つけたぜ!!」って…」
「水無月の所に…」
「…あ」
北校舎
廊下
「ティ-でも、どうだい?水無月ちゃん!!」
「遠慮します」
「そう言わないでさぁ-」
ダダダダダダダダ!!
トルアに向かって、1つの殺戮兵器が走ってくる
否、殺戮兵器ではなく…
「え?骸瀧ちゃん?」
「寂しくて会いに来てくれたのかな-?俺に!!」
フッ
その瞬間、気が付けばトルアの目前には骸瀧の拳
その拳がトルアの顔面に衝突するまで0,01秒だが、トルアは悟っていた
(あ、俺、死んだ)…、と
ゴガァアアアアアアアアン!!
「大丈夫!?水無月ちゃん!!」
「え?大丈夫だけど…、何で?」
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