The later story12
東の森
「大丈夫か?だぜ」
「ぜぇ…、ぜぇ…」
「大丈夫です…」
「そうは見えないんだぜ」
「ずっと歩き回ってたんだろ?だぜ」
「この国を半周ぐらいしましたから…」
「ぜぇ…、ぜぇ…」
「移動手段を使えば良かったんだぜ」
「浮遊船から列車まで…、色々有るんだぜ?」
「徒歩で行った方が…、良いかと思いまして…」
「それに乗り方も知らないし…」
「まぁ…、少し休もうぜ」
「はい…」
木の根に腰を下ろすスペ-ドと秋雨
「スペ-ドさん達は旅を続けてるんですか…?」
「当たり前だぜ」
「…ただし、この森には1ヶ月に一回は来てるぜ」
「会うためにですよね」
「ハ-トがうるさいんだぜ」
「「輝鈴が木に取られる~」ってな、だぜ」
「アハハハハ…」
「…天鹿和さんの表さんは」
「ダメ-ジが深刻なんだぜ…」
「精神的な物も有ったはずなんだぜ…」
「…そう、ですか」
「あの噂も精神的なストレスに…」
「「あの噂」?」
「ハジャ様を…、覚えてるか?だぜ」
「!」
「メタルが復活させたらしいんだぜ…」
「俺達にとっては有り難いが…、輝鈴にとっては」
「…その話なんですが」
「ハジャは…」
「遅い…」
「!!」
「!!」
「何してるの…?」
「皆、待ってる…」
「だ、ダイヤ!気配もなく後ろに立たないで欲しいんだぜ!!」
「アナタ達が気付かなかっただけ…」
「早く…、来て…」
「わ、解ったんだぜ」
木の穴
「ただいま-、なんだぜ」
「遅いわよ!!」
「いや-、ゴメンなんだぜ」
「途中で秋雨がヘバっちまってな~、だぜ」
「面目ないです…」
「久しぶりだな、秋雨」
「天鹿和さん!!」
「それに…、木も!」
「お久しぶりね」
「あれ?大きくなった?」
「最近、エネルギ-は輝鈴から貰ってるのよ」
「アナタの細胞の御陰で、大抵のエネルギ-には対応できる様になったわ」
「そうなんだ…」
「ジョ-カ-さんは?」
「それに…、クロ-バ-さんも」
「さぁ?遅れてくるって…」
「?」
東の森の外れ
「お久しぶりです」
「そう畏まるな」
「私は、もうお前の主でも何でも無いのだからな」
「…そう言って頂けると有り難い」
「では、お聞かせいただけますか?」
「何を?」
「輝鈴の表を…、元に戻す方法を」
「…話はヤグモから聞いている」
「私の罪か」
「…そうなりますね」
「…正直な話、私は過去を償う気は無い」
「だが、これから変わっていく気が有るのは確かだ」
「…私は、アナタ様がどうなろうと知った事では有りません」
「輝鈴を、青龍を戻す方法を聞いているのです」
「…変わったな」
「そうですか?」
「ハ-ト達から言われないのか?」
「何も」
「そうか…」
「…輝鈴と青龍の魂を別離させる事は簡単だ」
「だが…、止めた方が良い」
「何故です?」
「もし、天鹿和 輝鈴という人間の体から青龍が消えたらどうなる?」
「壊れた状態の輝鈴の魂が人格として現れ…、廃人と化す」
「では…」
「徐々に直していくしか有るまい」
「時間も要するだろうが…、最も確実だ」
「そうですか…」
「最後に」
カシャン
瞬きほどの一瞬
その一瞬でハジャの首にジョ-カ-の刀が向けられる
「まだ…、続けるのですか?」
「過去の実験を」
「輝鈴と青龍を壊した実験を…!!」
「…私の目的は果たされた」
「では…」
「続ける」
「ッ!!」
「ただし、生命は使用しない」
「私も見張られている身なのでね」
「下手な行動は取れないんだよ」
「…信用して良いのですね?」
「それはお前の自由だ」
「私は、お前が私をどう見ているか知らないからね」
「…解りました」
「用心深いのは変わってらっしゃらない様ですね」
「気付いていたのか」
「向かいの木にヤグモを配置していますね」
「君も、ヤグモをクロ-バ-に狙わせているね」
「…クロ-バ-に合図を出さずに済んで良かった」
「元、主君を殺したくはないですから」
「私もお前を殺したくはない」
「お前は私の最高傑作と言うべき人間なのだからな」
「アナタは…、いつもそうですね」
「私が最後にメタルに味方した理由を解っていない」
「それなら獅師に言われたよ」
「「君は君、メタルはメタル」とね」
「…そうです、俺は俺です」
「メタルのクロ-ンじゃない」
「細胞と意思伝達機能が同じだけだ」
「彼に対抗するために創った君が…」
「まさか、最後の最後に私に牙を向けるとはね」
「夢にも思わなかったよ」
「…昔の話です」
「今は輝鈴の話でしょう?」
「…そうだね」
「だが、先刻も言った様に時間をかけるしか方法は無い」
「それ以外、有るとするのならば…」
「…ッ」
「何です?」
「彼は…、何と言ったか」
「私の計画を潰した彼」
「秋雨ですか?」
「秋雨 紅葉」
「そうそう、彼だ」
「彼の能力を持ってすれば…」
「…それは駄目です」
「彼の能力は命を削る」
「…ならば、時間をかけるしか有るまい」
「数十年…、数百年…、数億年…」
「今の輝鈴の魂は向こう側の世界では俗に言う「植物状態」だ」
「いつ回復するかは解らない」
「それまで…、お前が生きていられるか?」
「生きましょう」
「私は限界まで」
「…そうか」
「それでこそ、お前だ」
「アナタも変わってください」
「罪を償え、とは言いません」
「アナタの罪は重すぎる」
「…ああ」
「行くぞ、ヤグモ、獅師」
「了解しました」
木から飛び降りるヤグモ
「…ジョ-カ-」
「何だ?獅師」
「この前にも言ったが…」
「お前はお前だ」
「…ああ」
「解っているさ」
「…そうか」
「…俺達も帰るぞ、クロ-バ-」
「…解った」
「良いのか?止めなくて」
「あの方が変わると言っているのだ」
「それに…」
ポタッ
「…おい」
ジョ-カ-の額から大粒の汗がしたたり落ちる
「お前は解るか?」
「俺が…、どれだけあの方の殺気に耐えていたか」
「…!!」
「…森に戻ろう」
「輝鈴達が待っているだろうしな」
「この事は…」
「勿論、言うな」
「俺は仲間を殺したくはない」
「…解った」
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