学園新聞29
喫茶店
「…」
「…ふぁぁ」
「真っ昼間から大欠伸ですか」
「ん?お前は…」
「私は夜風です」
「あ-、風紀委員の」
「メタルさんは何を?」
「昼寝」
「ヒモですか?」
「「ヒモ」って何だ?」
(馬鹿でしたか…)
「ガルスさんは?」
「居ねぇけど?」
「任務に行ってるよ」
「そうでしたか…」
「何だったけ?確か…、アメリカ支部での訓練補佐だっけ」
「メタルさんは行かないのですか?」
「俺だったら訓練生を殺しちまいかねねぇだろ」
「留守番を頼まれてんだよ」
「…残念です」
「ありがとうございました…」
「おいおい!お前は何をしに来たんだよ!?」
「いえ、ガルスさんに料理を習おうかと…」
「あ?ガルスに?」
「はい…」
「だったら、俺が教えてやるよ」
「…え?」
「教えてやるって」
「遠慮しておきます」
「何で!?」
「失礼ですが、とてもメタルさんが料理を出来る様には思えません!」
「出来てもカップラ-メンぐらいでしょう!?」
「テメェ…!ケンカ売ってるだろ…!?」
「コレでもなぁ!喫茶店の従業員なんだよ!!」
「では…、何が出来るのですか?」
「簡単な夜食」
「ハッ…、所詮はその程度ですよね」
「あぁ!?お前、夜食を舐めんなよ!!」
「疲れて帰って来たとき、ちょっとした夜食が有ったら、どれだけ有り難いか!!」
「お前の旦那も!それはそれは有り難い…」
「本当ですか!?」
「うぉ…、急に食いついてきたな」
「本当ですか!?それは!!」
「あ、ああ…」
「俺だって、任務から帰って来たときにガルスが用意してくれてたら嬉しかったぞ」
「どんな夜食が嬉しかったですか!?」
「ミニ牛丼とか」
「ガッツリしたのが良かった日も有るし、サッパリしたのが良かった日も有るし」
「え…」
「要するにバラバラなんだよ」
「だけど、ガルスは用意してくれる」
「それは何故でしょうか…?」
「予想的な用意にしては…」
「ん-、それは付き合い的なヤツだな」
「俺達の長年の付き合いで解ってるんだろ」
「凄いですね…」
「お前達も夫婦だろ?」
「俺達より親密な関係なんだから」
「は、はい…」
「そうだな…」
「まずは首狩の事を知るべきだ」
「く、首狩さんを知るべき!?」
「そ、それは…、もしかして…」
「夜の営みという意味でしょうか…?」
「は?首狩って夜まで働いてるのか?」
「え?あ、いえ…」
(大馬鹿です…、この人は)
(真面目に言った私が馬鹿みたいではないですか!!)
「どうした?」
「いえ、何でも…」
「で、知るとは?」
「アイツの好みとか」
「好みですか…」
「でも、私と結婚してますし…」
「食の好み、な」
「そ、そうでしたか…」
「確か、和食のお寿司が大好物だと…」
「寿司って…、贅沢だな」
「あと、帰ってくる時間とか」
「え?」
「冷めた料理を食っても仕方ないだろ?」
「出来立てのを食わしてやるんだな」
「は、はい!」
(案外、頼れるかも知れません!!)
「そして腕だ」
「美味くなけりゃ、意味が無い」
「そうでしょうね…」
「で、教えていただけるのは?」
「焼き肉」
「死ねば良いのに」
「え?」
「…口が滑りました」
「夜食に焼き肉はヘビ-過ぎるかと」
「ん-」
「じゃ、丼とか」
「丼ですか」
「そうだ」
「量も調整しやすいし、腹持ちも良いし」
「丼…」
「俺は鉄火丼が好きだ」
「メタルさんの好みは聞いていません」
「まぁ、夜食なら任せろ」
「はい!」
「ま、その前に首狩に聞いてこい」
「何をですか?」
「どんな夜食が良いか」
「今回は丼を教えるが、次は首狩のリクエストを作ってやろうぜ」
「解りました!」
「では!」
「おう」
2年寮
首狩と夜風の部屋
「首狩さん!!」
「どうした?夜風」
「先刻は急に出て行ったりして」
「好きな!好きな食べ物は!?」
「夜食なんかに食べたいものは何ですか!?」
「きゅ、急になんだ?」
「そうだな…」
考え込む首狩
「お前の手作りおにぎり…、とか」
「そう言えば、お前の料理は食べたこと無かっ…」
ダダダダダダ…
「…また出て行ってしまった」
喫茶店
「おにぎりです!おにぎり!!」
「早っ…」
「おにぎりか-、定番だな」
「梅でしょうか?昆布でしょうか?」
「俺は鮭だな」
「首狩さんの好みを聞いてくるのを忘れていました…」
「スル-か…」
「まぁ、まずは丼だ」
「おにぎりの具は食わせるついでに聞いてこい」
「はい!」
テレッテッテッテテ-テレテッテッテッテ-テレテレレレテレレレレ
テレレレレ-テレレレ-テレレテッテレレ
「え-、始まりました」
「メタルの3分クッキング」
「裸の妖精がマヨネ-ズの上で廻っている姿が想像できましたが」
「細かい事を気にすんな-」
「よっしゃ-、始めるぞ-」
「今日は「メタル特性、爆発丼」です!」
「え」
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