秋雨 異世界旅行記3
西の駅
「おお…」
辺りを見回す秋雨
「秋雨、恥ずかしいからキョロキョロしない方が…」
「あ、ああ!ゴメン」
(この世界にも鉄道はあるんだ…)
「ガキみたいだな」
「鉄道も見た事無いのか?」
「一応は有るんですけど…、ここまで古風なのは珍しくて」
「…この列車、最新型よ?」
「え」
「秋雨、お前には言っておいた方が良いな」
「この世界には、お前の世界の技術をなるべく持ち込むな」
「どうしてですか?」
「世界の均衡にも影響するし、技術の格差も出来てくる」
「なるほど…」
「まぁ、気をつけておけば難しい事じゃない」
「だと良いけどね」
「…おい」
「ああ、あの2人が…」
西鉄道
一等列車内
「豪華ですねぇ…」
「当たり前だ」
「一等列車だぞ?」
「お金をかけ過ぎなんだ、兄さんは」
一等列車を貸し切りにしているシャ-クとモミジと秋雨
「でも、貸し切りなんて高いんじゃ?」
「高いぞ」
「どこから、そんなお金が?」
「何、盗みとかの金じゃない」
「友人が経営しているからな」
「コネみたいなモンだ」
「へぇ…」
「兄さんは顔が広い」
「特に西には」
「職業柄な」
「どういう御職業を?」
「国王」
「へぇ-、大変なんです…」
「「国王」!?」
「何だ?知らなかったのか?」
「雰囲気的に解るだろう?」
「いえ、単なるチンピラかと」
「お前なぁ…」
「仕方ないじゃん」
「兄さんほどチャラ着いた国王も居ないよ」
「東の炎鬼国王、西のラジン国王、北のティルリア国王も威厳溢れる立派な人だし」
「こんな軽い国王でも良いじゃないか」
「国王って…!!」
「じゃぁ、その妹のモミジは…」
「一応、王女」
「モミジが王女で…、シャ-クさんが王様で…」
ボンッッッ!!
気絶する秋雨
「…オ-バ-ヒ-トだな」
「衝撃が強すぎたかな?」
「今まで一緒にいたのが国王と王女だからな」
「…どうしよう?」
「このまま寝かせておこう」
「着くまで、しばらくあるだろうし…」
ガタガタ!!
「…やっぱり起こせ」
「来客だ」
バァアアン!!
男が扉を蹴破ってくる
「おい!貴様、南のシャ-ク国王だな!!」
「天誅!!」
シャ-クに斬りかかる男
「水連脚」
ドッ!!
「がはっ…」
ドタァアアン!!
男を蹴り飛ばすシャ-ク
「答えろ」
ガッ!!
「うぐ…」
シャ-クの脚が男の頭に乗せられる
「列車を占拠したのか?」
「誰が答え…」
ゴガン!!
シャ-クの蹴りが男の脳天を貫く
「あが…」
「ラストチャンスだ」
「答え…るから…」
「助けてくれぇ…!!」
「…答えたらな」
「で?列車を占拠したのか?」
「した…!!」
「残りは、この車両のみだ…!!」
「…狙いは?」
「狙いは…」
パァン!!
「!!」
男の頭が撃ち抜かれる
「げはぁっ…」
ドサッ…
崩れ落ちる男
「…チッ」
「兄さん!!」
「俺じゃない」
「仲間が口封じのために撃ったんだろう」
「そんな…!!」
「…マズイ事になった」
「え?」
「このままだと多大な被害が予想される」
「仲間でも兵器で殺すようなイカレ野郎共だ」
「この列車ごと、町に突っ込む可能性もある…」
「…!!」
「早く秋雨を起こせ」
「この列車を取り返すぞ」
「…解った」
「秋雨!起きろ!!」
「うぅ…?」
「その女は起きないのか?」
「起きないみたい…」
「…俺は最後尾の第4、5、6車両をやってくる」
「モミジは第2、3車両だ」
「秋雨は車掌室だ」
「良いな?」
「うん」
「え?何がですか?」
「列車が占拠されたんだよ」
「お前は車掌室を取り返してくればいい」
「は、はい!!」
「GLは、この部屋に居れば安全なはずだ」
「兄さん…」
「何だ?モミジ」
「先刻の狙撃手…、どうして撃ってこないんだ?」
「撃てないんだ」
「何故?」
「周りを見ろ」
「!!」
3人の周りが薄い水の膜に包まれている
「この膜は物理的に破れない」
「銃弾も刃も無効化する」
「完全防御…、ですか?」
「いや、そうでもない」
「能力を少しでも込めれば簡単に破れる」
「それじゃ!GLを置いては…!!」
「だから、コレだ」
ゴプン…
「水結界」
「コレなら俺が生きてる限り、破れることはない」
「良かった…」
「さて、行くぞ」
「愚か者を潰しに」
「はい!!」
列車、屋根
「シャ-クめ…」
「やはり、一筋縄では行かんな」
第4車両
「誰だ!?」
「お前達の相手だ」
「最も…、死神に見えるか?」
「お前は…!シャ-ク!!」
「皆!コイツを殺せ!!」
「了解!!」
「…死を望むか?ゴミ共」
第2車両
「ん?まだ乗客が残っていたのか」
「おい!コイツも縛っとけ!!」
「…縛られるのはアナタ」
「あ?」
「何だ?このガキ」
「覚悟…!!」
「胸の小せぇ青ガキが」
「調子に乗ってんじゃ…」
スパ---…
男の髪が斬り裂かれる
「胸が小さくて…!悪かったわね…!!」
車掌室
「…」
「おい、速度を上げろ」
「何を言っている!?」
「これ以上の速度での走行は危険だ!!」
「良いから上げろ」
「だが!!」
ガチャッ
男が機関士に銃を突きつける
「「上げろ」って言ってんだよ」
「…どうなっても知らんぞ!!」
グィイイイイイイン…
ガタン!ガタン!!
一気に速度を上げる列車
「良し…」
ヒュッ
「え?」
「強制変換!!」
ガシャン!!
男の銃が金属の塊と化す
「なっ…!?」
「ハッ!!」
ドンッ!ドンッ!!
秋雨の拳が男の腹に数回、叩き込まれる
「うぐっ…!!」
ドタッ
「き、君は…?」
困惑する機関士
「速度を下げてください!!」
「あ、ああ!!」
ズゥウウウウン…
ガタン、ガタン…
「コレで大丈夫だ」
「助かったよ」
「いえ、僕は」
バタァン!!
「死ねぇ!!」
「!!」
扉を蹴破り、マシンガンを持った男が入ってくる
バババババババ!!
「ッ!!」
容赦なく乱射される弾丸
「強制変換!!」
チュンチュンチュンチュンチュン!!
しかし機関士と秋雨を襲う弾丸は鉛の球ではなく鉛の塊と化す
「チッ…!!」
「寝てください!!」
「黙ってろ!!」
ピンッ
「手榴弾ッ…!!」
「テメェの妙な能力も間に合わねぇだろ…!!」
ポイッ
「このっ…!!」
「間に合わねぇさ!!」
ドォオオオオオオオオオン!!!
激しい爆炎が車掌室を包む
読んでいただきありがとうございました




