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秋雨 異世界旅行記2

西の王宮前


「ここが?」


「そう」

「大きいだろ?」


「確かに…」


秋雨の目の前には巨大な王宮


(絵本でしか見た事無いな…)


「行こう」

「ラジンが待ってる」


「「ラジン」?」


「西の王さ」

「私も会うのは久しぶりだ」


「へぇ…」


「おい!居たぞ!!」


「え?」


路地裏から大勢の男達が走ってくる


「捕まえろ!!」


「逃げよう!秋雨!!」


「え!?」


「彼達は私を追ってきたんだ!!」

「私は王に匿って貰うために…」


「捜しやしたぜ!!」


ガッ!!


モミジが男に捕まえられる


「は、離せ!!」


ザッ…


「…離すんだ」


GLを背負った秋雨が男の前に立ちはだかる



「な…?」


秋雨が男を睨み付ける


「嫌がってるだろ」


「クソガキィ…、何者だ?テメェ」

「女背負ってる奴に何が出来…」


ドタァアアアアン!!


「へ?」


ひっくり返る男


「な、何が…」


男の足下が泥沼のようになっている


「秋雨…」



「な、何をボケッとしてやがる!!」

「捕まえろ!!」


「へ、へい!!」


一気に秋雨に走ってくる男達


「強制…」


「そこまでです」


「!!」


大量の兵士が秋雨と男達を囲む


「アナタ達…、南の盗賊団ですね?」

「これ以上の騒ぎを起こすのなら…」


「…ッ!!」

「お前達!帰るぞ!!」


「し、しかし!兄貴!!」


「ラジン相手じゃ勝てるはずもねぇ!!」


「へ、へい…」


渋々帰って行く盗賊団達


「この人が…、ラジン…」


王冠に黄色のマントと絨毯の束を背負った男が悠々と立っている


「大丈夫ですか?2人とも」


「助かりました…」


「…あれ?」

「モミジさんじゃありませんか!!」


「…解る?」


「昔と違って成長なさって!!」

「シャ-クさんは元気ですか?」


「元気すぎるけど…」


「しかし、妙ですね」

「アナタなら盗賊団程度、どうと言うことは…」


「少し、訳アリなんだ」

「匿ってくれる?」


「…まぁ、良いでしょう」

「行きますか、王宮に」



西の王宮


接客の間


「食事が有りますので」


「ありがと」


「ごゆっくりどうぞ」


バタン…


部屋から出て行くラジン


「丁寧で大人しそうな人だったね」


「…そう見えた?」


「え?見えたけど…」


「アイツは「砂風のラジン」って呼ばれていて、戦闘力なら国軍並みなんだ」

「戦争時は砂漠の砂を支配し、敵国の軍を砂漠に生き埋めにしたらしい」


「…ッ」


「心配しなくても私達に危害は加えない」


「知り合いみたいだったけど…」


「幼なじみ…、って所だな」


「そうなの?」

「かなり年齢が離れて見えたけど」


「アイツは亜種だ」

「無理もない」


「「亜種」?」


「簡単に言うと私より年を取るのが早いだけだ」


「そうなの!?」


「もう数百年生きてるけど…」


(この世界の年齢事情がさっぱり分からない…)


「…先刻は庇ってくれたな」


「?」


「あの盗賊団から」


「え?あ、ああ…」

「何て言うか…、条件反射かな」


「…フフ」


小さく笑うモミジ


「いい男だな」


「え!?いや、その~…」


慌てる秋雨


「深い意味はないから、気にしなくて良い」

「ただ…、そんな男なら…」


「?」


「結婚しても良いかな…、って」


「は!?」


「…冗談だよ!!」

「すでに彼女の居る奴に手は出さないさ!!」


「いや、彼女ってワケでも…」


「…じゃぁ」


秋雨の寄り添うモミジ


「私にも…、チャンスは有るかな?」


「モ、モミジ…!?」


「ゴラァアアアアアア!!」


バァアアアアアアン!!


ドレッドヘアでサングラスをしている男が部屋の扉を蹴破って入ってくる


「に、兄さん!!」


「えぇ!?」


「このクソガキがぁああああああああ!!」


秋雨の胸ぐらを掴むモミジの兄


「人の妹に手ェ、出してんじゃねぇえええええ!!」


「ええええええええ!?」


「ち、違う!兄さん!!」


「お前もお前だ!!」

「嫁入り前に!他の奴に惚れてんじゃねぇぞ!!」


「「嫁入り前」!?「惚れる」!?」


「ち、違う!秋雨!!」

「私は、ただ純粋に秋雨と一緒に余生を過ごしたいと…」


「それを「惚れてる」って言うんだろうがぁ!!」


「だって…、私の胸を揉んだのも、庇ってくれたのも…、秋雨が初めてだもん」


「何ィイイイイイイ!?」


「いやいやいや!アレは偶然で!!」


「言い訳するんじゃねぇえええええ!!」


ドゴッ!!


「ッッッッ!!」


「うるさいですよ、シャ-クさん」


「ラジンッ…!!」


「私の城の中なんですから、静かにしてください」

「怒鳴るために西に来たんじゃないでしょう?」


「…そうだった!!」

「モミジ!盗賊団を捜索に出していたはずだが…?」


「え?あの盗賊団…、モミジさんを捜していたんですか?」

「襲ってるようにも見えましたが?」


「何!?」


「モミジさんを彼が庇ってましたね」


「何ィ!?」


「嫌がってたから…」


「…モミジ、奴達はお前の部下だろう?」


「えっ!?」


「知らなかったのか?」

「モミジは盗賊団の頭だ」


「えええええええ!?」


「…モミジ、彼を騙していたのか」


「…」


押し黙るモミジ


「…だって」

「砂漠で助けたのは偶然だったけど…、良い友達になれそうな気がしたから…」

「真っ直ぐな人だったから…」

「私の正体を知られて…、嫌われたくなくて…」


「…それでも騙しちゃ駄目だろう」

「迷惑をかけたな…、秋雨君だったか」


「…そんな事無い」


「え?」


「モミジが盗賊団の頭でも!モミジはモミジだ!!」

「確かに食い逃げしようとしたし、僕を騙してた!!」

「でも!ちゃんと皿洗いをして償ったし、騙してたことも認めた!!」

「悪い人間には出来ないことだ!!」


「秋雨ぇ…」


「…良いことを言うじゃないですか」

「コレなら、モミジさんの婿にしても良いんじゃないですか?シャ-クさん」


「…駄目だ!!」

「浮気性の奴にモミジはやれん!!」


「「浮気性」?」


「見ろ!金髪の女が居るじゃないか!!」

「それは誰だ!?秋雨!!」


「僕の仲間でGLです」


「GL?」

「名前か?」


「はい」


「…お前、その制服は?」


「WG学園の制服ですけど?」


「喫茶店を営んでいるのは?」


「メタルさんと金田さん、ガルスさんです」


「…そうか」

「あのバカ共の…」


「皆さんを知ってるんですか!?」


「…少し、な」

「で?何でお前が、この世界に居る?」


「実は…」


説明中


「…そうか」

「学園を裏切ってまで…」


「僕にとって、大切な仲間ですから…、GLは」


「彼女?」


「じゃ、ないです!!」


「ふん、その男気に免じてモミジに手を出したのは許してやる」

「だが、今後の交際は認めん」


「「交際」って…」


「はいはい、もう良いでしょう?」

「行きますよ?シャ-クさん」


シャ-クを引きずるラジン


「離せ!ラジン!!」

「まだまだ言わなきゃならねぇ事が…!!」


バタン


「出て行きましたね…」


「ゴメンね…、私のせいで変な疑いをかけられて」


「構わないよ」

「でも、盗賊団の頭とか、捜索とかって…?」


「…戦争を避けるために私は北の王子と結婚するんだ」

「好きでもないし、合った事もない人と…」

「嫌なんだ…、私は」


「モミジ…」


「…私と結婚しないか?秋雨」


「えぇ!?」


「本当に結婚するわけじゃない」

「形だけでも…、しないか?」


「ど、どうして!?」


「そうすれば和睦結婚が無くなる」

「少なくとも、他の手立てもあるはずだ」


「確かに、そうかも知れないけど…」


「秋雨…、私は…」

「お前となら一夜を過ごしても良いと思ってる」


「も、モミジ!?」


「…今度は「冗談」とは言わない」

「私は…、秋雨の事が…」


ダァアアアアアン!!


「やっぱり惚れてるのかぁ!!モミジ!!!」


「兄さん!?」


「この馬の骨が!!」


「ええええええ!?」


「結婚は認めないからな!!!」

「絶対に、だ!!」


バァアアアアン!!


「…ゴメン」

「何か…、変な事、言った」


立ち上がるモミジ


「…じゃぁ、南に戻るよ」

「秋雨は自分の用を済ませればいい」


「…待って!!」


「え?」


「僕も南へ行く!!」

「このまま…!モミジは放っておけない!!」


「秋雨…」


「…モミジと結婚は出来ないけど」

「それでも!一緒に他の方法は考えられるはずだ!!」


「…ありがとう」

「本当に…、ありがとう…!!」


泣き崩れるモミジ



「…良いんですか?シャ-クさん」


「結婚しないなら良いさ」

「手出しはさせないが」


「…そうですか」

「まぁ、彼女を幸せにしてあげてください」


「お前は良いのか?ラジン」

「昔の事も…」


「良いんですよ」

「彼女が幸せならば」


「…そうか」

読んでいただきありがとうございました

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