秋雨 異世界旅行記
秋雨が異世界に飛ばされ、モミジと出会ったときの話
異世界、砂漠
「痛ッ…」
ゆっくり起き上がる秋雨
「GL…?GL!大丈夫か!?」
「うぅ…」
(目覚めない…!?)
「GL!しっかりしろ!GL!!」
「消えちゃ駄目だ!!」
「うっさい…」
「え?」
「ぐぅ…」
「寝てる…?」
ドバァアアアアン!!
「な!?」
秋雨とGLの背後に巨大な化け物が現れる
「何だ!?」
「キシャァアアアアア!!」
「くっ…!!」
「伏せろ!!」
「え!?」
ダダダダァン!!
「…!?」
化け物に大量のナイフが突き刺さる
「キシャァアア…!!」
「何だ!?何だ!?」
「早く!逃げるぞ!!」
「えぇ!?」
ガッ!!
秋雨の腕を黒いマントに身を包んだ者が引っ張る
「だ、誰ですか!?」
「四の五の言ってる場合じゃない!!」
「仲間の群れが近い!その内に大群が来るぞ!!」
「えぇ!?」
「早く!!」
ダダダダダダ!!
一気に走り出す黒マントと秋雨と秋雨に背負われているGL
「キシャァアアア!!」
「来た!!」
「何なんですか!?この数!!」
砂漠の地平線を埋め尽くすほどの化け物
その全てが3人を追ってくる
「この数は…!!」
ガッ!!
「!!」
転ぶ黒マント
「しまった…!!」
「キシャァアアアア!!」
「逃げろ!この数、勝てる相手じゃ…」
「強制変換!!」
「え?」
ドガァアアアアアアン!!
黒マントの背後の虫を巨大な壁が遮断する
「え…?何、この壁…」
「砂で出来てる…?」
「今の内に!早く行きましょう!!」
「この壁、脆いですから!!」
「え!?あ、う、うん」
「キシャァアアア!!」
砂漠の町
「この町は…?」
「砂漠に存在する町、ベルミノスだ」
「この国の首都で…」
「「国」?「首都」?」
「ん?どうした?」
「えっと…」
「…名前は?」
「秋雨 紅葉です」
「何だ?その妙な名前は」
「え?」
「アナタの名前は?」
「モミジだ」
「モミジ?」
「名字は?」
「え?」
「「ミョウジ」…?何だ?それは」
「え?」
「もしかして…」
ズイッ
一気に秋雨に近づくモミジ
「え!?何ですか!?」
「変な臭いだ…」
「この世界の人間じゃない?」
「え?まぁ、一応…」
「…その人は?」
「GLですか?」
「そう、その人」
「実は…」
「…訳ありみたいだね」
「そこの店で何か食べよう」
「あ、はい」
食事店
「すいませ-ん!野菜炒め、1つ!!」
「へい!ご注文承りました」
「大丈夫なんですか?僕、お金持ってないですよ」
「大丈夫よ!大丈夫!!」
「へい!お待ち!!」
「あ、どうも」
カチャカチャ
野菜炒めを食べる秋雨とモミジ
「美味しいですね」
「少し辛いけど」
「で?ワケを説明してくれる?」
「は、はい…」
説明中…
「…なるほどね」
「なら、その子は良くなる」
「え!?」
「この世界はエネルギ-密度が濃い」
「その子もすぐに良くなるはずだよ」
「良かった…」
「で、モミジさんは?」
「何が?」
「何方?」
「あ-、旅人」
「偶々、近くに寄ってね」
「そうなんですか…」
「助けて貰って、ありがとうございました」
「構わないよ」
カチャン
「ごちそうさまでした」
「じゃ、お勘定」
「モミジさん、お金…」
「あれ?」
秋雨の遙か後ろを走っているモミジ
「モミジさぁ---ん!?」
「速く逃げるんだ!!」
「食い逃げかぁ!?」
「ちょ、ちょっとモミジさん!!」
ガッ!!
「何をする!?」
モミジの服を掴む秋雨
「駄目ですって!食い逃げは!!」
「離せ!このままじゃ捕まる!!」
「だから!!」
むにっ
「え?」
「~~~~ッ!!」
秋雨の手に柔らかい感触
「まさか…」
「何処を触っている!?」
ゴンッ!!
「痛ッ!!」
「待て!!」
ガシッ!!
店主に捕まれる秋雨とモミジ
「捕まえたぞ~!!」
「このっ…!!」
「さぁ!金を払え!!」
「離せぇ!!」
「暴れちゃ駄目ですよ!モミジさん!!」
「秋雨!この裏切り者!!」
「知りません!!」
「さぁ!払え!!」
「…ない」
「あ?」
「持ってない!!」
「はぁ!?」
「ただ食いしたんですか!?モミジさん!!」
「お前も喰っただろう!!」
「…皿洗いして、金でも稼いで貰うか」
「良いな!ちゃんとやれよ!!」
「はい…」
「…ふん!!」
ガチャガチャ…
「まったく!秋雨が私を掴むから!!」
「食い逃げは駄目ですよ…」
ガチャガチャ…
「…モミジさん」
「モミジで良いよ」
「敬語も使わなくて良い」
「は、はい…」
ガチャガチャ…
「…先刻、僕が掴んだ物って」
「…貧乳で悪かったね」
「やっぱり…、女性?」
「男に見えた?」
「いや…、何て言うか…」
「マントで見えなくて…、言葉遣いも男みたいだったから」
「…解らなくても無理ないか」
「で?どうして胸と解ったんだ?」
「え…」
「その子で実戦したの?」
「ち、違う!!」
「実戦してない!!」
「どうだか…」
小さく笑うモミジ
「前に掴んだのはモミジより大きかったような…」
(あの時は酷い眼にあったな…)
秋雨の脳裏を毀棄梨が過ぎる
「…小さくて悪かったな」
「どうせ!大きいのが良いんだろ!!」
「私だってな!豊胸運動を毎日、続けてるんだぞ!!」
「アレか!?揉んだ方が大きくなりやすいってか!?」
「この変態!!」
「いやいや、そこまで言ってないよ…」
「揉みたいのか!?そうか!揉みたいのか!!」
「揉めよ!好きなだけ!!」
「そうしたら大きくなるんだろ!!」
「落ち着いて…」
「さぁ!どう…」
ガァン!!
「お客様に迷惑だ」
「静かに洗え」
「はい…」
「…兎も角、秋雨」
「?」
「このマント、着ろ」
「え?」
「お前を追ってくる奴が居るんだろ?」
「あ、ありがとう…」
「これから西の王宮に行くから」
「え?」
「家に帰るんだけど、私は王に用があってきたんだ」
「良い?」
「う、うん」
「しばらく、君の姿も隠せるはずだ」
「閉店になったら、すぐに行こう」
閉店後
「もう食い逃げするんじゃねぇぞ!!」
「はい…」
「じゃぁな!!」
「すいませんでした…」
「さて、王宮に行こうか」
「近いの?」
「近いよ」
「そこに行くまで、奴達に会わなければ…、ね」
「奴達?」
「私を狙う盗賊団だ」
「へぇ…」
「って!?どうして狙われてるの!?」
「実は、盗賊団の頭が私に惚れているんだ」
「それで誘拐しようと…」
「大変だな…」
「だったら、僕よりモミジの方がマントを着てた方が良いんじゃ?」
「マントじゃない!ロ-ブだ!!」
「え?」
「その方が高級っぽい」
「ああ…」
読んでいただきありがとうございました




