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三蔵島  作者: たま


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隔離施設

けもの道を500mくらい山を登った先に小屋が数軒並んでいた。

大きな小屋を半円に囲む様に小さな小屋が並ぶ。

言っては悪いが…留置施設に似てる。

大きな小屋から小さな小屋がすべて見渡せる造りだ。

「なんや…これ!気色悪!」優が拒絶反応を示す。

大きな小屋の窓は大きくガラス張りだ。

中も良く見える。皆が一様に同じ方を向いてひたすら絵を描いている。

が、その前方にモデルらしき人物も静物も無い。

その間を縫うように絵の先生なのだろうか?

1人1人の絵をのぞき込む人物が居る。

「話に聞いてた創作活動が自由に出来るアトリエ…って感じ無いね。

まるで作業所みたい。」淳は絵画の企画展のために何度か合同アトリエを訪れたことがある。

しかし、人はほとんど居なくて作業する時間もマチマチだったりする。

こんなに揃ってるのは、明らか変だと分かる。

美大の共同アトリエだって、常に閑散としてる。

見回ってる人物とは別の人が、2人に気付いて近付いてきた。

「何でしょう?観光客の方ですか?」とメガネの細面の男性が聞いてくる。

明らか歓迎ムードはない。

「あの…絵描き村ってのがあると役所で教えてもらったのですが、ココでしょうか?」優は声に特徴ある関西弁なので覚えられたくないので淳が話す。

「えっと話は来てないけど、希望者ですか?」男が少しくだけた。

「いえ、違います!

私、栃木の美術館で学芸員をしてるのですが、海に関する絵画展の企画を考えておりまして…」

全くの方便だが話し続ける。

「この素晴らしい環境で若手作家がどんな絵を描いてるのか?興味があって覗かせて貰ったのです。

少し皆さんの作品を見せて頂けませんか?」淳が探るように話す。

部屋の空気が明らか動揺する。

見回っていた男も走ってきた。

「すみません。私達の一存では許可できないので役所の方で聞いてもらえません?」もう1人の人当たり良さそうな男が答える。

「分かりました。聞いてきますね。

では、今までの個展の図録なんかありませんか?

ホームページでは定期的に個展を開いていると書いてたのですが、肝心の作品が準備中でサイトが開かなかったもので…」

また空気がざわつく。

「それも役所で保管されてると思います。

とにかく、こちらでは対応できないので…」と体よく追い返された。


淳がスゴい勢いでけもの道を下るので優が驚いて声をかける。

「もうちょっと建物見たかったのに〜なんでそんな急ぐの?」優が聞く。

「急いで人に紛れたいのよ!ヘリポートの場所まで急ぐわよ!

描いてたのは、オリジナルじゃない!

ゴッホよ!大量のゴッホ作品とモネ、ルノワール、マネ、セザンヌだった!」淳が走りそうな勢いで歩き続ける。

「それって…つまり…」優も眉間にシワが寄る。

「アソコは贋作工場よ!偽物を描かされてるのよ!皆!」

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