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55.鬼ライル

学び舎がうまく行きすぎだ。

カリムさんとカシムに、ニーナもエクストラスキルを手に入れたことを伝え、

ニーナのご両親に言ったことと同じことを伝えた。

カリムさんは納得し解体に戻っていった。


「ドリー、ゴーレに解体が終わり次第会議をするから、父さんとヒューズさんに解体後うちに集合って伝えてもらって。あと、クララさんにリリアンさんと同じタイミングでうちに来てって伝えさせて」

ドリーは頷いた。


「そしたら、カシム。ステータス見せてもらえる?」

「いいよ、師匠。ステータス!」


【名前】 カシム

【年齢】 9

【職業】 猟師見習い

【レベル】 1

【生命力】 50

【魔力】 70

【筋力】 52

【防御力】 10

【俊敏力】 15

【スキル】

○エクストラスキル

強弓の奇術師LV1

 →クレッセントショットLV1


○通常スキル

弓術

一点集中



○強弓の奇術師 LV1 (エクストラスキル)

 奇妙な弓を撃つことができる。


→クレッセントショットLV1

 放った矢が少し曲がる。


○弓術

弓を撃つ能力が上がる。


○一点集中

一つのことに集中をし、周りが気にならなくなる。


ニーナちゃんだけではなく、カシムも通常スキルを取得していた。

これはちょっと本格的にやらないといけないかもしれない。


俺は2人に問いかけた。

「これからの2人の特訓についてだけど、2人ともどんだけ厳しくてもやる覚悟ある?」

「強くなりたい!」

「む、村のためにがんばりたい!」

2人は本気のようだ。

「わかった!じゃあカシムの師匠にはクララさん、ニーナちゃんの師匠にはリリアンさんになってもらいます」

「ライル師匠は?」

「俺も教えられることは教えるから安心して。でも算術とか他の授業で不真面目だった場合、もう二度と教えないから真面目にやるように」

「「はい!」」

2人は大きく頷いた。



▽ ▽ ▽



昼ちょっと前に、ニーナちゃんとカシムを連れて学び舎に向かった。

向かってる途中、リリアンさんとクララさんと会ったので全員で学び舎のダイニングで話すことにした。


「ゴーレさんに言われてきたけどどうしたの?」

「いや、2人が優秀な師匠なんで呼びました」

「どういうこと?」

2人は当然意味が分かっていない。

「ニーナちゃんとカシムがエクストラスキルを取得しました。通常スキルも2つずつ」

「え?」「は?」

「学び舎大成功!!!」

「・・・・・・・」

出来るだけテンションを上げて伝えたのだが、2人ともやはりきょとんとしている。

「リリアンさんとクララさんにはとりあえず今日は解体をせずに、スキルの確認と2人が感じた気をつけることを伝えてあげてください」

「・・・・・・・」

「聞いてます?」

リリアンさんとクララさんは数分使い物にならなかった。


▽ ▽ ▽


我に返ったリリアンさんとクララさんに説明し、今後の方針を話し始める。


「まずカシムは、『スキルを使わない弓の練習・エクストラスキルを使用した弓の練習・『一点集中』特化の弓の練習』

で行こうかと思います。

『弓術』のおかげで今までより弓は上手くなっているかもしれませんが、スキルに溺れないためにも基本練習を多めにしてください。

エクストラスキルの練習は息抜きとしてと、どういう効果が起きるのかを確認して理解できるようにさせてください。

『一点集中』は的に矢が当たったら的を小さくしていって外したら最初からやり直し。できるまでやる練習にしましょう」


リリアンさんが心配そうに口を開く。

「ライルくん。ちょっと厳しすぎない?」

「カシム、どう?もうちょっと優しくする?」

「しなくていい。ライル師匠のやつでいい」

「とのことです。クララさん危険がないようによろしくお願いします」

カシムはクララさんに頭を下げた。

「クララ師匠!よろしくお願いします!」

「わかったよー私も本気でやるからね!」

クララさんもカシムの熱意を感じたのか、受け止めてくれるようだ。


「そしてニーナちゃん、いやニーナの特訓ですが、『水魔法の使い方と戦い方の練習・魔法の限界の理解』で行こうかと思います。水魔法アクアボールの使い方と命中率と威力アップのため、的に当てる練習をしましょう。

魔法の発動を自然にできるようにするためと、魔法の発動がどれだけ連続でできるか、魔法の発動による身体への影響を身体に直接叩き込ませてください。エクストラスキルは僕の方で教えます」

リリアンさんはまだ少し心配そうだ。

「ライルくんはこう言ってるけど、ニーナは大丈夫?本当に大変よ」

「大丈夫です!リリアン師匠!」

リリアンさんはいつもおどおどしているニーナのやる気を感じたようだ。

「もーう。わかったわ。私も頑張るわよ」

リリアンさんも腹を括ったようだ。

「では、ペアに分かれてステータスとスキルの確認を始めてください」

「「はい!」」


リリアンさんとクララさんは何かぼそぼそ話していた。

「ねーリリアン!ライルくん怖くない?」

「いや、本当に。前から5歳と思えなかったけど、あれは鬼よ鬼」


▽ ▽ ▽


夕方になり、スキルはだいぶ確認できた。

2人のために俺は鬼になる。


前世で後輩を教えるなんてしたことないし、2人のために俺流にやってやる。

自分に甘く、人に厳しい前世だったんだ。出来るはずだ。


「ニーナ、カシム。今日は終了。気をつけて家に帰るように。明日は解体に行くように」

「「はい!」」

2人は今日の特訓で何か吹っ切れたのか、ちょっと大人っぽく見えた。


「リリアンさん、クララさんお疲れ様でした。ありがとうございました」

「ライルくん、戻った?」

「何がですか?」

「鬼になってたけど新しいスキル?」

「なに言ってんですか、2人のスキルどうでした?」

「なんかこんな短時間で生徒が育つと感動するね。危ないスキルもないし、しっかり教えたから危険はないはずよ」

「ありがとうございます。今日はお風呂入って休んでください。僕はこのあと会議があるんで、先帰りますね」

「5歳とは思えない忙しさね」

「ははは。じゃあ帰ります」

「「じゃあねー」」

俺は2人と別れ、家へ向かった。


▽ ▽ ▽


家で待っていると、父さんとヒューズさんとゴーレが帰ってきた。

「お疲れ様です。解体の進捗どんな感じですか?」

「全体の半分ちょい終わった感じかな?村のみんなも慣れてスピードが上がってる」

「予定通り終わりそうですね」

解体のメンバーを4人も奪ってしまっていたから少し不安だったが、安心した。


「今日の会議は何を話すんだ?」

「父さんは薄々気づいてると思いますが、ニーナとカシムがエクストラスキルを取得し、通常スキルを2つずつ取得しました。通常スキルは学び舎でやってたことが影響しているようなスキルです」

父さんとヒューズさんは少し驚いたようだった。

「いやー予想してたけど、息子が始めた特訓がこんなことになるとは」

「教えた人間としても信じられないくらいの成果だな。まあ、俺らがちゃんと教えられてるのかまだ不安だけどな」

「ニーナはヒューズさんに教えられた話をしっかり考えて僕に相談しにきたんですよ。ヒューズさんの座学はしっかりみんなの成長に繋がってますよ」

「それは嬉しいな」

ヒューズさんは少しにやけていた。


「本題に入ろうと思います。カラッカの街に行く件ですが、ニーナとカシムも連れていきます。

それに合わせて一緒に行くメンバーを決めました。

俺、父さん、ニーナ、カシム、疾風の斧、ゴーレ、フリード、ノコ、シモン、キリーで行きます。

御者はゴーレ、昼の護衛は疾風の斧、夜の護衛はノコ虫軍で行きます。寝るのは馬車の中って考えているんですが、ヒューズさん的に問題ありますか?」

「いや、問題無い。あの馬車は普通のより広いから大丈夫だ」

「わかりました。ゴーレ、ノコ達に伝えといて」

「了解致しました」


「あと積荷の件の報告と相談です。

その前に父さんにサラッと伝えるけど、スキル『クリーン』と『鑑定』が使えます」

父さんの顔が一瞬こわばった。

「も、もう動じないぞ、は、話を進めなさい」

完全に動じていたが、話を進めた。


「わかりました。鑑定を使い、今回の売ろうと思っている野菜が高品質ということがわかりました。

その野菜が木箱15箱分と、シモン隊に作ってもらってるシモン布と糸の黒と白が数個。それを使った服数十着。

今解体しているラビット型の毛革、これもクリーンをかけることで鞣し作業の代わりになる可能性があるのでそこそこな値段で売れると思ってます。売り物の幅が広いので、ヒューズさんにどこに売るのが1番いいか、冒険者目線で教えてほしいです」

「そうだなー、カインさんは今までどこに売ってたんだ?」

「村にくる行商人と、数年に1回しか行かないが街に行ったときは町の商会に直接売りに行っていた」

「それなら、商人ギルドに登録するのをお勧めする」

「商人ギルド?」

「俺も詳しいシステムは分からないが、ギルドに商会として登録してから商会に直接売るのがいいと思う。

年会費を支払わないといけないのがネックだが、年に高品質な野菜を何十回も収穫でき、高品質な布を無限に作れて、モンスターも倒せるってなれば、年会費の心配もいらないし、ギルドの職員の目に付けば商人ギルドがこの村に直接買いに来る可能性がある」

「そしたら、父さんに登録して貰えばいいですね」

「いや、ライルが登録しろ」

「なんでですか?」

「俺は農業しかできん。ここ最近のライルを見ているとお前はまだまだすごいことやるだろうと思う。

だから農業に関しては俺とアカ・アオ・キー・ドリー、布関係はマイアとシモンとキリーに任せて、いろんなやりたいことに挑戦してほしい」

「わかりました。5歳でも登録できますか?」

「年齢制限はないはずだ」

「それなら僕が商人ギルドに登録します。ライル商会になるのか」

「冒険者ギルドにも登録した方がいい」

「なんでですか?」

「モンスターを討伐したとき、討伐証明を持っていけば、依頼として扱われ、金がもらえる。ゴブリンとラビット型は右耳、鳥型だと右脚とかだ」

「もったいないことしたんだな。冒険者って確か戦闘のテストありましたよね?」

「先輩冒険者と模擬戦だ。だが勝てなくてもいい。てか、お前は勝てちゃう可能性あるから目立つから勝つな」

「わかりました。善処します」

「おまえ!」

ヒューズさんをからかいながら話を進めた。

「ヒューズさんには申し訳ないんですが、カラッカの街では宿の手配などいろいろ頼ることになると思いますが、そういうことをするときはゴーレを連れていってもらえると助かります」

「ヒューズ殿よろしくお願いいたします」

「任せろ」


会議を終わらせようと思ったら、母さんが2階から降りてきた。

シモンとキリーのところに1日中いたのだろう。


「あ!忘れてたんですけど、明日の夜またうちに来てください」

「なんでだ?」

「今父さんが着ている服欲しくないですか?」

「は?もしかして!」

「母さんの着てる服、リリアンさんとクララさん欲しそうじゃないですか?」

「ほしい!絶対欲しい!」

「じゃあ明日の夜、自分の服を2パターン持ってきてください」

「おう」



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